クラブツーリズム株式会社 | 株式会社エモーションテック

CASE STUDIES

導入事例

クラブツーリズム株式会社

右から、
クラブツーリズム株式会社
顧客戦略部 兼 経営IT企画部 兼 マーケティング本部
課長 田中 佳宏 様
顧客戦略部 顧客データ戦略 事業推進プロフェッショナル
金子 隆史 様

顧客体験に向き合うことこそが、存在価値になる 旅マエから旅アトまで、人生に寄り添う組織文化をNPSでともに創り上げる

「お客さまの人生を豊かに彩る体験をお届けし続ける、そのために見るべきはお客さましかない」ーーその想いから、クラブツーリズム株式会社 顧客戦略部では「EmotionTech」を導入し、NPSを指標にお客さまの声を集めるとともに、全社でその声をアクションにつなげるための環境の構築に取り組んできました。

ツアーの企画や添乗員の評価、お客さまへの情報提供の最適化など、広範囲で分析結果を活用されている中、2026年からは基幹システムと「EmotionTech」のデータ連携自動化を実現。同社が創業から大切にしてきたお客さまと向き合う文化を、仕組みを通してますます深められています。

これまでのお取り組みとその成果、そしてこの先の展望について、顧客戦略部 課長の田中 佳宏 様、同部の金子 隆史 様に伺いました。

本事例のサマリ

<「需要の奥のニーズ」を捉えるためのNPS導入>
・売上・参加回数との相関を検証したうえでNPS®を本格導入
・年1回のリレーショナル調査とツアーごとのトランザクショナル調査の2階建てで、期待値と満足度のギャップを可視化

<ジャーニーマップ分析と全社横展開による「肌感覚」の裏付け>
・体験ごとのギャップをジャーニーマップ分析で可視化し、現場の肌感覚をデータで裏付け
・全営業所の調査結果を横断的に比較できる環境を構築し、現場の視野を全社規模へ拡張
・2026年4月、基幹システムとのデータ連携を自動化

<LTV向上と「お客さま起点」の風土づくり>
・リレーショナルNPSの高いお客さまほど「参加回数(リピート)」と「買い回り(多様なツアーへの参加)」が活発であることを確認し、LTV向上に接続
・表彰制度の指標へのNPS組み込みや全営業所巡回を通じ、顧客体験に向き合う姿勢を全社の「風土・遺伝子」へ

需要の奥にあるニーズを捉えるため、NPSを指標に

金子氏:旅という形のない商品・サービスだからこそ、1つひとつの顧客体験はとても重要になると考えています。旅の要素を分解してみますと、観光地、食事、添乗員、バスや鉄道での移動など、さまざまな顧客体験があります。私たちはこれらを「旅ナカ」の体験と呼び、多くのパートナー企業のみなさまのご協力をいただきながら、より良い体験を提供できるように努めています。加えて、旅には出発前後の「旅マエ」、「旅アト」の体験もあります。

「旅マエ」ですと、旅行を検討される段階でWEBコンテンツやカタログによる情報提供、旅行説明会の実施。「旅アト」は、旅行を終えて、次はどこにいこうかなと検討しながら楽しんでいただく講座やテレビ番組など。「顧客体験」は一度の旅行だけでなく、旅行を通してお客さまの人生がより豊かになるよう、人生に寄り添っていくものだと捉えています。

田中氏:その「旅行」というものが私たちのサービスではあるのですが、私個人としては、実は旅行というニーズはないと考えています。お客さまの本当に望んでいるニーズというのは「旅」ではなく、例えば『未知の絶景を見て新しい感動を覚えたい』とか『誰か大切な人とかけがえのない時間を過ごしたい』といったより本質的なものなのではないでしょうか。

金子氏:以前、お客さまにインタビューをさせていただいたところ、みなさんに共通していたのが「日常からの解放」というキーワードでした。どういう体験であれば、日常から解放されるのか。それは、「お客さまが没頭できるような体験」だったんですね。

だとしたら、我々は旅を通してそのニーズに応えていかなければならない。旅を通じて、没頭できる時間を提供し、お客さまの「叶えたい」を手助けするプロセスそのものが顧客体験であるということです。つまり、顧客体験に向き合うことは、我々の存在価値そのものなのです。

田中氏:当社のビジネス形態として、旅行を企画・販売する全国の各営業所が、お客さまに近いところでマーケティング機能を持っています。我々顧客戦略部は、その現場のマーケティング機能が円滑に働くように支援する部署という位置づけです。

我々が追うべきKGIは、お客さまの「数」、参加される「頻度(回数)」、そして「単価」が伸びていく状態を作ることです。現場の営業所には、日々お客さまのリアルな声が大量に入ってきますので、現場が持つその「肌感覚」と、我々が提供するNPSのデータを重ね合わせることで、初めてお客さまのニーズを客観的に捉えることができます。

