CX
公開:
2023.08.24
株式会社五藤光学研究所
株式会社五藤光学研究所
仙台市天文台 副台長 大江 宏典 様
目指すのは「宇宙への興味・関心」の醸成。天文台のCX向上に取り組む五藤光学研究所を取材しました。
エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
国内初の天体望遠鏡メーカーとして1926年に創業して以来、望遠鏡やプラネタリウムなどの天文光学機器の製造のみならず映像作品の作成やプラネタリウム施設の運営までを行う株式会社五藤光学研究所。五藤光学研究所が運営するプラネタリウム施設の一つが、「天文総合博物館」をコンセプトとした仙台市天文台です。今回は仙台市天文台の副台長を務める大江様に、NPS®︎を導入した背景や、NPS調査を軸としたCX改善の取り組みについてお話を伺いました。
※仙台市天文台は、仙台市が行うPFI方式による公共事業として株式会社仙台天文サービスによって整備・維持管理・運営が行われています。株式会社五藤光学は株式会社仙台天文サービスの構成企業のひとつとして、運営・プラネタリウムを担当しています。
本事例のサマリーと成果
・本事例のサマリー
NPS調査導入前は、5段階でお客様の満足度を調査するCS調査を行っていた。しかし、ほとんどのお客様が5点をつけていたことから、改善策が見つからず頭打ちの状態であった。EmotionTech CXの導入によって、従来は限られた人々にしか行えなかった統計解析を迅速に実施することが可能となった。これにより、顧客が真に求めていることを理解し、施策の検討や実施、共有が円滑に行えるようになった。
・EmotionTech CX導入による成果
カスタマージャーニーマップ分析の活用により、統計分析にかかる時間を大幅に短縮。職員のうち1名しかできなかった専門的な統計分析を、どの職員でも手軽にできるようになった。調査によって推奨度に関わる体験を特定し、「プログラム開発」や「集客の工夫」など、改善施策に繋がっている。
EmotionTech CX導入の決め手は分かりやすさと手軽さ。1〜2分で統計的な分析ができるから、すぐにPDCAが回せる
➖導入の背景を教えてください。
EmotionTech CXを導入したのは2019年ごろです。
もともとは5段階で満足度を聞くCS調査を行っていましたが、ほとんどのお客様が5点をつけて下さっており、改善策が見つからず頭打ちの状態でした。
また、顧客満足度の割に来館者数に繋がっている実感もあまりなく、CS調査自体に疑問を感じていました。
そこで、Webなどで調べていて「NPS調査」というものがあると知りました。
「おすすめ度を聞く」という観点や11段階での評価を聞くところがユニークで、CS調査とは違った結果が出るのではないかと思い、NPSを導入することに決めました。
➖導入した決め手はありますか?
一番の決め手は「分かりやすさ」です。今までは、紙でアンケートを回収し、専門的な統計の知識がある上長が分析を行っていました。アンケート結果のフィードバックを行う会議を設けているのですが、導入前はどうしても統計的な分析に時間がかかり、年に数回しか統計結果の共有ができませんでした。
タイムリーな情報共有ができないという点が、大きな課題となっていました。
しかし、EmotionTech CXでは、システム上で統計的な分析を行えます。
1〜2分待てば調査結果がわかるので、とても有り難いですね。機能面が分かりやすいので、導入もスムーズでした。
特に、カスタマージャーニーのアウトプットが分かりやすく、専門的な統計の知識がなくても扱える点が魅力だと思います。分析にかかる時間も大幅に短縮できています。
検討に当たっては「自分たちでツールを使って分析ができること」をポイントにしていたので、EmotionTech CXならそれが可能だと感じました。分からないことがあればカスタマーサクセスの担当者に聞くことができるのもありがたかったです。
➖調査の設計に関しては、当初スムーズにいきましたか?
