住友生命保険相互会社 | 株式会社エモーションテック

CASE STUDIES

導入事例

住友生命保険相互会社

左から、
住友生命保険相互会社
CX企画部 副長 三谷 尚平 様
     主任 横田 悠一郎 様

お客さま一人ひとりの「よりよく生きる(ウェルビーイング)」を合言葉に全社一丸で取り組む 住友生命の顧客体験(CX)分析・活用の歩みと戦略

住友生命保険相互会社では、2020年から「EmotionTech」を導入し、NPS®を指標とした顧客体験価値の向上に取り組んできました。

2025年からは「EmotionTech」で取得したデータを基幹システムへ連携し、全国の各支社でタイムリーに確認できる環境を整備。手作業によるデータ処理を自動化し、工数削減を実現するとともに、迅速な改善活動および営業職員の評価につなげる新たな取り組みを開始しました。

健康増進型保険「Vitality」の提供を通じて、ウェルビーイングにつながる顧客体験を創出するなど、リスクへの備えにとどまらない価値提供をはじめている同社の今後のさらなるCX向上の展望と、これまでの6年にわたる「EmotionTech」の活用および社内展開について、CX企画部、副長の三谷 尚平様、主任の横田 悠一郎様に伺いました。

本事例のサマリー

<NPS®とデータの蓄積による「暗黙知」の可視化>
満足度調査からNPS調査へ移行し、6年間にわたるお客さまの評価データを蓄積
ジャーニーマップ分析などにより、現場の肌感覚がデータで裏付けられ、経営層から現場まで深い納得感を創出

<システム連携による自動化と全社的な評価制度への活用>
基幹システムへのデータ自動連携を実現し、年間約420時間のデータ加工作業を削減
自動連携されたデータを全国約90拠点向けのダッシュボードや現場のタブレットへタイムリーに共有
お客さまの声を改善活動や人財育成に活かすことを目的とし、その一環として営業職員への評価にも活用

<お客さまの「ウェルビーイング」を測る新たな挑戦>
会社のミッションである「お客さまは実際に幸せか」を直接測るための新たな調査もEmotionTechを活用して展開予定

現場の肌感が数字で可視化され、経営に資する情報に

三谷氏:お客さまからもっとも高く評価いただいている当社の体験価値は、営業職員(以下、ソナエルジュ※)がお客さまお一人おひとりと直接お会いして対面で情報提供をさせていただくというところです。

創業当時から続く人と人の関係こそが核となる部分で、おそらくこれから先も変わらず続いていくものだと捉えています。

その関係を維持するための取り組みとしては、お預かりしている約1,000万件のご契約に対し、お客さまに毎年お会いすることを目指して、経営として計画や体制整備を進めています。ただ、コロナ禍では「お客さまにお会いする」ことが難しくなり、アプリなどのデジタルでの接点を強化してきました。今は、人とデジタルでいかにつながり続けるかを模索しているところです。

また、ご加入時のお手続きや各種保全手続きにおいては、デジタル化が進み、お客さまからも高い評価をいただいています。こうした利便性の高いデジタル手続きを活用しながらも、ご加入までのプロセスやアフターフォローの重要な場面では、ソナエルジュがお客さまに直接お会いし、ご要望や状況に応じた丁寧なご説明やご提案を行っています。デジタルの利便性と対面ならではの安心感を組み合わせることが、当社ならではの価値だと考えています。

(※)ソナエルジュ:生命保険協会では、生命保険募集人について、その役割や働き方をわかりやすく表現する呼称として「生保ナビゲーター“ソナエルジュ”」を選定。「ソナエルジュ」は、「備え」と「コンシェルジュ」を組み合わせ、万が一の場合への備えを提供する役割やアフターサービス等を通じてお客さま満足度を高める役割を親しみやすく 表現している。

三谷氏:2020年以前もアンケートは実施していました。推奨度(NPS)ではなく満足度を5点満点で伺い、質問内容としては現在のご状況などソナエルジュとの会話につながるようなものがベースでした。接点ごとの評価を取れるようになったのは「EmotionTech」の導入からで、そこは大きく変わったところですね。

「EmotionTech」を導入してからは、接点ごとの評価や推奨度(NPS)を継続的に把握できるようになり、お客さま体験全体をより詳細に分析できるようになりました。特に、NPSに影響を与えている要因や、どの接点に課題があるのかを特定・深掘りできるようになった点は大きな変化だったと思います。

