エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
顧客の期待や市場のニーズに合わせた事業展開や商品開発、サービス改善を行うにあたって顧客理解の重要性が以前にも増して叫ばれるようになってきました。
顧客理解を行うにあたってのポピュラーかつ効果的な手法のひとつがカスタマージャーニーマップです。本記事ではカスタマージャーニーマップについて、改善に繋げるための効果的な作成方法からその後の活用までを解説していきます。
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カスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニーマップとは、自社が抱えている顧客がサービスを認知する段階から最終的に購入に至るまでの、行動や感情のプロセスを図示化したものです。
サービスやプロダクトを改善するためには、想定しているペルソナが認知から購買まで、または継続的な利用に至るまでの各段階においてどのような体験を経ており、それによってどのように感情が推移していくか全体像を把握することが不可欠です。
カスタマージャーニーマップを作ることでこれらが一つのビジュアルで整理され、考えるべきことや打つべき施策が見えやすくなります。
カスタマージャーニーマップの利用シーン
マーケティングプランを立てる際や見直す際、CX担当者が顧客体験を横断的に整理し改善策を検討する際に広く使われています。また近年では、マーケティングの部署やCX部署に閉じずに現場で顧客対応を行なっている部署なども交えて顧客理解を促進するためカスタマージャーニーマップを作成するワークショップなどもよく実施されるようになってきています。
カスタマージャーニーマップは顧客の思考や課題を整理だけでなく、各段階における課題を明確にし、スムーズに改善施策へつなげるための具体的施策まで落とし込む必要があります。そこで、この記事では顧客接点の課題を明確にして解決策を打ち出すために役立つカスタマージャーニーマップ作成方法のポイント6点を紹介します。
カスタマージャーニーマップの作り方:6つのポイント
カスタマージャーニーマップを作成するにあたっては、思考と作業の順序が大事になってきます。
カスタマージャーニーマップ作成を効果的に進める手順
①具体的なペルソナを設定する
②そのペルソナがどういった行動をとるのか時系列で整理をする
③自社との接点はどういったことがあるのかを洗い出す
④それぞれのフェーズでどのような感情になるのか、ポジティブ・ネガティブ双方を書き出す
⑤感情曲線を描き、顧客の感情の動きを可視化する
⑥各フェーズ、特に顧客の感情が曲線が低くなる部分についての改善施策を考える
それぞれについて順番に解説していきます。
カスタマージャーニーマップ作成のポイント①ペルソナの設定
カスタマージャーニーマップを作成する際にまず必要なのが、具体的な顧客像を共有するためのペルソナの設定です。ペルソナとは自社がターゲットにしている顧客セグメントの特徴を分かりやすく抽出してまとめたものです。
カスタマージャーニーマップを課題解決に役立てるには、カスタマージャーニーマップを作る際に、できるだけ具体的な顧客像を思い浮かべることが重要です。ニーズを抱えている顧客の状況を整理し言語化することで、顧客の感情を正確にとらえ、より精度の高い課題解決方法につなげることができます。
顧客のターゲット像が複数ある場合は、それぞれにペルソナを作成し、あわせて1つずつカスタマージャーニーマップを作成することをおすすめします。
カスタマージャーニーマップ作成のポイント②顧客の行動を整理する
ペルソナを作成したらのペルソナが自社サービスを認知するところから購入・契約、そしてその後の利用までのフェーズを整理しましょう。図の切り分け方はあくまでサンプルですので、自社に合わせたフェーズを設定して構いません。
そして各フェーズにおいてより細かく顧客がどういった行動をとるのか、つまりは顧客体験を洗い出してみましょう。ここで重要になってくるのは、あくまで顧客視点に立って行動を洗い出すということです。
よくある落とし穴として、自社視点で考えてしまうことで自社との接点以外において顧客がどういった行動をとっているのかを見落としてしまうということがあります。これでは本当は重要だったはずのポイントを見逃したままマーケティングプランや施策の立案がされてしまうことになりかねません。
常に顧客視点に立つということを意識しておきましょう。
カスタマージャーニーマップ作成のポイント③顧客とのタッチポイントを洗い出す
