EX
公開:
2021.06.28
サトーホールディングス株式会社
(写真左)サトーホールディングス株式会社 国内人財開発室 人財マネジメントグループ 青山 和広さま
(写真右)サトーホールディングス株式会社 国内人財開発室 室長 小板橋 宏康さま
更なる働きがい向上を目指し、従業員体験調査を始動。 創造性に富んだ人財育成を目指す、サトーホールディングスの取り組みとは?
エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
自動認識ソリューションで国内シェアナンバーワンを誇り、2020年11月に創業80周年を迎えたサトーホールディングス株式会社。従業員体験の提供を施策に取り入れ、社員の働きがい向上を目指す、国内人財開発室のお二人にその過程を取材しました。
働きがい向上の第一歩は、正しく現状を把握することから。
ー国内人財開発室のミッションと、EmotionTech EXの導入背景について教えてください。
小板橋氏:
サトーの理念に、「あくなき創造」という言葉があります。
これは創業者であり発明家であった佐藤 陽が提唱した考え方で、「常にイノベーションを生み出し続ける」という意味です。佐藤自身が世の中に必要なものを創り続ける発明家だったことから、この理念が生まれました。
サトーホールディングス株式会社 東京本社のエントランス。創業者、佐藤陽氏のものづくりの歴史を辿ることが出来る。
今、私たち国内人財開発室が最も力を注いでいるのが、この「あくなき創造」を体現出来るイノベーティブな社員の育成と、成果につながる働き方の実現をサポートすることです。
サトーホールディングス株式会社 国内人財開発室 室長 小板橋 宏康さま
これまでサトーホールディングスでは、健康経営を実現するため、社員の心身だけでなく会社全体としての健全性を目指すことに注力してきました。私たち国内人財開発室も、この健康経営を推進することを目指し、社内の制度面の整備や風土づくりを担ってきました。
その結果、2017年に「働きがい向上委員会」が立ち上がり、「働きがい」に繋がるような制度面の拡充が進みました。例えば、フレックスタイムの適用範囲を拡大したり、月の半分まではオフィスではない場所で自由に働くことが出来る「どこでもワーク」という柔軟な働き方制度などが作られました。
それ以外にも、2013年に法整備がなされる以前の2007年から65歳までを定年と定めていたり、育児休暇も3年程ゆっくり休めるような制度を整えているなど、サトーは制度面では、他企業と比べても大変充実している会社と言えると思います。
ただ、このように「働きやすい制度」が整っている一方で、果たしてそれらが本当に社員のイノベーション創出や、「働きがい」に繋がっているのだろうか?といった疑問もありました。
このような不透明な課題をクリアにするためにも、サトーの「働きがい」に関する調査を行い、課題を見える化していく必要性を感じていたところで、EmotionTech EXの導入に至りました。
従業員体験調査は、改善施策の実施までが重要。各部署から「働きがい向上リーダー」を任命し、確実に改善実行に繋げる。
ー既になされている施策が働きがい向上に繋がっているのかどうかということを、調査によって明らかにしたいということが導入のきっかけだったのですね。これまで実施した従業員調査の内容について、教えてください。
サトーホールディングス株式会社 国内人財開発室 人財マネジメントグループ 青山 和広さま
青山氏:
サトーでは、eNPS℠(エンプロイー・ネットプロモーター・スコア)を、働きがいを数値化したスコアと解釈し、「働きがいアンケート」と名付けた従業員調査を年2回実施することにしました。
調査結果をもとに、各部署から任命した「働きがい向上リーダー」と共に働きがい向上アクション(改善施策)を検討し、その結果を全社のイントラネットで共有しています。
この「働きがい向上リーダー」とは、国内人財開発室と共に、働きがい向上の支援をしてくれるアンバサダー的な存在で、各部署より選出しています。この人が動けば部署全体が変革するというキーマンを選出し、任命しています。
ー調査内容は、どのように設計しましたか?
青山氏:
働きがいアンケートでは、まず「あなたは現在の職場で働くことを、親しい友人や知人にどの程度おすすめしたいと思いますか?」と質問し、0~10の11段階評価で回答してもらうeNPSを測る質問から始め、更にその要因を特定するため、22個の従業員体験(EX)に関して質問を続けました。
この22個のEXというのは、EmotionTechの調査テンプレートを基に、当社社員の働き方に合うように作成しました。
業務量や仕事の質といった仕事に関する質問から、人間関係に関する質問、企業文化に関する質問や自分が受ける評価・ワークライフ・バランス等の働き方に関する質問等、私たちが独自に聞きたいと思っていた22項目で質問を構成しました。
これを「非常にプラスに影響」~「非常にマイナスに影響」までの7段階で評価してもらって、その理由についても、フリーコメントで収集しました。
部署毎のデータ分析で傾向感をつかめば、新たな視点も見つかる。
ー調査結果からは、何が分かりましたか?
