顧客満足度(CS)向上が売り上げにつながる成功事例とは? | 株式会社エモーションテック

顧客満足度(CS)向上が売り上げにつながる成功事例とは?

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エモーションテック 編集部

NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。

顧客満足度(CS)の向上は売り上げにつながるか?

顧客満足度(CS)やロイヤルティは調査会社や大学などの研究機関によって、収益性との関連性が明らかになっています。例えば、アメリカの大手コンサルティング会社であるベイン・アンド・カンパニーによる研究レポートによれば、航空業界やインターネットプロバイダ業界などで年平均成長率との強い相関関係が認められました。弊社の自主調査でも日本の自動車業界でNPS®¹を用いた顧客満足度調査を行ったところ、国内販売台数成長率との間に強い相関関係が認められており、顧客満足度の向上は売り上げ向上と深い関係性があることが分かります。

顧客満足度(CS)向上事例

顧客満足度を向上させることは、売上を上げることにつながるというのは理論的には分かりました。ただ、理論的に成り立ったとしても実際のビジネスの現場で成り立つとは限りません。そこで、実際に顧客満足度の向上を図って成功した事例をいくつかご紹介します。

【ファンクラブ事例】ヤクルトスワローズ

日本の球団であるヤクルトスワローズの事例です。ヤクルトスワローズでは以前からアンケート調査の実施はしていたものの、そのアンケート調査から得られる結果を上手くファンクラブ運営に活かしきることができていませんでした。そこで、NPS®を使った顧客満足度調査を行ったところ、ファンクラブの会員の本音が浮き彫りになってきました。具体的には、東京が本拠地のヤクルトスワローズの試合をあまり見に来ることができない地方の会員の人の場合には、ファンクラブの会員でいるメリットがあまり感じられないとのことでした。

また、会員にとってはユニフォームの特典などが非常に高評価であることも分かりました。この顧客満足度調査から得た課題に対して、ヤクルトスワローズは地方向けのイベントや特別グッズを積極的に増やしたり、最上位会員であるプラチナ会員の限定特典としてユニフォーム特典を付けたりしました。その結果、2014年から2016年にかけて会員数2.5倍になり、チケットの売上枚数なども大幅に伸びていきました。それに加え、最上位のプラチナ会員の人数も増えたことにより、大幅な収益性アップにつながりました。

【航空会社事例】デルタ航空

アメリカの航空会社であるデルタ航空でも劇的な顧客満足度の上昇事例があります。デルタ航空は他社に比べ、従来から欠航率、荷物紛失率がトップクラスでした。しかし、こんな状況にも関わらず、2012年から2014年の顧客体験指数は大幅に上昇し、サウスウエストに次ぐ2位にまで上昇しました。デルタ航空が打った手としては、「欠航」「遅延」「紛失」という3つの大きな課題を徹底的に改善し、顧客の信頼回復に努めました。

デルタ航空では、パイロット都合による欠航などの場合に経由便に切り替え、経由地で新たなパイロットに交代するという対策を講じることで、業界平均3%を大きく下回る0.2%という低水準を実現しました。また、遅延回避をするために従来型の燃料温存をやめ、パイロットの裁量にゆだねることにしました。これらの施策によって、遅延率を大幅に削減し、定時運行を可能にしました。また、紛失の削減に関しては顧客自身が荷物の追跡ができるようなシステムを構築することで、顧客の信頼回復につなげることに成功しています。

【保険事例】ソニー損保

ソニー損保は保険会社のなかでも顧客満足度の向上を第一に考えたマーケティングを行っていることで有名な企業です。保険会社は一般的に売上額をベースに考え、いかにしてこの数字を伸ばしていくかを考えますが、ソニー損保の場合には顧客満足度の向上を第一に考えることで、将来的な収益アップにつながるという戦略の下、経営されています。具体的には、顧客体験を向上すべく、NPS®を活用したロイヤルティ評価を行い、評価が低い顧客に対しては会社の責任者から直接電話でのヒアリングを行うなどの対策を行っています。

このほかにも、大雪などの自然災害に対して保険が適用できることを加入者に促すメールである『雪害お見舞いメール』や契約期間中に誕生日を迎えた加入者に対して、より安い金額で利用できるようになった旨を通知する『年齢条件変更の案内』など、顧客を第一に考えた提案を行っていることでも有名です。このふたつの施策は、どちらも直接的には売上に対してマイナスの効果しかありません。しかし、それでも業績を伸ばしていけているという事実を見れば、やはり顧客ロイヤルティの向上を図ることがもっとも効果的な売上アップの施策であるということがわかってきます。

【アパレル事例】ロぺピクニック

大手アパレルブランドのロぺピクニックは2014年からTVCMによる積極的な広告宣伝の結果、多くの新規顧客獲得していました。しかし、少子高齢化などに代表されるようなアパレルブランドを取り巻く環境の悪化やライバル企業とのし烈な争いによって、売上の減少やロイヤルティの減少に悩まされていました。新規顧客は獲得できているが、ロイヤルティが上がらないため、なかなか安定した収益性の増加につながらないという悩みを抱えていたのです。

そこで、NPS®を活用したロイヤルティ分析を行ったところ、ポイントカードを出す際のめんどくささや、その際に発生するレジの待ち時間に大きな問題点があることが分かりました。これらの分析結果に基づいて、ロぺピクニックは専用アプリを開発し、スマホからアプリを通して簡単にポイント機能を使えるようにしました。その結果、ポイントカードの不便さが解消され、それに伴ってレジの待ち時間も減少したことでリピーターの獲得に貢献しました。既存顧客のロイヤルティが上昇したことによって、企業全体の売上も上昇傾向にあります。

【自動車ディーラー事例】メルセデス・ベンツ

高級車の代名詞としてその名をほしいままにしてきたメルセデスベンツでしたが、レクサスなどの登場によってそのシェアを徐々に奪われていました。メルセデスベンツはレクサスに対抗するため、従来型の『製品優先』ではなく、『顧客優先』の社内文化に変革していきました。これはいわゆる顧客体験の向上を目指していくロイヤルティの考え方に基づくものです。具体的には、2011年から全社的な営業フローの改革を断行し、クロージングまでの一連の流れの中で、どの工程が一番強いインパクトを持っているのかを明確にしていきました。

販売店に対しても、しっかりと顧客接点を明確にすることができるように、『お客様とのすべてのタッチポイントを検証し、改善する』という方針を示しました。これら販売店などからのデータを集め、分析を行った結果、営業活動のなかでも価格交渉の時間が顧客満足度に大きな影響を及ぼしていることが明らかになったのです。そこで、価格交渉を15分以内終わらせることを全販売店に共有し、営業活動の方法を見直していくことで売り上げは2011年の570億ユーロから、2016年には890億ユーロまでに大幅躍進しました。さらには、2014年に初となるセールス満足度ランキング1位にも輝いています。

参考文献

遠藤直樹、武井由紀子(2015)「売り上げにつながる『顧客ロイヤルティ戦略』入門」日本実業出版

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