それまでは新契約数といった結果指標が中心で、プロセスや行動そのものを十分に評価できていなかったのですが、導入後はお客さまの声をもとに改善ポイントを明確にしながら、行動変革を促せるようになりました。

三谷氏:当社では大きく分けると、「総合調査(リレーショナル調査)」と接点ごとの「トランザクショナル調査」を実施しています。

「総合調査」は、年に一度実施しているもので、ご加入から現在に至るまでの総合的な当社の推奨度を調査しています。全部で約20問あり、推奨度および推奨度への影響要因を把握するためのマナーやコンサルティング、ホスピタリティなどに関する項目や、お客さまのライフイベントや状況の変化など、お客さまのご意向把握に関連する情報を含んでいます。

「トランザクショナル調査」は、主に契約時の手続きの体験、契約後のアフターフォローの体験、名義変更や住所変更などの保全手続きの体験、請求手続きの体験を調査しています。

三谷氏:一番はお客さまからの評価を明確な数字として可視化できたことですね。当社では長年の歴史の中で「どのようなお客さまが当社を高く評価してくださっているのか」についても、感覚的な共通の暗黙知のようなものがありました。それがNPSという定量化された指標に変わったことで、社長を含め経営陣にも共有できるようになりました。

横田氏:私はCX企画部に所属する以前は福岡の拠点にいて、ソナエルジュの日々の活動結果・業績を可視化するような業務をしていました。「EmotionTech」のジャーニーマップ分析では、それまで肌感として持っていた「ここが一番お客さまの評価に影響しているだろうな」という感覚がしっかり数字で裏付けされ、「やっぱりそうなんだ」と納得感が深まりました。ジャーニーマップ分析は、ひと目でどこに注力したらいいのかがわかりますし、現場にも伝えやすくてありがたいですね。

横田氏:先ほど、三谷からアンケートの分岐の話が出ましたね。回答に応じて質問を分岐できる機能はかなり使わせていただいています。

個人的に一番重宝しているのは、アンケートURLにユニークID(クエリパラメーター)を紐付けられる機能です。お客さまご自身の回答のご負担を減らすことができますし、CX企画部としてもこの機能があることでスムーズに設定・運用できています。

「直接お会いすること」の価値が蓄積されたデータから裏付けられた

三谷氏:導入当初から「特定の体験やサービスを受けた人と受けていない人で、NPS(推奨度)がどれだけ違うか」といった相関関係は見ていましたが、データが蓄積されたことで、「その体験が本当にNPSに影響を与えたのか」という因果分析に取り組めるようになりました。この分析に関しては、社内のデータサイエンティストと連携して実施しており、より精度の高い分析が可能になったというのは、やはりデータ蓄積の大きな価値ですね。

横田氏:過去にも回答したことがある人と、はじめて回答する方の推奨度の差ですとか、毎年のようにアンケートにお答えくださる方の経年での変化が見られるようになりました。数年前の評価との比較を追えるので、特定の体験と評価の関係も見えやすくなりますし、さまざまな点でデータ蓄積の恩恵を感じています。

三谷氏:当社が大事にしている、ソナエルジュとお客さまが顔と顔を合わせて「直接お会いすることの価値」も明らかになりました。メールなどのデジタルの接点しかなく、営業担当と疎遠になっているお客さまと、毎年お会いしているお客さまでは、当社に対する印象や評価が本当に違うということがデータに表れています。

お客さまとの長い関係の中で、デジタルの接点は重要ですが、それだけでは十分ではないこともデータから見えてきました。

基幹システムへのデータ連携により、アンケート結果を営業職員の評価要素として活用

横田氏:外部データ連携サービスにより、「EmotionTech」で取得・分析したアンケートのデータを、タイムリーに支社向けのダッシュボードや、ソナエルジュが持つタブレットで確認できるようになりました。以前は、CX企画部の担当者が持ち回りで毎日1時間半以上かけてアンケートの回答情報をユニークID(クエリパラメーター)をキーにお客さま情報と紐付け、データを加工して基幹システムにアップロードする作業をしていました。データの自動連携により、この1時間半の業務負荷が完全になくなりました

