京都生活協同組合 | 株式会社エモーションテック

CASE STUDIES

導入事例

京都生活協同組合

左から、
京都生活協同組合
店舗運営部マネジャー 吉田 博信様
サステナビリティ推進部 日比 明子様
店舗事業系統 統括マネジャー 日笠 直道様
店舗運営部 松井 聰様

地域の頼れる存在であり続けるために。NPS®を活用した改善サイクルで店舗の変化を実感

このコラムの執筆者
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エモーションテック 編集部

NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。

1964年の設立から60年以上にわたり京都府において宅配・店舗事業を中心に、暮らしに関わる事業を展開している京都生活協同組合。

2019年から「EmotionTech CX」を導入し、トライアルの取り組みを経て、2025年から全店舗でNPSを中心にした継続的なCX改善サイクルの取り組みをはじめました。

今回は、1年がかりで行ったトライアルの責任者である運営部マネジャーの吉田 博信様とCX推進を先導されてきたサスティナビリティ推進部の日比 明子様、実際に店舗の現場で取り組みを主幹した松井 様、お取り組みの決裁者である統括マネジャーの日笠 直道様に、トライアルで感じたCXマネジメントの成果と、全店舗への展開にあたっての展望を伺いました。

本事例のサマリー

<全店舗展開までの経緯>

<トライアルによる成果>

 ・顧客からの評価実感により店舗スタッフの意識が変化し、店舗の雰囲気が向上した
 ・店長が自身の店舗の課題を把握し、仮説を立てて改善施策を実行できるようになった
 ・店長同士で情報交換しながらポジティブにCXマネジメントに取り組める体制が作れた
 ・「どうしたら実現できるか」を考え、改善を積み重ねる意識が高まった

<全店舗展開におけるポイントと期待>

 ・トライアルで見えた運営の課題を活かしたCXマネジメントサイクルの実施
 ・トライアル店舗の店長を巻き込んだフォローアップの実施
 ・ポジティブな雰囲気の全店舗への拡大
 ・改善継続の徹底による顧客からの信頼獲得

現場は大変。だからこそ共通の指標で現状把握をすることが重要になる

日比 明子氏(以下、日比氏):「EmotionTech CX」を導入したのは、2019年のことです。ちょうどリブランディングをはじめるタイミングでした。若い方や子育て層にももっとご利用いただけるよう、自分たちの価値を再認識し、強み・弱みを把握し、リブランディングの成果を定量的に数値で把握することを目的に導入したと、導入担当者からは聞いています。

私は2020年にブランディング広報として、CXマネジメントの取り組みを引き継いだのですが、取り組む中でNPSというのはデザイン性の高いアンケートなのだと気づきました。

ブランディングにおいては、伝えたい情報をどのような形で発信すれば受け手が受け止められるのかを考え、デザインすることが重要です。伝えたいことをそのまま伝えても、受け止めてもらえなければ伝わりませんから。

NPSという指標を用いることで、事前に情報を整理して、こちらの得たい情報を負担なくお答えいただけるようデザインできるのだと考えています。

吉田 博信氏(以下、吉田氏):日比の主導でNPSは毎年とり続けており、22年には基幹店のリニューアルオープンに伴い課題把握調査をしたこともあり、私もスコアの見方や定義を教えてもらっていたのですが、「NPSが欠かせない」と納得感を得たのはアメリカへ研修に行ってからです。CXを重視しているアメリカのスーパーで実際に現場の様子を見て、現場が大変だからこそ、全店舗で誰が見ても同じように現状を把握できる共通の指標を持ち、運営部で整える仕組みを作ることが大切なんだ。NPSはそれを支える仕組みなんだと理解できました

NPSを起点にした改善のサイクルを運営部が整えることで、現場の負担も軽くなるし、組合員(※)の皆さまにもよりよい体験を提供できる。それは私たちが掲げる中期計画の「暮らしへの役立ちを高め」「持続可能な世界の実現に貢献」することだと、いくつもの点と点が結びつき、一本の線が見えたように感じました。

(※ お客さま、顧客のこと)

日比氏:現場の忙しい店長たちにとって、アンケートの実施・分析、そして改善という一連のCXマネジメントの取り組みは、「もっと忙しくなること」とネガティブに受け取られがちなんですよね。

それまでも勉強会やマネジャー会などでCXマネジメントの重要性を伝えてきましたが、理解者が少ない段階では部署だけに閉じてしまいます。宅配担当から店舗担当、店長と歴任してきた吉田さんがそう言って一緒に取り組んでくれるなら、「アンケートから重要なこと・不要なことを見つけられればもっと楽しく前向きに仕事ができる」ということを、現場の店長たちにも理解してもらいながら広げられると感じました。

