CX
公開:
2016.11.18
パーソルキャリア株式会社
パーソルキャリア株式会社
コーポレート本部 戦略人事統括部 組織・人材開発グループ 千葉康昭様
転職希望者のキャリアアドバイザーに対する推奨意向を把握 競合分析も踏まえて、推奨意向・決定数の向上を実現
エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
サマリー
課題
・“顧客親密”というビジョンのもと人材紹介事業を運営する中で、転職希望者の真の声を把握しきれていないとの課題認識があった
・システム的な制約もあり、キャリアアドバイザーにタイムリーな情報共有ができていなかった
成果
・EmotionTech CXのNPS®調査を導入後、推奨意向でサービスの評価を把握。NPS®の競合調査も踏まえて、業界における自社のポジショニングを特定し、より精度の高い戦略立案、施策実行、検証のサイクルをまわしている
・EmotionTech CXのシステムを活用することで、日次で回答結果をキャリアアドバイザーに共有できるようになった
・また、定期的にキャリアアドバイザー個人の行動改善と組織としての行動定義の明確化を行うことで、決定数と推奨意向が向上した
導入のきっかけを教えてください。
リーマン・ショック後の経営環境の変化などを受けて、単純な業務量で成長を担保するのではなく、企業として生産性を高めつつも、顧客への価値提供にこだわり、顧客満足度も高めながら、持続的な事業成長の出来る事業体への転換期を迎えました。特に、2014年以降は、「顧客親密経営」という方針を掲げています。
「顧客親密経営」とは、「顧客以上に顧客を知り、顧客固有の課題解決を通じて、顧客と共にビジョンの実現をすること」と定義しています。
その事業方針に基づき、顧客親密経営の推進度合いを計測するスコアとしてNPS®(ネット・プロモーター・スコア/推奨度)が最適であると考え、2014年より導入しました。
人材紹介事業においては、法人と個人の顧客が存在しますが、コーポレート本部 戦略人事統括部 組織・人材開発グループにて、法人・個人双方のNPS®の計測、それに伴う顧客満足度調査の企画・運用をしています。
これまでも、満足度アンケートを実施していましたが、「満足した」からといって必ずしも推奨意向が高まり、法人側のリピートオーダーに繋がったり、個人側のご友人紹介に繋がったりという、満足と事業収益上の相関関係が曖昧な部分がありました。また、従来のアンケートでは、回答の真意を把握しにくい面もありました。
そのような時に、EmotionTech CXのサービスを知り、総合満足度ではなく、推奨度を高めるためには具体的にどのプロセスでの顧客満足度を高めるべきなのか、よりお客様の声の収集と統計的分析からの示唆を得ることを期待しました。
どのようなNPS®(ネット・プロモーター・スコア/推奨度)調査を実施していますか?
今回は自身の担当している個人側のお客様向けの調査概要をご紹介します。調査の内容としては、人材紹介の個人のお客様に対して、キャリアアドバイザー(以下、CA)の推奨意向をお伺いしています。
具体的には、「友人・知人に、CAを紹介したいか?」を10~0点の間の点数で評価いただき、その理由をフリーコメントで回答いただいています。
調査の結果はどのように活用されていますか?
候補者様の推奨意向とその理由については、回答いただき次第、日次で担当のCAに共有し、適切なフォローを行うようにしています。
従来のアンケートでは、タイムリーな共有が難しい面もありましたが、EmotionTech CXのNPS®調査を導入後はシステム的な環境も改善し、対応スピードの最速化に繋がっていると思います。
また、日次の共有に加えて、月次、半期ごとの集計も行い、「何が良かったのか、どこを変えてほしいのか」というお客様の声を実務に落とし込みしやすいように、データの共有についても配慮をしています。
また、CA個々人への教育、日々のマネジメントなどを通じた個人レベルでの対応改善だけでなく、組織的にもCAのマストアクションを定め、キャリアカウンセリングに臨む前に行うアクションや、カウンセリング後の案件紹介においても必ず実施すべきアクションを設け、またその実行率を計測・フィードバックするなど、個人・組織両方の観点からNPS®を高めるための取り組みを行っています。
このように基礎行動の定義をしながら、実施状況の計測を継続し、研修も行うことで、CA業務の質の向上に取り組んでいます。現状の成果としては、転職先決定顧客数の向上に比例して推奨意向も高まっているという好循環を生み出せています。
調査において、改善を進めてきた点はありますか?
導入直後のNPS®の調査においては、サービスインされている個人側の顧客数と、実際に当社経由で転職のご支援ができている顧客数を勘案した際に、当初出てきたNPS®があまりにも高すぎると感じたことがありました。
当時は、候補者様がサービスインされアドバイザーとのカウンセリングを受けられた直後や、そこからXヶ月後などと当社のサービスプロセスに応じたタイミングでアンケート回答を依頼していました。
提供するサービスの特性上、アドバイザーとのカウンセリング直後は満足度が高く、推奨意向も高く出る一方で、実態としては複数案件へ応募・書類選考・面接などを繰り返す中で、当然ながら一喜一憂しながら転職活動を進めていくわけです。
そこで、当社のサービスプロセスではなく、お客様の活動実態(動線)に合わせたタイミングでのアンケート取得へと運用フローを改善しました。一度始めたものの仕切り直しとはなりましたが、現在では業務実態にも則したスコアが計測できていると確信が持てています。
候補者様の推奨意向は事業において重要な指標ですが、自社の評価だけを見ていても顧客の真意を見誤るとも感じています。EmotionTech CXのプラットフォームにおいて、競合比較を行い、より客観的な実態の把握も行っています。
競合との比較を行うことで、業界における自社の強み・課題がより明確になりますので、顧客戦略の立案においては有用なデータとなっています。
さらには、自社の独自調査も含めて複眼的に分析することで、事業の収益性を高めながらも、お客様の満足度や推奨意向を高める打ち手に繋げています。
今後の展開について教えてください。
効率的な経営や生産性向上を追求すると、ともするとオペレーショナルエクセレンスを追求しがちです。
しかしながら、当社の展開する事業は、「個人のキャリア」や「企業の成長」のご支援です。
事業運営上、NPS®も重要な指標として認識していますが、個人・法人のお客様にとって何が本質的な課題なのか、そして個人・法人のお客様が持続的な成長を成し遂げるために、当社がすべきご支援は何なのか、個々のお客様に合わせた最適解を見据えた価値提供を行い、いかにしてNPS®(ネット・プロモーター・スコア/推奨度)を向上させていけるのか、調査結果のインサイトをもとに新しい取り組みを常に改善し続けていきたいと考えています。
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退会率や入会率にも数字として成果が現れ、顧客ロイヤルティが成長の鍵であることを実感しています。