NPSを動かす3つの実践ー2026年米国におけるCXMの議論から | 株式会社エモーションテック

NPSを動かす3つの実践ー2026年米国におけるCXMの議論から

更新日:2026.05.28

NPS®は、顧客ロイヤルティを測る指標として世界中の企業で活用されています。
一方で、組織によって大きく差が開いているのが、
NPSの真価をどこまで引き出せているか」という点です。

米国では2026年に入ってから、このテーマ についての議論が活発化しています。

“NPS is a measurement, not an outcome.” (NPSは測定であって、成果ではない) 

これはCMSWire Contributor of the YearのTrish Wethman氏が、語った言葉です。

Trish Wethman氏はNPSについて、「顧客との関係性を測る優れた指標だが、それを起点に『誰が、何を、いつ動かすか』にこそNPSの真価を引き出す鍵がある」と述べています。

つまりNPSの「スコア」ではなく「その先のアクション」が大事であるということです。

NPSを実践している多くの方が同意する部分であり、また難しさを感じている部分ではないでしょうか。

Gartnerの調査によれば、顧客フィードバックを意味ある形でアクションに繋げているCXリーダーは、わずか14%しかいないようです。NPSを測定することと、それを元に改善することの間には、明確な組織的ギャップがあります。

では、その14%の実践者たちは何を行っているのか。


ポイントは以下の3つです。

1.スコアの「背後」を粒度細かく分析する
2.自由記述を「構造化する」
3.「アクションの責任者」を明確にする

本コラムでは、論者たちが共通して挙げているこの3つの実践ポイントを、1つずつ紹介していきたいと思います。


実践ポイント①スコアの「背後」を粒度細かく分析する

John Goodman氏は、NPSのスコアそのものは「サマリー指標」であり、改善アクションに直接結びつけにくいと指摘しています。スコアを動かすには、その背後にある「Points of Pain(POP)= 粒度の細かい顧客の痛点」を特定する必要がある、と。

顧客の不満を「請求に関する問題」というカテゴリで集計してしまうと、現場で改善を担う担当部門からすると何から手をつけるべきかが見えません。

一方、同じ不満を次のような事象レベルまで降ろすことで、担当部署が明確になり、改善の優先順位が議論できるようになります。

「請求書が支払期日の3日前に届き、社内承認が間に合わない」

事象レベルまで落とすことで、改善前後で問い合わせ件数や該当コメント数の推移を追えるため、改善の効果測定も可能になります。

「誰が、何を、いつまでに改善するか」を議論できる状態を作る、これはNPSを改善に繋げるための非常に重要な実践ポイントです。

実践ポイント②自由記述を「構造化する」

NPSの自由記述コメントの活用は組織によってバラつきが大きいところです。
米国でも「自由記述にはスコアを動かす理由が隠れている」ということが大きなテーマとして挙げられているようです。

medallia社CEO・Mark Bishof氏は「NPSのスコア上下の理由を理解するには非構造化データが必要だ」と述べており、また米国のCX論者Martha Brooke氏は「自由記述を経営判断に使うには次の3点が揃っているかを点検すべきだ」と指摘しています。

①顧客は本音を書いていて、クオリティが担保されているか
②全コメントを感覚だけではなく、体系的・定量的に分類しているか
③どのテーマがNPSを動かしたか示せるか

①は大前提として、「非構造化データが信頼に足るものである」必要があるということです。コメント自体が正しく取得されていないと、「スコアを動かす理由」は見つけることができません。

②と③で示されているのは、目を通して印象的なものを共有するだけではなく、自由記述をデータとして扱えるように構造化することが重要である、ということです。
自由記述が構造化されることで、定量的なスコアであるNPSと関係性を分析することが可能になるのです。

この3点が揃ってこそ、自由記述は「現場の感想」から「経営判断の根拠」に変わります。スペインの保険会社Santalucía Segurosで、この実践を体現しているParaja氏は以下のように語っています。

「NPSは数字。その背後で起きている多くのことを、その数字と一緒に並べて見せられるようにすべき」

同社では、サーベイ結果と音声、デジタル行動、ソーシャルシグナルなどを統合し「何を言っているか」だけでなく「なぜ言っているか」を理解する仕組みを構築しているようです。

生成AIの言語理解能力により、自由記述や非構造化データの解釈が大きく進展したからこそ、これらをいかに他のデータと掛け合わせて示唆に繋げるかはNPSやVoCにおいて非常に大きなトレンドになっています。

実践ポイント③「アクションの責任者」を明確にする

NPS運用においてよくあるパターンとして、サーベイの責任者(誰が調査を回すか)は明確だが、アクションの責任者(誰が改善を実行するか)が不明確、というケースが論じられています。

これには構造的な理由があります。
NPSの調査・集計・分析は、マーケティングやCX推進部門が担当することが多い一方で、改善を行うのは事業部門やサポート部門と、部門を跨ぐために改善の責任が宙に浮いてしまいがちなのです。

スコアを集める仕組みと、スコアを動かす仕組みは別物です。
後者を機能させるには、次の3つの運用が必要です。

① 個別の問題レベルで、責任者・期限・成功基準を設定する

「請求書到着の遅延」という問題なら、経理部の誰がオーナーで、いつまでに何を達成するか(例:到着日を支払期日の7日前まで前倒し)を明文化します。スコアではなく個別の事象レベルで責任を持たせることがポイントです。

② 改善の進捗を定期的にレビューし、可視化する

月次または四半期で、「特定した課題」「担当者」「進捗」「成果」を一覧化したレビューの場を設けます。定期的に可視化する仕組みがあると、現場の優先順位が変わります。

③ スコアの変動を改善活動と紐づけて説明できる状態を保つ

「NPSが2ポイント上がりました」だけでなく、「先月実施した請求書フローの改善により、関連する不満コメントが40%減少し、これがNPS上昇に寄与しています」と因果を持って説明できる状態を作ります。

McKinseyのデータでは、CXをビジネス成果と接続している企業は、そうでない企業に比べて売上で2〜7%の伸びを示しています。NPSの真価は、ここまで運用されて初めて現れるのです。


EmotionTech CX・TopicScan・コンサルティングサービスでは、まさにこの「NPSを測定する」から「改善アクションに繋げる」までの一連の流れをご支援しております。

  • NPSと自由記述を統合的に分析したい
  • スコアの背後にある粒度の細かい問題を見える化したい
  • 改善アクションの進捗を可視化したい

こうしたテーマでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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