CX
公開:
2023.02.10
三井住友海上火災保険株式会社(東芝保険サービス株式会社)
(写真中央)東芝保険サービス株式会社 取締役 リテール営業グループ担当 松本佳憲様、(写真右)三井住友海上火災保険株式会社 経営企画部 CXマーケティングチーム 課長代理 神山貴弘様、(写真左)三井住友海上火災保険株式会社 総合営業第一部 東芝室課長代理 根本淳平様
データドリブンな施策で、前年対比の客単価が1.3%向上、脱退率が5%改善。調査から見えた“真の事実”で事業成長を促す、東芝保険サービスと三井住友海上のCXMとは?
エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
今回は、東芝グループに所属する従業員の健康や安全を様々な保険サービスで支援する東芝保険サービスと、保険商品を提供する三井住友海上火災保険株式会社を取材しました。人口減少などの社会的背景を受け新規加入者が伸び悩む中、いかに事業を成長させていくべきか。東芝保険サービス、三井住友海上火災保険が共に考える、顧客との向き合い方を取材しました。
本事例のサマリー
加入者が飽和状態となり、新規加入者獲得から既存顧客へ目を向けたロイヤルカスタマー創出を目指す東芝保険サービス。カスタマージャーニーに沿った顧客体験毎の調査や、ロイヤルティと収益指標との相関が確認できるEmotionTech CXを導入し調査を行った結果、「顧客の真の事実」が見えてきた。クロスセルや顧客接点を増やした結果、単価や脱退率を改善させることに成功し、新規加入に頼らない事業成長を実現している。
・EmotionTech CX導入による成果
ロイヤルカスタマーの創出と、収益指標としている単価や脱退率の改善
東芝保険サービスでは、昨年はじめて顧客体験調査を開始されましたね。これまでは顧客満足度調査(CS調査)を実施していたとのことですが、顧客体験調査(CX調査)にシフトされようと思った背景について教えてください。
東芝保険サービス株式会社 取締役 リテール営業グループ担当 松本佳憲様
松本 佳憲 様(以下、松本氏):私たち東芝保険サービスは、東芝グループの社員および退職者の皆さまを対象に、さまざまな保険を提供しています。これまでは一人でも多くの方に保険にご加入いただけるよう、新規加入者数を増やすことに注力してきましたが、昨今の人口減少や少子高齢化などの社会課題に伴い、加入者数が飽和状態となり、新規加入者が伸び悩んでいます。
このような中、新規加入者を増やすことではなく、すでに保険にご加入いただいているお客様との信頼関係の構築にあらためて目を向け、一層ファンになっていただくことが大事だと考えています。
代理店として弊社が取り扱う保険会社の1社でもある三井住友海上火災保険さんとは、ロイヤルカスタマー創出に向けて何ができるだろうかというテーマでかねてより相談に乗っていただいていました。
(写真左)三井住友海上火災保険株式会社 神山貴弘様(経営企画部 CXマーケティングチーム 課長代理/前:総合営業第一部 東芝室)(写真右)三井住友海上火災保険株式会社 根本淳平様(総合営業第一部 東芝室 課長代理)
神山 貴弘 様(以下、神山氏):松本さんとのディスカッションもあり、次なる一手を模索していたところ、エモーションテックのCXの講演を聞く機会がありました。
根本淳平 様(以下、根本氏):顧客と企業との接点を顧客視点で捉えるカスタマージャーニーに沿った調査ができる点や、顧客ロイヤルティを推奨度やNPSという定量的なスコアで捉え打ち手を打っていくという内容を伺って、「これだ」と確信を持ったことが導入のきっかけでした。
松本氏:これまで行っていたCS調査では、調査後の打ち手が取りづらいという課題感を抱えていました。NPSを活用したエモーションテックの顧客体験調査の話を聞いた時、顧客ロイヤルティとその要因を定量的に可視化できるのなら課題感を明確にすることができ、打ち手に迷いがなくなると思いました。
今回実施したCX調査の内容について教えてください。
松本氏:当社のコア商品である自動車保険「東芝ザ・用心坊」と傷害保険「せいかつ(生活)保障プラン」についての調査を行いました。「あなたは東芝ザ・用心坊(せいかつ(生活)保障プラン)をどれくらいおすすめしたいですか」というNPSの質問に加えて、推奨度に影響を与え得る顧客体験について調査を実施しました。
