CX
公開:
2019.09.13
株式会社ネオキャリア
執行役員 堀内 猛志(ほりうち たけし)様
人事戦略本部カルチャー推進部 マネージャー
加藤 千幸(かとう かずゆき)様
NPSで「ファンメイキング」を定量化 浸透・課題の可視化から収益相関性の検証までの取り組みとは
エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
カスタマーエクスペリエンスへの取り組みのきっかけ
ネオキャリアでは、全社の目指すべき方向として、2018年から「Fan Making(ファンメイキング)」という言葉を使っています。
それまでは、ネオキャリアのサービスを利用していただく企業を増やしていくために、いわゆる新規営業を中心に業績を伸ばしてきました。
一方で、既存の顧客に、より長くサービスを利用していただくためには、どのような体験を提供するのが有効なのかを可視化するうえで、NPSの調査をすることになりました。
「ファンが増えているか」をNPSで計測
サービス利用企業にネオキャリアのファンになってもらうことが、「ファンメイキング」の目的です。
ファンになってもらうためには、「当社のサービスを通してどれだけ良い体験をしたか」が重要だと考えています。実際、長くサービスをご利用いただいている企業は、営業担当と密な関係が築けているなど「良い体験」を提供できているケースが多く見られました。NPSはこの様な顧客体験による価値を数値として把握できること、また人材業界でも導入し始めている企業がいたことから、活用することを決定しました。
「ファンを増やそう」というだけでは定性的な目標となってしまいますが、NPSという指標を活用することで定量的な目線になり、情報交換もしやすいというメリットがあります。NPSにより、施策を実施した前後での比較がしやすくなるのではないか、と考えました。
会社全体に浸透させるための3つの施策
・検証段階を経て、全社施策へ展開
これまで取り組んできた手法とNPSが馴染むのかを検証するため、まずトライアルを実施する部門を決め、段階的にスタートさせていきました。またファンメイキングの取り組みも、いきなり舵をきったわけではなく、あくまでもNPSは売上とは別の指標としてモニタリングすることから始めました。
・関係各所への勉強会を実施し、全社で目線を揃える
トライアルを実施している部門が成功し始めると、他の事業部からもやりたいという声が上がりました。しかし、当時はまだNPS向上施策の理解度に差があり、その状態で全社へ展開しても、上手く活用できないのではないかという懸念がありました。そのため、まずはそれぞれの事業部の責任者に取り組む意味合いを理解してもらおうと考え、役員・事業部長全員へ説明会を実施することにしました。
役員向けには、主に顧客体験を向上する意義や施策概要に関する勉強会を、事業部長向けにはより実務寄りの勉強会を実施しています。少しでも理解度を高めるために、クイズ形式を取り入れたりもしました。その後、事業部の責任者だけではなく、若手向けの研修コンテンツとしてNPSを説明するなど、階層別に理解を深める場を設けました。
・「NPS」ではなく、「FMS(ファンメイキングスコア)」と名称を変更
当社では「ファンメイキング」を達成するためにNPSを用いているため、その目的をより意識してもらえるように、NPSという名称を「FMS(ファンメイキングスコア)」と変更して使っています。
企業文化として浸透させていくためには、より身近なワードを用いていくことが有効だと考えています。
・成功事例は「ファンメイキンググランプリ」で表彰
当社では、顧客体験向上に取り組むためのノウハウを共有することと、素晴らしい取り組みを実施した社員にスポットライトを当てる目的で、「ファンメイキンググランプリ」という表彰制度を実施しています。これは、単にNPSが高かった人を表彰するものではなく、顧客体験向上につながる良い取り組みを行った社員を周囲の人が推薦し、そのプロセスを評価するものです。
評価にはいくつか基準があり、顧客的な視点であるか・論理性があるか・成果がともなっているか(または今後見込めそうか)・そして再現性があるかという点で評価しています。各事業部から選出された代表者はまず16名までに絞られますが、最終的に残るのはわずか4名です。その4名が社員総会にてプレゼンをし、優勝者を決定します。
第一回目は昨年10月の社員総会でしたが、反響がよく、その舞台に立つことが顧客体験施策を推進する一つのモチベーションにもなっています。
さらには、良い取り組みも事例としてノウハウが蓄積され、好循環を生み出す仕組みをつくりました。
各部門で課題は異なるが、「顧客との連絡頻度」は共通して重要
エモーションテックの調査を通して見えてきたことは、どの事業体においても共通して、連絡頻度がカギとなるということです。こまめに連絡を取ることで、顧客との良い関係づくりができ、NPSが向上することがわかりました。
例えば弊社のメディアに採用広告を掲載した顧客に対しては、「掲載後1週間は集中して連絡を取り続ける」といったように、どのタイミングで連絡するのかという点まで考え、顧客の要望に合わせて接点を増やすことが重要だとわかりました。
また、基本的なことですが、時間や約束をきちんと守ることが顧客との信頼を生みますし、逆に連絡が少しでも遅れると信頼を失うことにつながるということが見えてきました。
その他にも、顧客体験の改善は部門最適では達成し得ないということも見えてきました。新規営業の部門は受注数を増やしていくことがミッションですが、受注してから既存フォローの部門への引き継ぎが上手くいかないと、NPSが低くなってしまいます。この課題を解決するために、新規営業が受注した後には、フォロー担当が同席するミーティングを設けました。そうすることで、顧客が当サービスに期待していた内容を、フォロー担当にスムーズに共有することができるようになります。顧客にとって、「ネオキャリアでの体験」に一貫性を持たせる工夫の一つです。
その他にも事業部ごとに気づいたこと、改善点の大きそうなポイントに関して、色々な検討がなされています。
今後は顧客体験向上が、企業収益に与える影響を検証していく
今後は顧客体験の改善が、企業の収益にどのような影響を与えるかについて検証していきたいと考えています。
例えば、連絡頻度を高めることでNPSがどの程度上がり、NPSが上がるとリピート率がどの程度改善するか。この活動と成果を一本の線として、現場の営業担当、フォロー担当まで認識してNPS向上に取り組めたらとても良い循環が生まれると思っています。
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NPS調査やCXMをうまく社内で運用してほしいという姿勢があり、いつも素晴らしいなと思っています。