次に各フェーズ、各顧客体験において顧客とどのようなタッチポイントがあるかを整理しましょう。顧客が企業・サービスの情報に接触する媒体やコミュニケーション手段を指します。
顧客がどのように情報にリーチするのかを整理することが、自社が施策を打つべきチャネルが明確になります。
カスタマージャーニーマップ作成のポイント④顧客の感情を洗い出す
このステップでは顧客の感情を洗い出します。顧客が各フェーズにおける行動を取る際にどのようなことを考え、そしてどのような感情になるのかを書き出していきましょう。
もちろん顧客によってそれぞれの行動や出来事に対する捉え方、抱く感情はさまざまなものがあります。ポジティブ・ネガティブの両面から考えていきましょう。
ひと通り書き終えてみると、自然とポジティブな感情が多い顧客体験とネガティブな感情が多い顧客体験がそれぞれ分かれて見えてくるかもしれません。あるいは、両方の感情が集まる賛否の分かれやすいポイントなどが見えてくることもあります。
特にネガティブな感情が多く集まる顧客体験は、どのようにその感情を払拭することができるのか改善施策を考えるポイントになります。ネガティブな感情を抱く部分では、次のフェーズに進まずに離脱してしまったり、あるいは他社の検討を進めてしまったりするリスクがあります。
カスタマージャーニーマップ作成のポイント⑤感情曲線を描く
顧客の感情を洗い出すことができたら、次は感情曲線を書いていきます。顧客体験に合わせて顧客感情がどのように動くのかを整理することで現在の強みと課題ポイントが明確なります。
顧客の感情は前述した通り、さまざまなものが出てきますし、一つの顧客体験に対してポジティブ・ネガティブ両面の感情が書き出されることもあります。
この感情曲線を描くタイミングでは、あらめてペルソナに立ち戻って、広く発散させた意見を集約させていくことを意識しましょう。
ある課題を抱えている顧客に最終的にどのように感じてほしいかから逆算して施策を検討することでより有効な施策を検討しやすくなります。
カスタマージャーニーマップ作成のポイント⑥改善施策を書き出す
ここまで出揃うとカスタマージャーニーが完成したと言えます。最後は自社の目線も交えて、それぞれの顧客体験においてどのような改善施策が考えられるかを書き出していきましょう。
感情曲線や改善施策を加えた最終的な作成イメージはこのようになります。
この表を活用しながら細部を詰めることで全体として一貫した施策を検討することが可能になります。
カスタマージャーニーマップに沿ったCXリサーチで顧客課題を明確にする
ここまで書いたようにカスタマージャーニーマップ作成を通して社内での顧客理解を深めることができます。これだけでも今まで見えてこなかった改善施策が多数意見として挙がり、実際に改善に取り組み成果に繋がることも大いにあるかと思います。
一方で、社内で作ったカスタマージャーニーマップはどれだけ顧客視点に立ったとはいえあくまで自社が立てた仮説であることには留意しておく必要があります。
ではこの仮説が本当に正しいのかどうかを検証するには、カスタマージャーニーマップに沿ったCXリサーチを行うことが有用です。自社が持った仮説について実際の顧客目線で評価を取得することでより説得力を持った顧客理解ができるようになります。
NPSを用いた顧客体験の改善アプローチ
NPS®とは顧客ロイヤルティを数値化する指標で、「あなたは〇〇という商品をどの程度、親しい友人や家族に勧めたいと思いますか?」という推奨度を質問します。
このNPSとカスタマージャーニーマップで洗い出した各顧客体験に対する評価を取得し、それぞれを掛け合わせて分析を行うことで、どの顧客体験が実際に顧客にとって重要なのか、そして今課題になっているのかを明確にすることができます。
下図のようにカスタマージャーニーで洗い出した顧客体験については5段階の満足度評価を取得しておきます。
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NPSとこの各顧客体験の満足度評価を掛け合わせて分析を行うと、カスタマージャーニーマップに沿った形でどの顧客体験が顧客にとって重要であるのか、そしてどの顧客体験が不満によってロイヤルティを下げる要因になっているのかを把握することができます。
このようにカスタマージャーニマップにより仮説を立てて、さらに定量調査を実施することで根拠のある、推進力を持った改善活動を立て、実行することが可能になります。
ぜひカスタマージャーニーマップを活用して、顧客理解を深め、顧客体験の改善を行なっていきましょう。
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