エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
例えば、コーヒーショップでコーヒーを購入する顧客は、商品としてのコーヒーの味や効能だけに価値を感じ、お金を払っているわけではありません。
仕事の合間に得られる一服の安らぎ、気の知れた店員とのやり取り、同僚との談笑、フェアトレードコーヒーを飲むことで環境保護に貢献しているという意識、等々。
こうした顧客が感じる体験の全体像を捉え、そこで得られる価値を最大化するための活動が顧客体験マネジメント(CXM)です。
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CS、CRMとの違い
顧客体験マネジメント(CXM)は、これまでの顧客満足度(CS)や顧客関係管理(CRM)とどのように異なるのでしょうか。
以下はカスタマーマネジメントの考え方の変遷を示した図です。
この図で示されているとおり、顧客と企業との関係性は、時代とともに変化してきました。
心構えとしてのCS経営
「お客様は神様です」という言葉に代表される通り、日本企業には元々顧客視点を大事にする視座が備わっています。
その表れの1つとして、顧客満足度調査(CS)は多くの企業で採用され、KPIの1つとして経営に生かされてきました。
しかしながら、CS向上はあくまでお客様に対する態度やモットーとして唱えられ、収益性との相関関係や、企業経営全体における位置づけは曖昧だったため、景気の悪化、競争環境の変化と共に形式化してきてしまったのが実態です。
事実としての顧客関係を捉えるCRM
次に顧客との関係性を捉えるツールとして活用されたのがCRM(顧客関係管理)でした。
これは、2000年代の情報技術革命を機に、情報の管理効率が飛躍的に高まったことを背景に生まれ、それまで勘や経験で行われることも多かったマーケティングを、ファクト(事実やデータ)と分析を前提とした取組みとした点で大きな変化を生み出しました。
しかし、CRMは事実としての顧客の属性情報や購買データを蓄積・分析することはできましたが、顧客の声や気持ちを踏まえた判断・意思決定を実現することはできませんでした。
その結果、データを効率的に集計するための「○○カードお持ちですか」といったコミュニケーションや、「ご一緒に○○はいかがですか」といった確率論から割り出されたクロスセルを促すコミュニケーションなど、必ずしも顧客の体験・感情にとってプラスとはならない活動も生み出すこととなりました。
顧客感情と収益性を両立させるCXM
そうした変遷を経て生まれたのがCXMです。その背景には
- 成長が鈍化してきた先進国で既存顧客のロイヤルティを高め、長く愛されるブランドであることが重要になってきたこと
- モバイル・インターネット技術の進化により、顧客と企業との接点が多様化・複雑化し、顧客の体験を包括的に捉え、マネージする必要が生まれたこと
といった時代要請があります。
顧客の声や感情といった情緒的な情報と、顧客の購買単価や推奨行動といった行動結果を結びつけて有機的に管理するという点で、CSとCRMの良い点同士を組み合わせて進化させた概念だと言えるでしょう。
CXMを成功させるために重要なこと
では、そうした顧客の感情と行動を組み合わせたCXMを成功させるために重要なことは何でしょうか。
以下の4つがポイントとして挙げられます。
1.正しいゴール設定
2.顧客ごとの違いを踏まえた取組み
3.「顧客体験における優先課題」を見つけ出す
4.現場での運用を前提とした設計
以下では、このうち
3.「顧客体験における優先課題」を見つけ出す
という点について、詳しく見ていくことにしましょう。
上のグラフは、顧客と企業とのタッチポイントごとに、
- 顧客ロイヤルティに与える影響度
- 現状のロイヤルティスコア
について図示したものです。
このグラフから言えるように、顧客接点ごとに顧客のロイヤルティに影響を与える度合いは大きく異なっており、特に重要な接点は少数に限られます。こうした顧客接点のことを“真実の瞬間”と呼びますが、自社のファンと呼べるほど愛着の強い顧客を生み出すには、“真実の瞬間”に集中的に資源を投入し、顧客に感動を与えるほどの体験を生み出す必要があります。
これまでの”モットーとしてのCS経営”においては、ややもすると、お客様の声全てを大切にし、等しく改善を目指す、としていたきらいがありました。このこと自体は悪いことではありませんが、長期的に持続可能な活動を行うためには、限られた資源を選択的に投資することが大切になってきます。
これまで見てきた通り、顧客体験マネジメント(CXM)を正しく実践することで顧客と企業との関係を大きく改善することが可能ですが、そのためにはいくつかのポイントを踏まえた実践が必要です。
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