青山氏:
1回目の調査の結果全体としては、「仕事の量・質」、「評価」、「成長実感」の3要素が、大きくサトーの社員の働きがい(eNPS)に影響を与えている体験ということがEmotionTechの分析結果からわかりました。
EmotionTechでは、体験別に「従業員にとっての重要度」と、「現状の満足度」を示すレポートがあるのですが、特に調査結果で面白かった点は、それを部署別に比較した「部署別の分析結果」です。
各部の特徴が結果に表れており、非常に納得感ある結果だなと感じました。
例えば部署Aは、市場でも非常に人気が高い職種が集まった部署ですが、この部署Aの「給与」という従業員体験を他職種と比較すると、他部署と比べても非常に重要視されている(画像内の緑線=重要度を示す線が高くなっている)ことがわかりました。
また部署Aにとってはサトーの「知名度」が重要視されていますが、部署Bにとってはそうでもない、といったこと等も明らかになりました。
これらの結果は、調査以前からも、なんとなくその部署を見ていて感じていた結果ではありましたが、このようにデータで裏付けられると、いざ施策をしようという時の判断に迷いをなくすことが出来るため、大変有益なデータだったと思っています。
小板橋氏:
2回目に実施した調査からは、リモートワークにおけるコミュニケーション不足により、特に若手社員の不安感が高く出ていることが明らかになりました。
この結果を受けて、働きがい向上リーダーと共に議論をし、現在は普段あまりコミュニケーションをとることが少ない部長との1on1面談を実施するなど、すばやく改善施策に繋げることが出来ています。
従業員体験の調査は、改善施策の提示と実行まででワンセットと捉える。
ー調査結果は、どのように社内で共有していますか?
青山氏:
調査結果は、社内のイントラネットを活用し、全社に向けて共有しています。
共有する内容は、全社と各部門の2つの観点で、eNPSの結果と詳細、そして働きがい向上リーダーと共に決定した働きがい向上アクション(改善施策)の内容までを含めて発表するようにしています。
調査して結果を共有するだけではなく、
きちんと今後の改善施策を名言し、提示することが重要だと考えています。
ーEmotionTech EXを使う上で、メリットに感じていただいているところがあれば、教えてください。
青山氏:
アンケート作成数に限りがなく、質問設計が自由に出来る点が気に入っています。
分析手法がしっかり考えられているので、私たちの聞きたい要因で質問を作ることが出来て、なおかつそのデータ分析と可視化までが出来るという点は、大変良いと思っています。
小板橋氏:
部門別の特長がはっきりと可視化される点です。
部署毎にジャーニーマップを作成して見てみると、全く異なったものが比較して見ることができますので発見も多く、施策に活かせるなと思います。
ー今後挑戦してみたいことがあれば教えてください。
青山氏:
サトーでは、全社員が毎日三行で社長に提案・報告する独自の制度「三行提報(さんぎょうていほう)」という独自の文化がありますが、働きがいアンケートの実施について「こういう調査があって、ありがたい!」というような嬉しいコメントが多数寄せられています。
今後も調査を継続的に実施し社員の皆さんの声と向き合いながら、施策の仮説検証を行いつつ、よりよい従業員体験向上に繋げていきたいと思っています。
小板橋氏:
社員に向けた調査は、各部門が個別に実施しているものもあるので、そうした場面でも「EmotionTech」を使ってもらえると良いと思っています。色々なデータが蓄積出来て、繋げて分析できるようになれば、どんどん調査の価値が高まるのではないかと思っています。
あと、今年度から、社内に「サトーキャンパス」という、学び合い教え合う学校を開校しました。今後は、こちらの活動も、活性化させていきたいと考えています。
この「サトーキャンパス」も、働きがい向上に繋がる場と位置づけており、社員の皆さんのキャリアをライフ(人生)の一部分と捉え、社員のライフを総合的に支援出来る場になればと思っています。
社員一人ひとりが自分自身のキャリアのゴールを描くことができ、個人の成長を実感できるようになれば、会社の成長にもつながると考えていますので、私たちも様々な仕組みを通じてそれらをサポートしていきたいと考えています。
サトーキャンパスを通じて「創造性」溢れる社員を創り出すと同時に、共に学び合い教え合う風土も創っていきたいです。
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