家具ではなく、人をつくる会社である。IKEAが社員にも顧客にも愛される理由 | 株式会社エモーションテック

家具ではなく、人をつくる会社である。IKEAが社員にも顧客にも愛される理由

更新日:2024.07.25

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エモーションテック 編集部

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今や、「家具と言えばIKEA」と誰もが口を揃えるほどの快進撃を見せるIKEA。現在、世界42ヶ国で約350店舗を展開し、売上は年々伸びてきています。

これほどまでに顧客に愛される理由は何なのでしょうか?その背景には、IKEA独特のマーケティング手法による「イケア効果(手間をかけることで愛着が強まること)」の活用と、社員のダイバーシティを受け入れた環境作りにありました。

今回は、顧客ロイヤルティ、NPS®向上に繋がる、IKEAの取り組みをご紹介します。

IKEAのビジョンに繋がる経営理念4ポイント

IKEAには、顧客により良い満足感を与えるために、以下のような経営理念に沿った4つのポイントがあります。

・「コスト意識」-リソースを最大限に有効活用できるように工夫する

・「発想力」-既存のやり方に満足せず、新しい発想を生かして課題に取り組む

・「責任感」-顧客を満足させるサービスを提供するという責任を持つ

・「達成力」-顧客の期待に応える仕事をやり遂げる

従業員は、以上の全てを念頭に置きながら業務を遂行していくことで、達成感を得て、更なるサービス向上を自ら追い求めるようになるのです。

独特のマーケティング手法による「イケア効果」

IKEAは、“手頃な価格”と、“北欧家具の高いデザイン性”を武器にここまで快進撃を続けてきました。しかし、その安さと高いクオリティを維持し続けるには、それを実現するための様々な施策が必要になってきます。

「家具を顧客の手で組み立ててもらう」という手法がその一つです。これは、製品の組み立てコストがただ削減されるというものではありません。顧客はプロが組み立てたものよりも、自分で組み立てたものを高く評価する傾向があり、これを利用することで、顧客が製品に愛着を感じやすいようにした施策なのです。

そのような、「手間をかけることで愛着が強まること」という行動心理学を“イケア効果”と提唱するようになりました。これにより、顧客に満足感を与えながら、コスト削減に繋げられる一石二鳥のマーケティング戦略を手に入れることができたのです。

全パート従業員を正社員化にする「未来への投資」

“Believe in people”働く形態にとらわれず、一人ひとりが能力を発揮し、自ら成長するという意味が込められたフレーズです。 “コワーカー”と呼び方が統一されているIKEAの従業員は、この言葉を大切にしてます。ビジネスの成長には従業員の成長が不可欠です。そのため、IKEAは人に対しての投資は惜しみません。

2014年9月に、IKEAは「全てのパート従業員の正社員化」を実行しました。それは、安心してIKEAで仕事を頑張ってもらえるよう 、同一賃金や福利厚生などの平等性を全従業員に与えるためです。福利厚生を働く人に与えることによって、家事・育児・介護など、それぞれの家庭事情に対応できる働き方がより選びやすくなり、個々人が自分に合った “ライフワーク”を送ることができるのです。

具体的な効果としては、パート従業員が正社員になることによって、マネージャーのポジションを狙うようになり、チャレンジ精神にあふれた職場が生まれました。このような、ポジティブな動きの活性化に繋げることができるのです。

「ワーキングマザー」による、顧客のニーズに合わせた提案営業

従業員への惜しみない投資は、優秀な人を惹きつけ、会社にとどめる効果があります。IKEAでは「ワーキングマザー」と呼ばれる、育児をしながら働く女性が大活躍しています。ワーキングマザーは主に子供向けのクリニックや保育所などへの法人営業を担当し、母親ならではの目線から顧客に対する提案を行います。この「育児を経験した母」からの提案はとても高い評価を受け、営業目標に対して133%の成果が出たといいます。

このように、IKEAの法人営業部は新規顧客獲得に人数を割くのではなく、ワーキングマザーなどの力を借りて付加価値の高いサービスを生み出すことで、効率的な経営を行っているのです。

最後に

IKEAがこうした大胆なマーケティング戦略を行うのは、顧客と従業員から「愛されるブランドになる」という思惑がありました。

従業員を大切に育てることにより、従業員が顧客を大切にする。企業が、一生懸命働くコワーカーたちの「ライフワーク」を提供することで、一人ひとりを一人前に育てる環境を構築することができるのです。

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