5店舗でのトライアルを経て、全店舗でのCX推進体制を構築

吉田氏:京都生協は全部で18の店舗があります。そのうち5店舗を選び、「トライアル店舗」として、店舗課題把握調査をし、その結果を分析して読み解き、改善施策を検討し、店長同士でネクストアクションを宣言する会を行い、実際に施策を実施。その後、施策の効果を測定するための調査をし、またその結果を分析して効果を検証する。次の施策の宣言と効果についてシェアする会を行い、組合員さんにもお答えいただいたアンケートに対してどのような施策を行い、どのような結果になったのかについてフィードバックを実施しました。

先ほどから何度も出てきているように、現場の店長は本当に忙しいんです。店長はオールラウンダーのプレイングマネージャーですから。

ですので、納得できないまま「いいからこれをやれ」と言われても、できない理由は山ほどあります。無理に押し通して関係性が悪化するのはこちらの望むところではありません。

そこで、実際に店舗の責任者である店長に納得して自分の声で効果を伝えられるようになってもらいたいと考え、トライアルとしてまずは5店舗でCXマネジメントのサイクルを作ることにしたんです。

トライアルの推進に関わったのは主に12名、日比を中心とした調査設計担当、データ分析・アンケート配信担当、そして実際に施策を実施し効果検証をする5店舗の店長です。

日比氏トライアルをしておくことで、全店舗展開にあたっても店長同士で相談がしやすいなどの効果があると考えました。本部に聞くのは抵抗があっても、先行した店長になら気軽に聞けますから。

吉田氏:そのためにもトライアルの5店舗の店長は、あえて違うタイプを選びました。ポジティブな方、気づきが多い方、合理的な考えをする方、深く考えるタイプの方とお声がけしたので、実は最初は「やりたくない」と考えていた方もいます。逆に、「ぜひやりたい」と立候補してくださったのに、トライアル店舗から除外させていただいた方もいます。

運営部の独りよがりにならないように、ともにCXマネジメントを進める仲間づくりという意識もありました。
アンケートの配信にあたってはデジタルイノベーション部の方に入っていただいたり、チーム分けをして横連携を強めながら進めました。

日笠氏:吉田くんの店長の人選のバランスもよかったですね。当初は乗り気でなかった店長も、次第に効果を感じて積極的に取り組んでくれ、こうした変化にも、組合員さんの声をもとにした改善サイクルの効果を感じました。

もともと京都生協には、組合員さんのお声を聞いて動くという組織文化があります。日々やっていることを見える化するこの取り組みを進めることで、店長の業務もスマートになり、計画にも深みが出ると考えています。

吉田氏:「楽しんで」という言葉は意識的に使っていました。本部と現場の温度差が発生しないように、アンケート結果を分析し、検討した改善施策を発表する会を「アクション宣言会」「シェア会」と名付けて楽しめるように工夫しました

こうした会では、やはり参加しやすい環境を整えることが運営側の重要な仕事だと感じました。しっかり報告書のフォーマットを作り込み、店長たちが発信しやすく整えた回と、準備不足だった回では盛り上がり方が違いました。

日比氏:モチベーション維持の工夫を言葉にするとしたら、「楽しむことを伝える」「フォローアップする」「安心して話せる環境を作る」でしょうか。

CXマネジメントの取り組みもはじめてですし、運営側だって正解を持っているわけではないので、交流会や宣言会での発言はすべて正解だという前提で、すべての発言に「いいですね!」「いいよね!」「それいいね!」と反応していました。

初回のキックオフが固い雰囲気だったので、二度目からは雰囲気づくりを意識したところ、議事録を書くのが間に合わないくらい盛り上がりました。

松井氏:私は最初乗り気ではなかったのですが、実際にやってみるとお褒めの言葉が多く、効果検証では改善施策として力を入れて取り組んだことが組合員さんに伝わっていることもわかり、自身とスタッフのモチベーションにもつながりました。このサイクルを続けていくことで、店にとっての効果的な改善方法も見えるし、より信頼してもらえる店舗になっていくと思います。

うちの店舗ではパートさんが遊び心たっぷりにPOPに商品のおすすめポイントを書いてくれたり、不足に対してスタッフが意識を高めてチェックするようになったり、店舗全体の雰囲気が前向きになりましたね。私自身も、後半は心から楽しみながらやっていました。