金子氏:現場の肌感覚だけでは、お客さまの属性や購買傾向による違いを俯瞰して捉えることは困難です。「EmotionTech」を用いて分析環境を整えることで、現場が日々出会っている声を体系立てて捉え、次の商品企画やプロモーションに活かすことができます。それによりお客さまのニーズに応えられ、結果として先ほど田中が申し上げたお客さまの数や回数、単価の向上に繋がっていくという流れです。

以前は「顧客満足度」をKPIとして、ツアー全体の満足度を測っていました。しかし、一度きりの旅ではなくお客さまの人生に寄り添い続けるには、お一人おひとりのLTVをどう伸ばしていくかを考えなければなりません。そこで、企業の業績や成長力との相関性が顧客満足度よりも高いと聞いたNPSをテスト導入しました。

実際にお客さまの推奨意向のデータをとり、「その後1年間でどれくらいツアーに参加されたか」まで含めて検証・分析してみたところ、会社の売上や参加回数との間に満足度よりも強い相関があることが確認でき、本格導入に至りました。

金子氏:ええ、3年近くかかりました。当社の場合は、もともと使っていた満足度という指標からの切り替えという事情もありましたし、はっきり相関が確認でき、確信を持って切り替えを判断するには、このくらいの時間が必要でした。

「EmotionTech」は体験ごとのギャップが可視化できるツール

田中氏:年に1度のリレーショナル調査と、ツアーごとのトランザクショナル調査の2段階構造になっています。

リレーショナル調査は、クラブツーリズムがお客さまから何を期待していただいているのか、それに応えられているのかということを定点観測するための調査です。社内ではブランドNPSと呼んでおり、ファンづくりを目的としています。

トランザクショナル調査は、ツアーごとに実施しているものです。期待値とのギャップを埋める形で改善活動を進めるための調査で、添乗員さんがQRコードを配布して答えていただくという形で行っています。

ただ、最初に申し上げたように我々が見ていくべき顧客体験は旅ナカだけにとどまりません。旅マエ、旅アトに関する設問も忍ばせてはいるのですが、まだ足りていないところではあります。

田中氏:お客さまのニーズを精緻に捉え、期待値と満足度の乖離(ギャップ)を可視化できるようになったのがまず一つ目の大きな成果です。

以前の紙のアンケートは、食事や宿泊などに対して1から5の評価を一律でつけていただくものでした。例えば食事の評価が低かったとしても、そもそもお客さまが食事にどれだけの期待をしていたのか、どの食事の何が悪いのかということが見えていなかったんです。

「EmotionTech」の導入により、お客さまのニーズを精緻に捉え、改善すべきポイントを捉えられるようになりました。

特に驚いたのはジャーニーマップ分析の波形ですね。ツアーによって、似たような集客・売り上げがあったとしても、推奨度、期待値と満足度のギャップ、リピートにつながるフック、どれも違うんだということがきちんと数字と波形で出てきました。そのギャップが、肌感と合うという手応えもありましたし、それこそ営業所のみんなは我々以上に実感したところだと思います。「そうだ、こうだった!」というのが各営業所で起きているのが嬉しいですね。

金子氏:NPSを指標にデータを集めて分析をする、というツールの候補は実は他にもあったんですが、顧客体験をきちんと設定して、どの体験に対する期待が高いのか、乖離があるものはどの体験なのか、そこまで分析できるツールは「EmotionTech」だけでした。

金子氏:アンケートの結果が、個人や特定の現場だけに留まらずに横展開できるようになった点ですね。

先ほども、現場にはお客さまの声がたくさん届くとお話ししました。紙で集めていたときは、現場ごとに目を通していたので、その営業所のツアーに参加してくださったお客さまの声しか目にする機会がありませんでした。そうすると、どうしても視野が狭くなりがちです。

「EmotionTech」という同じツールで、どの営業所のツアーの結果も見られるようになったことで、同じ時期に実施された隣の営業所のツアーの結果はどうなんだろう、海外ツアーはどうなんだろう、会社全体で捉えたらどんな声が上がっているんだろうと、さまざまな目線でお客さまの声を捉えた上で、自営業所の結果と比較できるようになりました。これは大きな進化だなと感じています。

田中氏:基幹システムが持っている情報というのは、営業所のメンバーが日々気にしている情報なんですね。お客さまという需要側の情報と、営業所の供給側の情報が重なることが非常に重要でした。

金子氏:紙アンケートの頃から、当社ではアンケートを重視しており、文化として根付いているところがあります。データ紐づけの設計において、まず最初に考えたのは、「営業所だけじゃなくて、添乗員さんを評価する部署や宿を評価する部署などこれまで以上に多くの部署でくまなく活用できるようにしたい」ということです。

ただ、くまなく活用できるようにとはいえ、項目が多すぎてもダメだし、少なすぎても当然ダメなので、項目を全部洗い出して検討しました。ちょうどコロナ禍の時期で時間を使えたこともあり、地道に一つずつ検討した結果、現在の紐付けの設計となりました。

