解約率(チャーンレート)とは?基本概念と原因・改善施策を徹底解説
更新日:2025.02.25


梅川 啓
株式会社エモーションテック Marketing Manager
複数企業の事業責任者を歴任したのち、2020年よりエモーションテックにCXコンサルタントとして参画。製薬会社や金融機関、化粧品メーカーのNPSプロジェクトやCXマネジメントの支援に携わる。2022年よりマーケティングに従事し、各種セミナーやイベントに登壇。
定期購入型のサブスクリプションサービスや月額課金制のソフトウェア(SaaS)などが普及したことにより、多くの企業が解約率(チャーンレート)に注目するようになりました。解約率は「既存顧客がどの程度の割合でサービスを離脱しているか」を示す指標であり、企業の収益や成長戦略に大きく影響します。特にサブスク型ビジネスでは、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との長期的な関係構築がカギとなるため、解約率の把握・管理が極めて重要です。
本記事では、解約率の基本的な意味から、その測定方法、解約が発生する主な原因、具体的な改善策、そして成功事例などを幅広く解説します。解約率の理解を深めることで、ビジネスモデルの持続性や利益率の最適化、顧客満足度の向上に役立てられるはずです。ぜひ最後までお読みいただき、自社の解約率対策に活かしてください。
目次
解約率(チャーンレート)の定義
解約率(Churn Rate)とは、ある一定期間において、契約を解除する顧客の割合を示す指標です。一般的にはサブスクリプションモデル(定額課金)を採用している企業や、継続利用が収益の基盤となるビジネスで頻繁に使われます。解約率を算出する基本的な数式は、以下のように定義されることが多いです。
解約率 = (特定の期間中に解約した顧客数 ÷ 期首または平均契約顧客数) × 100(%)
期間については、月単位で算出する「月次解約率」や、年単位で算出する「年次解約率」など、ビジネス形態や分析目的に応じて選択されます。サービスによっては顧客数ではなく、売上ベース(MRR=Monthly Recurring Revenueなど)で解約率を計算する場合もありますが、基本的な考え方は同じです。
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解約率(チャーンレート)が企業にとって重要な理由
解約率は、顧客がどれだけ継続してサービスを利用しているか、あるいはどれだけ短期間で離脱しているかを端的に示す指標です。解約率を軽視していると、せっかく費用をかけて獲得した顧客が次々と離れてしまい、ビジネスの安定や成長が阻害されます。特に以下のような理由から、解約率の低減は多くの企業にとって死活問題といえます。
長期的な収益性の確保
サブスクモデルでは、顧客が長期的に利用してくれるほど売上が安定し、LTV(ライフタイムバリュー)も上昇します。顧客が早期に解約してしまうと、初期のマーケティングコストやオンボーディングコストを回収しきれず、利益率の悪化につながります。
投資・成長戦略への影響
企業が新規事業や機能拡充に投資する際には、既存顧客からの安定収益が財政的な裏付けとなります。解約率が高いと、将来のキャッシュフロー予測が立てにくくなり、大きな投資判断が難しくなる場合があります。
ブランドイメージと顧客満足度
解約率が高いことは、顧客満足度が低いことやサービスに致命的な不備があることを示唆している可能性があります。サービスを解約した顧客がSNSや口コミサイトでネガティブな情報を発信すれば、新規顧客の獲得にも悪影響を及ぼします。
解約率(チャーンレート)を左右する主な要因
解約率が上昇する背景には、さまざまな要因が絡み合っています。一般的によく挙げられる原因としては、以下のようなものがあります。
サービス品質・機能の不足
顧客が期待する品質や機能を満たしていない場合、「想定と違った」という理由で解約に至りやすくなります。例えば、ソフトウェアであればバグや障害が頻発する、あるいは使い勝手が悪いといった点が大きな不満につながります。競合他社がより優れたサービスを提供している場合、そちらに乗り換えられるリスクが高まります。
価格に対する不満
料金が高すぎる、または顧客が感じる価値に比べてコストパフォーマンスが低いと判断されると、解約率は上昇します。特に、無料トライアル期間が終わった後に利用料金が高いと感じるケースや、頻繁に料金を改定するケースなどは要注意です。顧客は「払う価値があるかどうか」を常に冷静に見極めており、その線引きに達しないと判断した場合はすぐ離脱してしまいます。