スタッフのモチベーションUPにもつながる「店長同士のアクション宣言」と「顧客へのフィードバック」

吉田氏:エモーションテックの担当の方が会議中に提案してくださったのがきっかけです。その頃にはトライアル店舗の店長たちも主体的に関わるようになっていたので、「いいね!」「やろう」と盛り上がってその場で実施が決まりました。アクション宣言・シェア会をすることで店長同士でアドバイスや意見交換もでき、他店の施策を自店でもやってみようと持ち帰る好循環も生まれました。

組合員へのフィードバックでは、店長たちもこのために写真撮影をしたり写真を加工したりと楽しく実施してくれました。店舗の掲示ルールが決まっているなど、実施にあたって困難がある中で、「どうしたら実現できるだろうか」という視点でどんどん意見が出てきたのがよかったですね。

日比氏:私たちの取り組みを進める上で、エモーションテックのカスタマーサクセスの担当者が伴走し、専門家の目線でアドバイスをくださることが大変ありがたかったです。支援が「EmotionTech CX」を使ってできることだけに止まらず、私たちが実現したいCXマネジメントのためには何が必要なのかを考え、困りごとに心を寄せていろんな提案をしてくれました。

吉田氏:「私たちの声が届いて嬉しいです」というコメントがあり、組合員さんの声を元に改善しようという取り組みがしっかり届いていることが感じ取れて嬉しかったですね。フィードバックをした後、「普段はアンケートには答えないけど、アンケートへの返答があったから答えました」というお声もありました。

このように自分たちの取り組みが利用者さんに伝わっていることがダイレクトにわかるというのは店長やスタッフにとっても嬉しいことだと思います。松井さんは何か聞いていますか?

松井氏:組合員さんから直接声をかけられるということはありませんでしたが、職員からは「LINE見たよ」「写真写りが悪いなあ、もっと男前やのになあ」とコミュニケーションが生まれるきっかけになりました(笑)。
嬉しい、楽しいという気持ちが今後につなげていきたいという意欲になりましたよ。

顧客からの信頼獲得の積み重ねで、持続可能な事業推進の実現へ

吉田氏:これまで見えなかったことが可視化され、年度はじめに作成する「店長行為計画」に深みが増したように感じています。品揃えの強化や時間帯別での欠品コントロール、一人分の総菜を新たに商品化するなど、求められることは店舗ごとに違います。店長一人ひとりがそれぞれのやり方で職員にもフィードバックをし、店舗をよりよくするために仮説をたて、改善を実施していきました。こうしたことは店長の自信にもつながるでしょう。これからますます変化が生まれて、マネジメント向上により職員の喜びにもつながると考えています。

日笠氏:こうして声と向き合って取り組むことで、トライアル店舗全体がポジティブになりました。店長もパート、アルバイトの職員も笑顔が増えて雰囲気がいいというのは、店舗に行くと感じます。組合員さんにとってより良い店舗になったことはもちろん、働く職員にとっても良い環境になっています

1年の取り組みでの効果としては非常に大きく、このポジティブな雰囲気を全店舗に展開できるのが楽しみです。私たちが理念として掲げる「頼もしき隣人たらん」に向け、このサイクルをしっかり継続してまわしていきたいですね。

吉田氏:全店舗に取り組みを広げるにあたって実施したキックオフでは、「まだよくわからない」「不安」という声もありました。厳しいコメントがくるのではという不安もあるようです。ですが、トライアルで「不安・心配」「やりたくない」と感じていた店長も「やってよかった」「めっちゃ楽しかった」と言ってくれたように、また良い変化が起きるのではないかと期待しています。

店舗運営部としてもトライアルでの学びを活かして、全店舗にこの良い波を広げていきたいと思っています。トライアルで取り組んだ店長からは「トライアルでやりきれなかったことを実現したい、今期の調査も今からめっちゃ楽しみ!」と継続に向けたポジティブな声が上がるなど、私たちだけが推し進める体制でなくなってきたことも心強く感じています。

吉田氏:最初は手探りでも大丈夫です。一緒に悩み、学びながら進めば、きっと良い形が見えてきます。
CXは、特別なことをするというよりも、日々の組合員の皆さま(お客様)との接点を大切にすることの積み重ねだと思います。
目の前の組合員(お客様)の声に耳を傾け、小さな工夫を重ねていくことが、やがて大きな信頼や喜びにつながっていくと思います。
誰かの笑顔のために、そして一緒に働く仲間と前向きな空気をつくるために、まずは小さな一歩から始めてみましょう。

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