CX
公開:
2020.11.12
株式会社バーニーズジャパン
(写真左)中本 智巳さま(株式会社バーニーズジャパン/企画室/ディレクター)
(写真右)改木 文枝さま(株式会社バーニーズジャパン/企画室/顧客分析チーム)
“小さな成功事例”を積み重ね、顧客視点の重要性を社内に届ける。 バーニーズジャパン式のCX施策とは?
エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
米国発のスペシャリティストア「バーニーズ ニューヨーク」を日本国内で11店舗展開する株式会社バーニーズジャパン。成功事例を積み重ね、全社を巻き込んでいくことでCX向上を目指す姿を取材しました。
目次
データからは見えなかった、お客様の本心。本格的なCX向上施策は、「EmotionTech CX」との出会いから。
― 御社での顧客体験(CX)向上施策の取り組みについて教えてください。
中本氏:
バーニーズジャパンでのCX向上の取り組みは、2017年の夏に社内の部署横断型プロジェクトが発足したことがきっかけで本格化しました。
それまでは、購入してくださる方々の購買データから仮説を立てて試行錯誤していたのですが、それではなかなかお客様のニーズというか、本当のご意見まで読み解くのが難しいなと思っていました。
新規でご来店されるお客様が減ってきた理由や、リピートしてくださるお客様やECをご利用されるお客様の動機は何なのか?これは、数字からは読めなかったんです。
改木氏:
そんな中で色々と情報収集をしていた時、NPS®という顧客ロイヤルティ指標を見つけました。この流れで、エモーションテックが登壇しているイベントに参加して、「あ、これだ!」とピンときて。すぐに社内に共有した事を覚えています。
エモーションテックさん以外にも、NPS調査が出来る会社さんはあるのですが、当時、NPSという言葉すらもよく分からなかった私たちでしたから、エモーションテックの営業担当者さんの丁寧さが有難かったです。
私たちへの説明とは別で、わざわざ経営陣への説明のために来社して説明してくれたりと、そういう細やかさがとても心強くて、頼りになりました。
そこから、2年以上、「EmotionTech CX」を活用しています。
最初の調査で見えたのは、お客様の”意外な本音”
―「EmotionTech CX」で、はじめて実施した調査とその結果について教えてください。
中本氏:
まず、課題そのものを知ることを目的にした、ブランド全体の調査(リレーショナル調査)を実施しました。
これは、弊社のカスタマージャーニーの中で実際どこに課題が存在しているのかを知るための調査で、「あなたはバーニーズジャパンを、親しい友人にどれくらいおすすめしたいですか?」というNPSを導くための質問とその根拠となる要因質問をしていく、というものです。
改木氏:
この調査で分かったことは、私たち顧客分析チームにとっては意外とも言えることでした。
結果を見ると、お客様は「お買い物をする時の環境や店舗スタッフの接客に対する期待感が高い」ことがわかったんです。
これは、ある意味当然とも言える結果と思われますよね。
でも、顧客分析をしている私たちとしては、意外だったんです。
というのも、この調査では、商品や送付しているスタイルブック(商品カタログ)、会員プログラムについて等、色々なことについて質問していたので、この調査を通してはじめて分かる意外な要素が課題として上がってくるのだろうと、ある意味そんな期待をしていました。
バーニーズ ニューヨークのスタイルブック(商品カタログ)
でも案外「お客様はお店に期待してくださっているんだ」ということが分かって…。
その時の私たちは、結果に対してやや拍子抜けだったといいますか(笑)
店長達にその調査結果を共有したら「そりゃ、そうでしょう!」と言われたのが面白かったのですが…(笑)
でも、こういう結果も含めて、調査してみなくては分からないということが分かりました。
これは、大きな発見でしたね。
“小さな成功事例”を増やす。顧客視点に立つことの大切さを社内に伝える日々。
―調査から見えた課題。これを踏まえて、具体的にどのような改善をされましたか?
改木氏:
今回の調査で分かったような「店舗での体験」が課題となると、テーマとしてはかなり壮大。全社的に取り組む必要性がありました。でも、いくら全社に「これが大事です。取り組みましょう」と熱心に伝えたところで、NPS自体の社内的な認知が低いゆえに、みんなが納得して取り組むことは難しいだろうと思いました。
なのでまずは、みんなにとってこの調査が自分事になるにはどうしたら良いか考えました。
そこで考えたことが「小さな成功事例を作る」というものでした。
出来るところから徐々に輪を広げていこう、という作戦です。
弊社には旗艦店以外にも、アウトレット店舗を担当している部門や、
EC、催事など、様々な販売チャネルがあります。
その担当者と一緒に、それぞれの顧客に対するCX調査をはじめました。
―小さな成功を積み重ねる、非常に勉強になります。実施してみた結果はいかがでしたか?
