エモーションテック 編集部
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アンケート調査方法の流れ
アンケート調査の詳細な方法を知る前に、まずは調査方法の大まかな流れを押えておきましょう。アンケート調査は一般的に以下の順番で行われます。
特に重要なのは1つめの調査の目的を明確化するという段階です。商品の使用感を聞きたいのか、それとも悩みを抱えているユーザーの本音を聞きたいのかなどによって調査方法や質問の方法は大きく変わってきます。このファーストステップがぶれてしまうと、アンケートそのものが意味のないものになってしまう可能性もあるので慎重に決定することが大切です。ここでは、このアンケート調査の流れのうち3までを詳細に解説していきます。
調査の目的を明確にする
もっとも重要な調査の目的の明確化です。調査の目的次第で、アンケートの実施方法は大きく異なります。例えば、新商品の開発をする際にどのようなユーザーがターゲットになるのかや、ターゲットユーザーに響く商品の見せ方はどのようなものなのかということを目的とした市場調査なのであれば、一般的には少人数制のグループインタビューが望ましいとされています。グループインタビューは対象者を一同に集めてディスカッション形式で行われるため、商品の使用感や1人で考えていては出てこないような斬新な意見などが出やすいです。そのため、新商品開発の際の事前調査などには頻繁に用いられている手法です。
ただし、一方で対象者を集める際の人数調整や日程調整などが難しく、時間もかかってしまうため短期間に大勢の意見を集めるのには適していません。これに対して、市場に商品を出した後であれば、インターネット調査が望ましいといわれています。インターネット調査は短期間に大量の声を集めることができ、その回答を商品の紹介ページなどに反映させることによって商品自体のブランディングや信頼性アップを図ることができます。ただし、インターネット調査の場合には基本的に匿名で回答をすることができてしまい、回答自体も簡単であるため、信頼度の低い回答もたくさん寄せられる傾向があります。
このように、商品の発売前と発売後という点だけを考えても、アンケート調査の実施方法ががらりと変わってきてしまいます。このことからも、調査方法の明確化をする段階がいかに重要かということがお分かりいただけるでしょう。
調査方法を選択する
達成すべきゴールを設定し、調査目的を明確化することができたら、続きは調査方法を決めます。調査方法には大きく分けて『定量調査』と『定性調査』の2種類があり、調査の目的によって適切なほうを選択していく必要があります。
定性調査の特徴
定性調査というのは、対象者本人に意見を聞き取る際に用いられる調査方法です。例えば、インタビュー調査や行動観察調査などがこれに当てはまります。定性調査では二者択一の質問を投げかけることもありますが、基本的には「なぜ好きなのか?」や「どうしてそれを選んだのか?」というような意見を求める質問が用いられます。
例えば、競合他社の多い市場で新製品の開発を行っているとします。この場合、消費者がなぜその商品を選んでいるのか?という理由を知ることは新製品の開発においてとても重要なことです。また、競合他社の商品に対して持っている不満などを聞くことも重要です。定性調査はこのような調査目的を達成する場合に効果を発揮してくれる調査方法で、質的データを集めたいときに用いるようにするといいでしょう。
定量調査の特徴
一方、定量調査というのは人数や割合、傾向などのようにデータ化することが目的の調査に対して用いられる方法です。これは一般的な二者択一型のアンケートをイメージすると分かりやすいでしょう。具体的には、郵送調査や電話調査、インターネット調査などが当てはまります。定量調査は定性調査に比べて容易かつ安価で大量の回答を集めることができるので、大まかな傾向をとらえるのには適しています。
しかし、1つ1つのデータに対する信頼度は低くなるため、質的な問題ははらんでいるといえるでしょう。このほかにも、ホームユーステストと呼ばれる新製品のサンプル調査なども一種の定量調査です。どちらの方法もメリット・デメリットがあります。それぞれの特徴をよく理解したうえで、最適なほうを選択するか、時には併用して調査の目的を達成しましょう。
質問設計の際の注意点
調査目的と調査方法が決まったら、最後に質問設計に入ります。質問を設計する際には細かい注意点もたくさんありますが、大きく分類すると構造に関する注意点と表現に関する注意点、流れに関する注意点の3つがあります。
質問の構造に関する注意点
質問の構造に関する注意点というのは、アンケート全体の質問の構造に関する注意点です。例えば、商品に関する満足度調査をする場合、質問のなかには商品の総合評価に関する質問があるでしょう。その商品への客観的な満足度を知るために、この総合評価に関する質問はとても重要なものですが、一方でなぜその評価になったのかという理由の部分のほうがより重要です。
このように、アンケートの質問を構築する際には、最終的な評価とその評価に結び付いた理由を明確に区別して質問していくことが大切です。原因と結果に分けた質問設計を心掛けることによって、よりユーザーの声を的確に反映させるアンケートが作れる可能性が高くなります。また、アンケートの質問全体を見てみて、重複や漏れがないかを確認することも大切です。質問自体が似た質問になってしまっている場合も問題ですが、選択式の質問に対しての回答に漏れが生じている場合が特に問題です。選択式の場合にはそこにある選択肢以外は回答することができないため、あらゆる可能性を考えて網羅するように選択肢を考えなければいけません。
選択式の場合には、最後に『それ以外』というような回答を用意し、フリーで回答することができる記述スペースを設けるのがセオリーです。ただし、このような記述式の選択肢は選ぶだけの単純な選択肢のなかに入れた場合、極端に回答率が下がる傾向にあります。「本当は別の意見があるけど、めんどくさいから選ぶだけの選択肢で良いや」という心理が回答者に働くことも念頭に置いておきましょう。
表現に関する注意点
2つ目の注意点である表現に関する注意点というのは、質問ひとつひとつの表現についての注意点です。例えば、質問文を考えるときには必ず平易な言葉遣いを意識し、だれが読んでもわかるような文章が良いとされています。逆に、専門用語が多用されたような特定の層にしか回答できないアンケートは回答率も低く、離脱も多くなるためおすすめできません。質問内容についても、色々な意味で解釈できてしまうような曖昧な表現は避け、ひとつの質問に複数の質問を入れないようにすることが大切です。質問を設計するときには原則として、
1設問1テーマを意識しましょう。
流れに関する注意点
3つ目の流れに関する注意点は、どのようなタイプの質問から初めて、どのようなタイプの質問に向かっていけばいいのか、というアンケート全体の流れに関するものです。ターゲットや目的によっても若干異なりますが、基本的には属性に関する質問が初めのほうに置かれ、そのあとに本題に関する質問を置くようにします。属性に関する質問というのは、例えば年齢や性別、職業などがそれにあたります。これらの質問は迷うことがない簡単な質問ですので、初めのほうに置くことでアンケートへの回答のハードルを下げる効果があります。
この後に続く本題のなかでも、調査目的を直接的に満たすような質問は前半に置き、答えづらい質問は後半に置くように意識します。こうすることによって、アンケートの目的を高い確率で達成し、途中での離脱を避ける効果が期待できるのです。
ここで見てきたアンケート調査に関するポイントはどれも基本的なものです。特に質問設計の注意点に関してはどのようなジャンルのアンケートについても共通するポイントですので、ぜひ参考にしながらアンケートの企画を行ってみてください。
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