株式会社イノメディックス | 株式会社エモーションテック

CASE STUDIES

導入事例

株式会社イノメディックス

左から、
株式会社イノメディックス様
経営企画室長 山崎 洵様
営業本部 CXソリューション部長 長井 秀和様

物語に数字が伴うことで納得感が増し、CXマネジメントを推し進める力になる。イノメディックス社が目指すCX推進体制とは

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エモーションテック 編集部

NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。

医療機器商社として90年以上の歴史を持ち、東京都・千葉県においてシェアNo.1(※)の株式会社イノメディックス。
厳しい環境変化の中にある医療機関にさまざまな側面から、より複合的な提案ができるように「EmotionTech CX」を導入し、顧客のフィードバックをもとにサービス改善に取り組んでいます。

今回は、ご導入担当の営業本部 CXソリューション部長の長井 秀和様(以下、長井氏)と経営企画室長の山崎 洵様(以下、山崎氏)に、BtoB企業ならではの顧客の声の活用の難しさと、複数の部署で調査を重ねるなかで見えてきたNPS®調査の価値についてお話しいただきました。

(※:株式会社アールアンドディ「医療機器・用品年鑑2024年版」県別ディーラーシェアより)

本事例のサマリーと成果

導入のきっかけ
・顧客の体験を論理的に数字で表現したい
・NPSで顧客体験を数値化し、継続的にスコアを見ることでお客様のニーズを掴みたい
・長く継続することを前提に「わかりやすく」「継続しやすい」サービスを選定したい

導入による成果
・数値とビジュアルで顧客体験が示されることで、社内で課題に対する共通認識を持つことができた。また、課題認識の上、課題に対する打ち手を実施することができた
・お客様の本音が聞け、危険要素を抽出できることが明らかになった
・新たな付加価値となる気づきが得られた
・CXマネジメントに対する社内の理解が広がり、主体的に取り組めるように変化した

今後の展望・課題
・定型化、仕組み化し、組織として定期的・継続的に調査に取り組める体制の構築
・調査することが目的にならないよう、改善・フィードバックまで見越したサイクルの構築

導入の決め手は「重要体験」の見やすさと「継続しやすさ」

長井氏:CXソリューション部の部長をしております長井です。ITソリューションの導入・保守をするチーム、モニターの点検・修理・保守をするチーム、医療機器の設置をするチームの3つのチームを管理、マネジメントしています。

山崎氏:経営企画と事業開発の責任者をしております山崎です。経営企画として、会社の全般的なことに携わっているのと、弊社はオリックスグループですので、グループのシナジーを生かした新しい事業の開発にも携わっております。

長井氏:私たちは医療機関に対して医療機器を提供する医療機器商社です。医療機器の新製品開発競争は日進月歩でありますが、各メーカーによる機器の機能有意差は縮まってきています。また、弊社の同業他社も同じメーカーの製品を扱うことができます。

そんな環境下でイノメディックスを選んでいただくためには、顧客ニーズに合った最適な組み合わせで提供するなどの付加価値が求められます。そのため、お客様が自分たちに求めることを知りたい、知らなければならないと強く感じていました。

特に私のグループはお客様と日々接する部門であり、それぞれの商材・ソリューションを用いて「顧客の真のニーズを満たすこと」を目標にしています。

また、私自身も部長という立場で、部署の価値を経営層や社内に訴求していくにあたり、価値を定量的に伝えられていないという課題も感じていました。実際にご提案したソリューションに価値を感じてくださったドクターや看護師さんから感謝の言葉をいただくこともありますが、一体どれほどの価値を感じていただいた上でのお言葉なのかはわかりませんので。
そこで、経営層に部署の取り組みの価値が正しく伝わるように、顧客の「体験」を論理的に数字で表現していく方法はないかと調べる中で、『実践的CXM』(※)に出会い、NPSで体験を数値化し、スコアを継続的に見ていくことで、一定の基準でお客様のニーズを掴んでいけるのではと考えたことが導入のきっかけです。

(※)エモーションテックの代表・今西が執筆した書籍。2019年10月刊、2024年11月重版出来。

長井氏:複数のサービスを比較検討する中で、EmotionTechのソリューションはわかりやすく、これからCXマネジメントに取り組むにあたって使いこなせそうと感じました。