改木氏:
思っていた以上に成果が出ました。
まず、催事担当者とCX調査を行ったのですが、その調査からは、ウィメンズの雑貨の品揃えにご不満が多く寄せられていることが分かりました。
そして、その次の催事で、その体験をカバー出来るよう、品揃えを厚く用意しておきました。すると、その後の催事の売上高が121%になりました。
この結果を担当者に共有したら、それはもう大喜び(笑)
そしてこれは、私たちにとっても、非常に嬉しかった出来事です。
この時のことが私たちにとっての成功事例にもなって、
他部署とも実行しやすくなっていきました。
中本氏:
このように小さな成功事例を積み重ねるということを、
改木がとても頑張ってやってくれていました。
催事部での調査以外では、EC事業部でも調査を実施しました。
これは、リニューアルオープン前に新機能の仕様を検討するために行った調査です。調査では、「商品の検索のしやすさ」や「サイズ比較が分かりやすい」といった点が課題として明らかになったのでリニューアル時には、迷うことなく商品検索のしやすさを向上するための機能開発を行うことが出来ました。
その他、メルマガに関する調査も実施した時には、配信回数に問題があるのでは?という仮説立てで調査をしたところ、「興味にそぐわない情報に対する不満」が明らかになり、新作等のご案内を一斉にお送りしていたのを止め、お客様の属性毎にメルマガ配信を分けて配信する等も行いました。
仮説は、あくまでも仮説。これは学びになりました。
やはり、実際にお客様に聞いてみないことには、本当のところは分からないですね。
コロナの影響でお客様の購買体験に変化。コロナ禍のCX調査から見えたものは、変化したお客様の姿。
―コロナは、御社のCX調査にも影響がありましたか?
中本氏:
私たちの店舗も、感染拡大防止のため、4月・5月は店舗を一時休業していました。
そういう時だったので、CX調査の実施については様子を見てはいたものの、
やはりどんな時であっても、私たちのお客様の現状を知る必要性は感じていました。
特に、コロナによって購買体験がガラッと変わったことで、お客様が今まさに感じていらっしゃる購買に対する気持ちや、こういう時にバーニーズ ニューヨークというブランドに対して寄せてもらっている期待感はどのようなものかということは、今だからこそ伺う必要がある、今聞かないとまずい、と考えていました。
改木氏:
お客様には弊社を体験する機会が少なくなってしまいましたので、調査自体は、2020年2月の全体のブランド調査を実施した以来ストップしていましたが、中本がお伝えしたように、会社全体としては「顧客の声は常に聞かないと」という風に考えていましたので、9月末にコロナ禍での全体ブランド調査を実施しました。
―常に正しくお客様の声を収集しようとする姿勢、本当に素晴らしいと思います。このコロナ禍の調査結果は、いかがでしたか?
改木氏:
やはりコロナの影響が良く現れた調査結果がみれました。
例えば、「よく利用する店舗」として「EC」の比率が高くなっていたり、「どのような用途で弊社の商品を利用していますか?」という項目も、コロナ以前では「オン・オフ兼用」という項目が上位に来ていましたが、今回は「オフ」が最上位に来ていたり。
コロナによる環境変化で、弊社に対してのニーズの変化をつかむことが出来ました。
中本氏:
「EmotionTech CX」のカスタマージャーニーマップの波形にも、大きな変化が見られました。
「店頭での体験」の評価は依然として高かったのですが、一方で、EC事業に対する期待感が高まっていました。
あと、これまで課題として上がってこなかった「メールマガジンの配信」という体験が、今回は大きな課題として上がってきていました。
メールマガジンの配信のどんなところに問題があるのか、ということまでは今回の調査では把握が出来なかったのですが、これは間違いなくコロナの影響です。
購買体験だけではなく、オンラインにおけるコミュニケーションにも関心が高まってきているのだろうということを、実感しましたね。
―最後に、「EmotionTech CX」で最も効果を感じていることを教えてください。
改木氏:
お客様視点に徹底的に立つことの大切さを、日々実感しています。
「EmotionTech CX」には、専属のカスタマーサポートの方がついてくださるのですが、気軽にメール等でなんでもご相談出来て、とても助かっています。
いつも親身に対応してくださっていて、私たちの良きパートナーです。
中本氏:
「EmotionTech CX」は、即時性と可視性に優れている点が良いです。
私たちのように、社内で物事を素早く動かさないとならない立場としては、調査出来る数に制限がなくて、思い立ったらいつでもすぐに調査が出来るということが有難い。
あとは、色々な仮説を検証するためには、調査結果をあらゆる角度から分析することが出来るということが重要だと考えていますので、「EmotionTech CX」の細かなセグメントで分析が出来る点も有難いですね。期待値と現状値のギャップから課題が見える優れた分析レポートも、経営陣や店長等に報告する場面で活躍してくれます。
あと、店舗のみなさんに驚かれることは、ダッシュボードの速報箇所にある表情の絵文字。
これを見せると「え、もう反映されてるの?」と驚かれます(笑)
「EmotionTech CX」では、ダッシュボードはリアルタイムに計測されるので、「結果がすぐに見れる」ということが店舗のスタッフにとってはとても嬉しいようです。
改木氏:
余談ですが、先日の調査の後、
「こないだの調査の結果、どうだった?」と、スタッフから聞かれたのが
とても嬉しかったです。
2年前から、小さな成功を集めて、ジワジワと取り組んできた甲斐がありました。
今後も、バーニーズジャパンでは、顧客視点に立った施策に更に力を入れていきたいと考えています。例えば、お客様がご購入された直後にアンケートをお送りし、接客等に関してのお客様の声をうかがう等、スタッフのモチベーションにも繋がるような施策を取り入れていきたいですね。
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商品そのものへの評価だけでなく、配送を担当するクルーの対応が評価されていることが確認できました。