調査結果からは、どのようなことが見えてきましたか。
松本氏:顧客にとっての真の事実が見えてきました。
調査をするまでは見抜くことが出来なかった意外な事実が明らかになったのですが、これはエモーションテック導入の一番の成果だと思っています。
例えば、保険料の「価格」。
価格が安ければロイヤルティは向上するものとばかりに思っていたのですが、調査結果からは価格よりも「営業担当の対応」が重要体験となり、寄り添ってくれている姿勢を重視するお客様が多いことがわかりました。
この結果を受けて、これまでチラシを活用した営業活動を行っていたところを、お一人おひとりの状況に合わせた1to1の営業スタイルに変えることにしました。
これまでは新規顧客に関するKPIを追いかけていましたが、1to1を重視したことで、お客様のご家族への加入促進や、契約のオプション数などを新たなKPIに置くなど、クロスセルやアップセルに注力することにしました。
また、自動車保険と傷害保険のどちらか一方に加入しているのではなく、どちらにも入っていらっしゃる方のロイヤルティが高いこともわかりました。ここから、自動車保険に入っている方に傷害保険に入っていただく働きかけをすることが有効な打ち手なのだとわかりました。
認知経路の分析からは、チラシにあまり効果がないこともわかりました。それよりも、先輩からの口コミや、保険が福利厚生の一貫であることから、社内の厚生担当から直接説明がある方が効果が高いといったことがわかりました。
調査から得た真の事実は、その後、有効な施策に繋がりましたか。
松本氏:有効な施策に繋がったのはもちろん、収益指標としている単価や脱退率も改善しました。
先ほどお伝えした通り、新規獲得ではなく既存顧客に向けたクロスセルに注力することにした結果、一人当たりの単価が前年比で1.3%向上しました。
また、お客様接点の回数も非常に重要であることがわかりました。
推奨度が高いお客様でも、接点が減れば推奨度が下がってしまうことが判明し、年間で少なくとも3回以上は接点を持つようにすることを決定しました。
ご加入者のお誕生日にお祝いメールを配信する他、翌年以降に保険料の値上がりが生じる数千名のお客様を対象に直接お電話をして、詳細のご説明や有益な補足情報をお伝えさせていただくなどもトライアルで行いました。以上のように新たな接点を作った結果、脱退率も前年比で5%改善しました。トライアルで行った電話での事前連絡については、今後その対象人数を拡大していく予定です。
また、オンラインでの営業シーンが増えた今、WEB上での営業活動向上のため、プロの講師を呼び、WEB面談のトレーニングなども開始しました。
エモーションテックを導入されて感じたメリットについて教えてください。
松本氏:データによる顧客ロイヤルティの可視化によって、PDCAが回り出したことです。
結果を数字で確認できることで、社内でも様々な説明をしやすいですし、意思決定しやすく、予算取りもスムーズになると思います。
根本氏:東芝保険サービスでは、かねてより顧客に向き合ってきましたが、エモーションテックを通して顧客の声を可視化できたことで、これまで以上により一層向き合う姿勢が育まれているのは、非常に大きい成果だと思っています。
神山氏:調査を通して、エモーションテックのコンサルタントの方が、とても熱心に分析にあたってくださったのが印象的です。時に分析はドライで無機質なものになることもありますが、エモーションテックでは「温かみのある分析」をしてくれます。だからこそ、施策に柔軟に落とし込むことが出来たのではないかと思っています。
今後挑戦なさりたいことについて教えてください。
松本氏:脱退者数0名を目指していきます。そのためにも、CX調査を続けていくことに意味があると思っていますので、今後も定常的な調査を行っていきます。
神山氏:今回の調査で、重要な顧客体験がわかりましたので、次はCXの質を向上させていくことが重要だと思っています。
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