実際に使ってみて、カスタマージャーニーマップの「重み」が出るところがすごくいいと感じています。

直接お客様と対峙している私たちは「この体験が重要そうだよね」という感覚はあるのですが、その中での優先度まではわからないので、調査をした際にグラフで「ここの影響度が大きい」というのが数値とビジュアルで見られることで、「まずはここからだね」ということを、誰かの感覚ではなく納得感のある共通認識の上で進められます

それを社内で説明する際にも、「これこれこうだから、こうなっていると思うんです」という感覚や仮説ベースだったものを、「こういう結果があるからこれに取り組みます」とエビデンスをベースに説明ができます。何か新しい施策を行うためには、人員も予算も必要ですから、そのための説得材料としてこれ以上のものはありません。

山崎氏:長井さんと私では見ている事業の範囲は違うものの、現場にある物語と数字分析がセットになることで、納得感を生み出せるということは、私も同感です。

そして、それがとても掴みやすいのが、EmotionTechのプロダクトなのだと思っています。

長井氏:CXマネジメントは継続していくこと・長く続けることが重要だと考えていましたので、継続しやすい価格帯であったことも決め手の一つとなりました。

NPS調査という手法は、お客様がいる領域全てで使えるもの

長井氏:中期経営計画推進のリーダーである山崎さんに、課題とCXマネジメントについてお話しし、一緒にやりませんかとお誘いしたところ、私の部署だけでなく、別の事業でも役立ちそうだと導入から一緒に進めてくださることになりました。

山崎氏:自社事業に対してなんらかの価値を生み出しているはずなのに、その成果が可視化しにくいという長井さんの部署の課題感に非常に共感しましたし、CXマネジメントの考え方、NPS調査という手法は、長井さんが取り組もうとしている範囲だけでなく、お客様がいる領域全てで使えるのではないかとイメージが湧いたんです。

業界環境も激化していましたし、部署は違えど「なんとかしなければ」という課題感や志は同じでしたので、連携しながら同時期に調査を進める体制が作れました。

長井氏:私の方は大きく分けて3つの調査を行いました。システム(ITソリューション)のお客様とモニター点検のお客様に対しての調査、もう1つが仕入れ先のメーカーさんに対しての調査です。

調査の組み立てにおいては、相手によって設問数や聞き方を変えました。本当に聞きたいことを絞り込み、設問数を少なくした分、フリーコメント欄を用意するなど、アンケート設計においてはEmotionTechのご担当者にも相談にのっていただきました。

山崎氏:私が実施したのはSPD事業(病院の医療商材の購入から物流管理までを担う事業)における病院に向けた調査です。

医療機関に提供するあらゆる商材が対象となるため関係者が多く、調査設計には苦労しました。同じドクターという属性の中でも医療材料を「使う」方と、「購買の判断をする」方、あるいは「その両方を担う」方がいらっしゃって、立場によって弊社に求めるニーズが大きく異なります。

そこで、対象ごとに設問をカスタマイズし、一つの調査でアンケートを複数作成することで、私たちが本当に求める顧客の声を聞き出せるようにしました。

こうしたアンケート作成の複雑さ、対象となる人との関係値がある程度アンケート前に見えているというところがBtoCとは違う、BtoBならではの難しさなのではないかと感じました。

長井氏:BtoBは対象となるお客様との関係性がありますから、相手が見えていないアンケートは実施できないですね。ただ、対象幅が異なっても調査の基本的なベースは一緒なので、山崎さんが実施されている調査を見ていろいろと勉強させてもらいました。一つの調査を一緒にやるのではなく、違う調査を同時期に進めているからこそ学びが得られたと感じています。

顧客の声を知るタッチポイントを増やすこと、継続して調査することが大切

長井氏:良くも悪くも、実施して良かったです。当たり前のことなのですが、お客様が感じていらっしゃることは、やはり聞いてみないとわからないなと改めて強く感じました。

特に印象的だったのは、ある病院のドクターからの厳しいコメントです。現場の営業担当者側は、頻繁にコミュニケーションも取れているし関係性は悪くないという認識でしたが、アンケートを通して感じ方に乖離があるとわかりました。そして、それを知ることですぐにフォローアップができました。NPS調査は一つの手段ですが、こうして顧客の声、思いを知るタッチポイントを増やすことは、非常に重要です。