カスタマーサクセスの担当者さんが伴走してくれるので、とてもスムーズでした。
調査の設問設計では「カスタマージャーニー」のフレームワークに沿って、顧客体験の洗い出しを行いました。
このカスタマージャーニーの考え方は、顧客を理解するためのフレームワークとしてとても良いですよね。調査の設計以外の場面でも活用しています。
エモーションテックのカスタマーサクセスは、予想以上にフォローが手厚いです。
困ったことがあると、すぐに打ち合わせをセッティングしてくれて、有難いです。先日は施設にも足を運んでくれましたね。
五藤光学研究所は仙台市以外にも、東京府中市や盛岡市など、国内の各地域で施設を運営しています。
最初は仙台市から調査を始めましたが、今では各施設ごとに調査を行い、管理しています。
施設の各イベント毎に評価を取得することもあります。
どこの施設も同じようにサポートしてもらえているので、安心感があります。
調査を通して「顧客が本当に求めていること」が分かり、自信につながった
➖調査をしてみて、分かったことはありましたか。
EmotionTech CXでは属性別NPSの比較ができるので、様々な発見がありました。
例えば、天文学について興味を持ってもらうために、キャラクターを起用したプログラムを投映していましたが、娯楽要素の強いプログラムよりも、宇宙の解説を行うプログラムの方がNPSが高いことがわかりました。調査を通して「顧客が本当に求めていること」を理解できました。
今後もプログラム開発に活かすために、環境・施設によって、「プログラムの評価に違いが出るのか」や「それはなぜか」などの深掘りを行ってみたいと考えています。
また、展示スタッフと会話をした方のNPSが高いということも分かりました。展示のみを閲覧している来館者と比べて、スタッフと会話をしている来館者の方が推奨度が高くなっていたのです。
仙台市天文台では、市民との対話を重視しており、学芸員を「企画交流係」と呼んでいます。重視しているポイントが、調査によって実際に評価されていることが分かり、自信にも繋がりましたね。
➖属性別NPSの他に、活用されている機能はありますか?
フリーコメントの回答は、土日だと平均5件ほどいただくのですが、来館者からフリーコメントの回答が来たときに、その場ですぐにフォローするようにしています。
EmotionTech CXの「アラート機能」を活用しています。
名前入りでのポジティブなフィードバックをいただくことも多いのですが、そのような回答があった場合には、すぐに担当者へ転送するようにしています。
分析の結果はすぐに施策に反映。
➖調査結果はどのように施策に活かされていますか?
仙台市天文台には、東北で一番大きな望遠鏡があります。20分のプログラムで、無料で観覧することができます。
望遠鏡のプログラムに参加しているお客様は推奨度が高いということが分かりました。
その反面、参加されているのは来館者全体の3割ほどで、あまり参加されていないことが課題として見えてきました。
参加率が低い原因として、そもそも望遠鏡のプログラムがあるということを知られていないのではという仮説に繋がりました。
土日は5回ほどアナウンスで案内をしているんですが、望遠鏡がある場所が奥まっていて、分かりづらいのではないかと。
そこで、現在は望遠鏡のプログラムをもっと知ってもらうために、看板を立てたり、アナウンスを増やすなどの工夫を行っています。
➖属性別の推奨度を比較して、滞在時間とNPSの相関も判明しましたね。
滞在時間が長いほど、NPSも比例して上がっていくことが分かりました。
1〜2時間程度滞在される来館者が多い中、より長く滞在して楽しんでもらうために、ミュージアムショップやカフェ、更には施設の設備や快適性にも工夫していきたいですね。
「宇宙への興味・関心」をNPS調査でどう計測できるのかが今後の課題であり、挑戦
➖最後に、今後NPSを活用して挑戦してみたいことを教えてください。
今年、施設の目標を再構築し、「市民の天文学リテラシーの向上」としました。
そこで、現状の来館者アンケートを大きくアップデートさせ、「宇宙への興味・関心がどのように変化したか」という新たな設問を加えました。
➖NPSを活用して「来館前と来館後で天文に関する興味関心はどのように変化しているか」を計っているんですよね。
はい、「仙台市天文台に来て、どれくらい宇宙・科学に興味を持ったのか」を指標として測ってみるという取り組みです。
これまでも測っていた来館頻度だけでは、宇宙への興味関心が醸成されているかどうか測れないため、設問を工夫しています。
来館前と後で興味関心度合いがどのように変化したかに加えて、変化したきっかけとなったコンテンツについてもフリーコメントで取得しています。
この取り組みは始まったばかりですし、大きなチャレンジだと思っています。
「興味・関心」という定性的な内容を、NPS調査でどのように測れるのかについて、私たちなりの解を見つけていきたいと考えています。
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感情データによって社内での納得度が醸成され、全社一丸となって取り組む上で貴重な材料になると感じました。