横田氏:「EmotionTech」の回答データを日次で取得し、ストレージに格納する仕組みをエモーションテック側で作成していただき、当社の複数のシステム部門がそこから基幹システムを通じて支社側で見られるようにする部分を担いました。当社固有のシステムへの組み込みだったため、構築にあたっては当社システム部門とエモーションテックのプロダクトチームの多大な協力が必要不可欠でした。当社固有のシステムへの組み込みという高いハードルがあった中、当社の環境を深く理解し、「この形なら実装できる」と具体的な手法をご提案いただき、構想から実装まで3年近くにわたり手厚く伴走していただいたエモーションテックの担当者には非常に感謝しています。

三谷氏:このデータ連携は、アンケート結果をソナエルジュの活動評価や給与へ反映させることが目的の1つでした。大きなプロジェクトの中で、「アンケートを活用する領域」をCX企画部が受け持つという形でしたね。

全社一律でスタートさせる必要があり、複数部門で一丸となって取り組みました。

三谷氏:画面には、NPSと回答数、契約経過年数や年齢などのお客さま・契約の属性別データ、全社平均と当該支社の比較データ、それから「活動の取り組み状況」が表示されるようにしています。こだわった部分は、「NPSの点数」と「活動状況」を必ずセットで見せることです。NPSの点数だけを届けても、その数字がどんな意味を持つのかは伝わりませんし、改善にはつながりません。NPSに寄与する、すなわち「お客さまにとって価値のある活動」がどれだけ自分たちの支社で実施できているかと合わせて可視化することで、「どういう活動をすればよいか」という具体的なアクションにつながるのではと考えました。

三谷氏:自動連携は始めたばかりなのでまだ試行錯誤中というところですが、支社にアンケート結果を届ける取り組み自体は、「EmotionTech」導入以前からも行ってきたことではあります。

データを活用してお客さまにアプローチしている支社ではお客さまとの信頼関係が深まり、結果としてNPSが向上し、その後の契約にもつながっているという成果が出ています。全体で見ても、「お客さまに評価される活動」の実施率は毎年少しずつ底上げされてきており、2020年からの5年では約5ポイント上昇しています。データを各支社に届けること、データに基づいた行動を後押ししてきたことの成果を感じています。

CXの取り組みは全社として推進しているもので、数年前から年に2回は役員が各支社を訪問し、現場の職員と「NPS」や「従業員エンゲージメント」などをテーマに直接議論する機会を持っています。

まだ現場のソナエルジュ全員が日々の活動の中で、顧客体験価値向上やロイヤルティを意識できているところまでは到達していないかもしれませんが、全社的に「顧客体験価値向上を大切にしていこう」という風土ができつつあると思っています。

お客さまが「幸せ(ウェルビーイング)になっているか」を測る新たな挑戦

横田氏:アンケートを基にした改善活動やソナエルジュへの評価などの仕組みが整ってきた一方で、アンケートの回答数にはソナエルジュごとのばらつきがあります。今後は、アンケートの認知度向上に向けたPRを継続し、お客さまの声をより幅広く収集し、その仕組みを一層活かせるようにしていきたいと考えています。

三谷氏:NPSは経営における重要な指標として設定されているため、今後も継続してデータを取得していきます。加えて、どの体験がお客さまの評価にどのように影響しているのかという因果関係の分析をさらにレベルアップしていくことを目指しています。

当社は、「住友生命グループVision2030」という全社目標の中で、保険の枠にとどまらず、お客さまの「よりよく生きる(ウェルビーイング)」ためになにを提供できるかを日頃から考えています。「Vitality(バイタリティ)」のような健康増進の取り組みに加え、たとえば教育、睡眠などウェルビーイングにつながる他の分野でのサービス展開も検討しています。

そういったサービス展開によって、捉えていくべきお客さまの体験領域は広がりますから、CX企画部としてはその全ての体験領域をカバーし、見ていく必要があると認識しています。

実際に、これまでの「自社を推奨してくれるか(NPS)」という調査だけでなく、会社のミッションである「お客さまにウェルビーイング(幸せ)になっていただく」ことが達成できているか、つまり「お客さまは実際に幸せですか?」ということを直接測るための新しい調査の準備も進めています。

社外の専門家の意見も取り入れながら設計を進めており、これも「EmotionTech」を活用して実施する予定です。お客さまの幸せを見える化する、その領域に貢献していきたいですね。

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