田中氏:関わる部署の多さ、商品の多彩さ、データの多さからも、当社のデータ連携は非常に大変なことだったと思うのですが、実現に向けてはエモーションテックのエンジニアの方々にも長らく伴走いただきました。

カスタマーサクセスの担当の方も、いつもレスポンスが早くて丁寧で、このデータ連携もそうですが、他の場面でも、要望を覚えていてくれて、時間がかかっても実現可能なタイミングで提案してくださり、ありがたいなと感じています。

売上・リピート・買い回りとの相関からLTVの向上につながる成果へ

田中氏:正直に申し上げてNPSは右肩上がりです。お客さまをしっかり見られるようになったので、上がって当たり前といえば当たり前ですが、営業所のみんながしっかりとギャップを見て改善を重ねてくれている、その結果として捉えています。
苦戦している営業所もありますし、一概には言い切れないのですが、全体としてNPSが伸びているところは売り上げも伸びている、売り上げが伸びているところはリピート率も伸びています

特にテーマ系の旅行の売り上げが伸びていますね。テーマ系というのは、登山や歴史、お遍路などのテーマのある旅のことです。

こうした旅は、お客さまのニーズをしっかり捉えていないと伸びていかないので、NPSがそのニーズを捉えるツールとしてしっかり作用しているのだと思います。

金子氏リレーショナルNPSが高いお客さまに関しては、「参加回数」(リピート)と「買い回り」(多様なツアーへの参加)が活発であるということがはっきり確認できました。

リレーショナルNPSの高いお客さまは、日帰りバスツアーにも、海外旅行にも、テーマのある旅にも参加してくださるということです。こうした「参加されるツアーの多様さ(買い回り)」との相関がはっきりと確認できたことは、私たちが目指す「LTVを上げていく」という目標にも相関していますため、成果が見えてきていると感じています。

田中氏:取り組みとしては大きく2つ。ひとつ目は、地道な活動ですが、各営業所をまわったことです。全営業所を二巡はしています。
我々にとっても、営業所を訪れることは、さまざまなツアーやそれぞれのお客さまへの理解が深まり、設問設計にも役立ちましたし、マクロなPDCAとミクロの改善を回すという相乗効果が出ています。

もうひとつは、表彰制度の指標にNPSを設定したことですね。仕組みとして組み込むことで、しっかり取り組む動機になっていると思います。

金子氏:営業所によって濃淡はありますが、意欲的な営業所からは「昨年も説明会をしてもらったけど、今年も来てほしい」と要望があって、直近で交流会をセッティングしたところです。我々としても最新の情報をキャッチアップできる機会になりますので、いい循環が少しずつ作れてるかなと感じます。

田中氏:10年後に目指す数字も公表していますので、その達成に向けて、ツアーごとのNPSをどう回しているのかというところは毎月定点観測として報告しています。その際に重視しているのは、定点の情報に加えて、その時々のトピックを通じて「どう利益につながっているか」ということをさまざまな数値を織り交ぜて分析し、明らかにしていくことです。

田中氏:わかりやすい例では、顧客構造です。「昨年のお客さまの構造はこう、今年はリピート率がこれだけ増えて、結果、売り上げにこうつながっている。さらに、紙の宣伝費がこれだけ減りました」ということを、ステークホルダーから株主へ報告しやすいように意識して伝えています。

お客さまを見る文化を、企業風土という遺伝子へ

田中氏:我々の部署の動きではありませんが、添乗員さんの従業員体験(EX)を上げることでツアー全体のNPSを上げていくことを考えています。すでに報酬に反映したり、表彰したりという接続はありますが、お客さまの体験にまで響くようなEXをどう構築するか、専門部署が真剣に検討しているところです。派遣の方も多く、当社内だけで完結できることではないため、課題も多いのですが、添乗員さんはお客さまに最前線で接する「ツアーの演出家」ですからね。

そういった最前線の従業員体験も含めて、最終的には、顧客体験に向き合う姿勢を、単なる「仕組み」や「取り組み」で終わらせず、会社全体の「風土」や「遺伝子」にしていきたいですね。エモーションテックの知見、システムの力で、仕組みはだいぶ整いつつあります。NPSを気にするメンバーも増えてきた。「顧客体験」という言葉も浸透してきた。けれど、本当の意味での風土になるのは、「いい商品を作る」ではなく「いい体験を提供する」という考え方が定着するということだと思います。
いい体験を提供し、売り上げが上がり、その結果として従業員の幸せ度までアップする
一部できているところはありますが、永久に100点にはならない終わりのない道のりでしょうね。でも、そこを目指していきたいですね。

金子氏:今日明日でできることではなく、とにかく日々積み重ねていくしかありません。積み重ね続けるには、ちゃんと積み上がっているということを数字で可視化して、現場を含めて社内の全スタッフが納得感を持って前向きに取り組んでいけるように、丁寧に示していくことが大事です。
引き続き、我々顧客戦略部がその環境づくりを担って、着実に理想に向かっていきたいです。

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