カスタマーサポートの質
問い合わせに対して返答が遅い、問題が解決しない、対応が不親切など、サポート体制の不備も主要な解約要因となります。顧客との接点が最も多いのはサポート部門であることが多いため、そこでの顧客体験が悪いと、サービスそのものへの印象が大きく損なわれます。
オンボーディングの失敗
新規顧客がサービスを使いこなせるようになるまでの過程を「オンボーディング」と呼びます。この時期に適切なサポートやチュートリアルが不足していると、顧客が離脱しやすい傾向があります。特に、初期利用時の満足度が低いとその後の継続率も低くなりやすいです。
ライフスタイルやビジネス環境の変化
顧客側の事情として、ライフステージの変化やビジネス環境の変化によってサービスが不要になる場合もあります。これは顧客側の都合であり、必ずしもサービスに問題があるわけではありませんが、代替機能の提案や料金プランの見直しといった工夫で解約を防げるケースもあります。
解約率(チャーンレート)の測定と分析手法
解約率を効果的に改善するためには、定期的に数値を追跡し、その原因を分析することが不可欠です。具体的な測定・分析のポイントをいくつか紹介します。
月次レポートやダッシュボードの活用
多くのサブスク企業では、月次や四半期ごとに定期的なレポートを作成し、解約率の推移をモニタリングします。最近では、TableauやGoogle Data Studio、Power BIなどのBIツールを活用して、解約率に関するデータを可視化している企業が増えています。ビジュアル化することで、経営陣から現場スタッフまで、共通の認識を持ちやすくなります。
コホート分析
コホート分析は、ある時期に獲得した顧客群(コホート)が、時間の経過とともにどのように利用を継続または解約しているかを追跡する手法です。例えば、1月に登録した顧客が半年後にどのくらい残っているのか、2月に登録した顧客はどうか、といった形で比較します。これにより、オンボーディングの改善やアップデートの影響など、施策ごとの効果測定に繋げやすくなります。
解約理由のヒアリング
解約率の数値だけを見ても、その背景にある本質的な理由を把握できないことがあります。そこで実際に解約のタイミングでアンケートや電話でのインタビューを行い、「なぜこのサービスをやめようと思ったのか」を直接聞く方法が有効です。解約理由の統計をとることで、優先的に対策すべき課題が明確になり、次の施策に活かせます。
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解約率(チャーンレート)を改善するための主な施策
解約率が高いことが分かったら、具体的にどのような施策を打てばよいのでしょうか。以下に代表的な改善策をまとめます。
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サービスの品質向上と機能追加
根本的な原因がサービス品質や機能不足である場合は、アップデートやバグ修正、新機能の追加などを行うことで解約率を引き下げられる可能性があります。顧客のフィードバックをもとに優先度を決め、早めにリリースしていく姿勢が重要です。
料金体系の見直し
価格に不満を持たれているのであれば、複数の料金プランを用意して、顧客が自分の使用量や予算に合わせて選択できるようにするのも一つの手段です。ライトユーザー向けの低料金プランや、ヘビーユーザー向けの特典付きプレミアムプランなど、多様なニーズに合わせた提案が解約率抑制に効果を発揮します。
オンボーディングの充実
新規顧客がスムーズにサービスを理解し、利用を開始できるよう、チュートリアルやヘルプセンター、動画マニュアルなどを充実させます。初期設定のサポートやトレーニングセッションを提供し、顧客が「使い方が分からない」という不満を抱く前に手を打つことが重要です。また、ウェルカムメールや定期的なフォローアップを通じてコミュニケーションを継続することも効果的です。
カスタマーサポート体制の強化
顧客が疑問や問題を感じたときに、迅速かつ適切なサポートを受けられる体制を整備します。例えば、チャットボットや24時間対応のコールセンターなどで顧客の待ち時間を短縮する取り組みが挙げられます。スタッフへの研修を行い、顧客視点での対応を徹底することも欠かせません。
契約更新や解約防止のリマインド
サブスクの更新時期が近づいた際に、自動更新であっても顧客にリマインドメールを送ったり、解約理由を尋ねる仕組みを設けたりすると、離脱防止につながる場合があります。また、解約を検討している顧客には、一時停止プランや休止プランを提案するなど、完全に離脱させない工夫も有効です。
