エモーションテック 編集部
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「グッドマンの法則」についてご存知でしょうか。
顧客のクレームと再購買行動に相関関係があることを示し、顧客の不満に対処することで、売り上げに変えることができるという法則です。
本記事ではこの「グッドマンの法則」について、成功事例とともにご紹介します。クレームをチャンスに変えるための秘訣を学び、ビジネスを成功させましょう。
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グッドマンの法則とは
グッドマンの法則というのは、クレーム(苦情)処理と再購入決定率の間に相関関係があることを示し、軽量化した法則のことをいいます。マーケティング調査・コンサルティング会社TRAP社の創業者であり経営コンサルタントでもあるJohn A・Goodmanの名前に由来しています。グッドマンの法則は、アナウンサーであり晩年は白鴎大学経営学部の教授も務めた佐藤知恭氏が見つけた数々の法則をひとつにまとめたものです。この法則は、当時アメリカ政府の依頼によってコカ・コーラやGMなどの大企業が独自に行ったマーケティングに関する調査結果をまとめた中から見出されたものです。顧客心理と非常に深い関係性があることから、時代とともに風化することのない不変の法則であり、マーケティング業界では非常に重要な法則として知られています。
グッドマン第一の法則
第一の法則は、『不満を企業に伝えてくる顧客のうち、対応に満足した顧客の再購入決定率は申し立てなかった顧客に比べて高くなる』というものです。この法則は、苦情の数自体が問題なのではなく、その苦情に対してしっかりとした対応ができる組織作りが大切であるということを表しています。実際の調査によれば、苦情を申し立てて迅速に解決されたと感じた人は、申し立てをしなかった人たちに比べて60%~70%という高い確率で再購入をしてくれることが分かっているのです。法則を見出すために使われた調査は1980年頃に行われたものなので、現在の市場環境に法則性がマッチしていないと言われることもあります。しかし、2013年にCMCCが行った『全米消費者の不満実態調査』からも、グッドマンの法則は当てはまることが示されています。日本でも、1990年代から各企業でのコールセンターやお客様相談窓口の設置が急激に増えました。この背景には、グッドマンの第一法則があるのです。ビジネスの世界では『苦情は宝物』というようにいわれることがあります。この意味は、グッドマンの第一法則からも理解することができるでしょう。
グッドマン第二の法則
第二の法則は、『ネガティブな体験はポジティブな経験の2~4倍ネガティブな口コミを生むため、悪い評判が拡散しやすい』というものです。好意的な口コミというものをあえて第三者に話す人は少ないですが、悪い口コミは瞬く間に広まっていくことを表しています。実際の調査によれば、悪い口コミを20人以上の人に伝える人は全体の約12%もいることが分かっています。ここで注意しなければならないのは、この調査は1980年代に行われたものであるという点です。当時と今を比較すると、圧倒的にインターネットが普及しており、SNSなどを通じて口コミやうわさは非常に拡散しやすい状況になっています。ネットがそこまで普及していない時代ですら悪い口コミは拡散しやすいということは、現代ではより多くの人に、かつより急速に広まりやすいといえるでしょう。世界的な戦略コンサルティング会社マッキンゼーの調査¹でも、口コミは新たな商品やサービスの購入に強い影響を与えることが示されています。この調査結果からも、現代はネット上の口コミや評判に対して、より慎重にならなければならないということが分かります。
グッドマン第三の法則
第三の法則は、『企業が顧客に適切な情報提供をすることで、顧客との信頼関係が構築されポジティブな口コミが普及し、購買そして市場の拡大に貢献する』というものです。この適切な情報というのは、良い情報も悪い情報も、顧客に対して適切なものならばすべてです。例えば、良い情報としては本屋さんのポップなどがあります。書店に行ってみると、店員さんの読書感想やリアルな読者の口コミなどが手書きで掲載されているものを見たことがある人も多いでしょう。これはプラスの意味で顧客に適切な情報を提供しています。一方、企業にとってビジネス上不利になるようなことであっても顧客のために発信している情報の例には、ソニー損保が過去に出した『雪害お見舞いメール』や『年齢条件変更の案内』などが有名です。どちらも自社の売上だけを考えれば出さないほうがメリットは大きいはずです。しかし、自社に多少不利益があったとしても顧客にとって適切な情報であり、価値のある情報なのであれば、しっかりと伝えたほうが顧客満足度は結果的に上昇していきます。
グッドマンの法則まとめ
以上で見たグッドマンの法則をまとめると、苦情をなくす努力をすることは必要ですが、それよりも苦情をいち早く察知して迅速に対応できるシステム作りが重要であることが分かります。また、苦情を申し立ててくる顧客は全体の5%程度と非常に少ないため、苦情を言ってこない95%を放置してしまうと悪い口コミがあっという間に拡散していく可能性があるということも示唆しています。いずれにしても、企業にとって顧客からの苦情と真摯に向き合うのは非常に大切であることが分かるでしょう。
不満を持った顧客の察知方法
それでは、どのように不満を察知するのが効率的なのでしょうか。この不満客の察知に用いられる手法として現在主流になっているのが、NPS®²(Net Promoter Score)を用いる方法です。NPS®とは、その企業の商品やサービスの利用者に対して推奨度を0~10の11段階で評価してもらい、不満を持っている人たちがどれくらいの割合いるのかを調査する方法です。このNPS®によって導かれた数値を改善していくことで、収益性が上昇することも実証されています。そのため、顧客ロイヤルティを可視化する指標として大企業を中心に導入が進んでいます。
事例:パーソルキャリア株式会社
日本の人材紹介会社の最大手パーソナルキャリア株式会社では、顧客のことを徹底的に知り、ビジョンを共有していく顧客親密経営の事業方針を打ち立て、NPS®の導入を決定しました。具体的には、キャリアアドバイザーが顧客との面談後に適切なタイミングでNPS®を調査し、その結果に合わせた対応を取るように努めたのです。こうすることによって、企業全体の収益性向上と顧客の実態把握に大きく貢献していきました。
¹McKinsey&Company『A new way to measure word-of -mouth marketing』(2010)
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