全体としてはスコア自体もすごく良かったですし、フリーコメントに寄せられた生の声にはすごく温かいものも多く、お客様、お取引先様からお手紙をいただいたような感覚がありました。メンバーのモチベーションも上がり、そういう面でも本当にやって良かったですね。
だからこそ、声は聞き続けなければいけないと考えています。

山崎氏:継続は必須だと考えています。そもそも私が調査を実施したSPD事業は、病院の医療商材の購買から物流管理までを担う大きな事業です。2〜3年の更新事業ですので、アンケートを実施して回答が得られたら、回答へのアクションも欠かせず、そこまでがセットです。

日頃聞こえてくる声もありますが、直接はおっしゃっていないけれども感じていらっしゃることもあると思います。そういう思いも、こちらからお聞きすると答えていただけます。

一度だけ「0点」という評価をいただいたことがあります。非常に厳しい評価だったので急いで関係者に内容を共有しました。実は、このような結果が出るかもしれないと想定し、担当部署で対応に着手し始めたところでした。そこで、改めて関係者全員で協議し、関係修復の改善活動へつなげることができたと考えております。

調査によりお客様の本音が聞け、改善が必要な状況を皆で共通認識することで、危険要素に対処できるということもわかりました。

長井氏:付加価値になる気づきは、本当にたくさんありました。メーカーから仕入れてご提供する立場として、商品そのものの課題に対して改善をご提案することは難しいのですが、それでもお声をお聞きし、お客様のお気持ちを真摯に受け止め、伴走していけるように成長していきたいですね。

山崎氏:お客様に伴走し続けるための隠れたニーズは調査で把握できたかなと考えています。また、自分たちの取り組みを生の声と数値で確認できたことも良かったです。

SPD事業においては、改めて基本的なことが重要だったということがわかりました。充足していたら普通、しかし不足していたら大きな不満につながる「基礎動作」が重要だと。予想もしていないような先進的なご意見や解決策が出るわけではなく、基本的なことをしっかりやり切ろうと改めて認識するきっかけになりました。

長井氏:山崎さんが言っていたように、NPS調査という手法はお客様がいる領域全てで使える一方で、アンケートをやって数字を取ることが目的にならないように、日頃からドクターや看護師さんとの関係性作りも大事にしています。まずは顧客との関係性を大切にするという基本的なことを行いながら、数値の面でも定期的に追っていく、そこが大事だと感じています。

社内のCXマネジメントはまだ3合目、仕組み化してフィードバックまでを継続して行える体制づくりが次の課題

長井氏:最初は「CXって何?」から始まりましたが、今や全員がより主体的に顧客を見て、ニーズに応じた価値を提供することを意識して行動できるようになりました。

今後は、ルールや仕組みを作り、調査をして、結果を受けて改善やフィードバックをするところまでを組織的にやりきれるようにしていきたいですね。

CXマネジメントへの理解も得られ、調査が実施できる環境にはあるので、定型化、仕組み化して、定期的に調査からフィードバックまでをしっかり行えるような体制を目指したいです。

最終的にはSFAでアンケートの結果やコメントが見られたり、マネジメントできる状態にしていきたいです。お客様の声をみんなに身近に感じてもらいたいし、そのためには仕組みづくりが必要です。

山崎氏:そこは全社的に、連携して組織的に対応していきたいですね。まだまだ調査の推進や、最後までやりきるという役割を私が担っている部分も多く、担当部署の誰かにバトンタッチして定期的に実施するサイクルが構築できればというのが次の狙いです。

先ほどもお話ししたように、NPS調査という手法はすべての領域で使えるものだからこそ、実施して価値が見いだせた領域では継続していける体制を作り、新しい分野にも広げていきたいです。

山崎氏:3合目ぐらいですね。私たち以外のメンバーが主体的に調査を進められるようになったら5合目だと思います。

お客様の声は、私たちが聞いていなくても「ある」ものですから、あるなら聞かないといけないですし、聞いたら向き合わないといけません。向き合い方にもいろいろな手法があると考えています。そこで価値を提供していく会社なので、勇気を持って取り組んでいきたいですね。

長井氏:こうしてお客様の声が聞けるツールがあるので、CXを起点にしてお客様と一緒に理想の未来、お客様が目指したいところに向けてやっていきたいと思っています。

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