解約率(チャーンレート)改善の成功事例
実際に解約率を大幅に下げ、ビジネス拡大に成功した企業の事例を見てみましょう。
サブスク型ソフトウェア企業
あるクラウド型の会計ソフトを提供する企業は、オンボーディング時のサポート不足が原因で解約率が高いと判明しました。そこで、新規利用開始から最初の1カ月に重点を置き、専任のカスタマーサクセス担当を配置。導入初期の設定や操作方法を手厚くフォローした結果、半年後には解約率を30%以上削減することに成功しました。
オンライン学習プラットフォーム
オンラインコースを提供する学習プラットフォームでは、受講者が途中で挫折しないようにするため、ゲーミフィケーション要素(学習進捗に応じたポイントやバッジ付与)を導入。また、コース内容に満足しない受講者には、別のコースへの乗り換えや部分的な返金を提案する仕組みを整えました。その結果、利用者の離脱率が大幅に改善し、学習継続率が飛躍的に上昇したそうです。
まとめ:解約率(チャーンレート)管理が企業の長期成長を支える
解約率とは、企業が顧客との長期的な関係を築けているかを示す重要な指標です。サブスクリプションビジネスや継続課金モデルでは、解約率が高まるとキャッシュフローが不安定になり、安定した経営基盤を確立できないリスクが高まります。逆に、解約率を低く抑えられれば、既存顧客からの継続収益を軸に新たな投資やサービス拡充が可能となり、企業が着実に成長しやすくなります。
解約率を改善するためには、サービス品質の向上や適切なオンボーディング、カスタマーサポート体制の充実など、多面的なアプローチが必要です。また、顧客の声の収集やコホート分析など、継続的なデータ分析も欠かせません。「顧客が離れていく本当の理由は何か」を常に問い続け、改善を積み重ねることで、解約率は徐々に低減していくはずです。
ぜひ本記事を参考に、自社の解約率を定期的にモニタリングし、顧客が離脱する要因を徹底的に分析してみてください。解約率をうまくコントロールできる企業こそが、安定した収益モデルと顧客との良好な関係を長期的に維持し、激しい市場競争を勝ち抜いていくのです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 解約率とはどのような指標ですか?
A. 解約率(Churn Rate)とは、ある一定期間において、契約を解除した顧客の割合を示す指標です。サブスクリプションモデルや定額課金型ビジネスにおいて、既存顧客がどれだけ継続利用しているか、またはどれだけ早期に離脱しているかを定量的に把握するために利用されます。
Q2. 解約率はどのように算出されますか?
A. 解約率は、特定の期間中に解約した顧客数を、その期間の期首または平均契約顧客数で割り、100を掛けてパーセンテージで表します。たとえば、月初に1,000件の契約があり、その月に20件の解約があった場合、月次解約率は2%となります。
Q3. なぜ解約率は企業にとって重要なのでしょうか?
A. 解約率は、既存顧客との長期的な関係の維持や、継続収益の安定性に直結します。顧客が早期に解約してしまうと、初期のマーケティングやオンボーディングにかけたコストが回収できず、利益率が悪化します。また、解約率が高いと、将来のキャッシュフロー予測や投資判断にも影響を与え、ブランドイメージや顧客満足度にも悪影響を及ぼします。
Q4. 解約率が高くなる主な原因は何ですか?
A. 解約率が高くなる原因は多岐にわたりますが、主に以下の点が挙げられます。
・製品・サービスの品質や機能が顧客の期待に応えていない。
・価格に対する不満、つまりコストパフォーマンスが低い。
・カスタマーサポートの対応が遅い、または不十分である。
・オンボーディングプロセスが適切に機能していない。
・顧客のライフスタイルやビジネス環境の変化により、サービスが不要になった。
Q5. 解約率を改善するための具体的な施策は何ですか?
A. 解約率改善には、以下のような施策が有効です。
・サービス品質の向上と、定期的な製品改良や機能追加。
・料金体系の見直しや、複数のプラン設定による顧客ニーズへの対応。
・新規顧客向けのオンボーディングプロセスの充実と、初期サポートの強化。
・カスタマーサポート体制の見直しと、迅速な問い合わせ対応。
・解約理由をヒアリングし、具体的な改善策をPDCAサイクルで実施する。
・定期的なレポート作成と、コホート分析による施策の効果測定。
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