顧客ロイヤルティ向上へ繋げる『ソーシャルメディア戦略』
更新日:2024.07.25
エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
人との距離が非常に近いメディアである携帯電話やスマホ。
私たちは顧客に対して、広告メールなどを配信する「メールマーケティング」といった手法がありますが、時に顧客はそれを不快に思い、企業のPRどころかロイヤルティを下げてしまう危険性があります。
そこで、今回は『ロイヤルティリーダーに学ぶソーシャルメディア戦略』(※1)の第2章をもとに、ソーシャルメディア時代に対応した顧客セグメンテーションを学んでいきましょう。
6つの顧客タイプに分類する「顧客グリッド」
はじめに、「顧客グリッド」と呼ばれるセグメンテーションを紹介します。
顧客グリッドとは、縦軸に企業の収益を示す「顧客収益性」、横軸にロイヤルティを示す「NPS®」を表示し、6つの顧客タイプに分類したものです。
これら6つのタイプの中で企業が最も獲得したいのが、高収益でかつ頼もしい推奨者である「エンジェル」です。
逆に、最も企業が減らしたいセグメント顧客が「反逆者」です。
企業の収益性を上げるという観点からすると、「反逆者」をいかにして「エンジェル」へとスライドしていけるかがポイントとなってきます。
「購買意思決定プロセス」に与える口コミの影響力
消費者には、商品を買うに当たって「購買意思決定プロセス」というものがあります。
ある製品を購買しようとした時に、いくつかのブランドを思い浮かべる段階のことを「初期検討」と言います。
購入する場合に入念に調査する段階が「積極的評価」。消費者による深い調査を耐え抜いたブランドが「購買の瞬間」という段階で審判を下されます。
このプロセスの「積極的評価」に強い影響力を及ぼすのが、「口コミ」の存在です。その「口コミのインパクト」は以下の図表のように3つの要素から構成されています。
消費者は専門家や身近な家族、友人の意見といった、客観的かつ信頼できる情報をもとに、商品を選択します。
つまり、ロイヤルカスタマーのポジティブなレビューは購買意思決定に最も影響を与え(ブランド支援)、逆にロイヤルティが低い顧客が発信する口コミには、消費者を購入から遠ざけます。
批判者が発するネガティブな口コミには、顧客体験に基づくレビューと企業不祥事などに基づくバズの両方が含まれます。
それぞれの対策として、
ネガティブなレビュー → 顧客との関係性の修復に注力を注ぎます。
ネガティブなバズ → PR活動によって、風評リスクをマネジメントすることが求められます。
ロイヤルカスタマーによる口コミはボランティア精神から発信されるので、消費者からの信頼を得ると共に、人々の心を動かします。
したがって、「究極の口コミマーケティング」はロイヤルカスタマーによって成り立つと言っていいでしょう。
ロイヤルカスタマー育成プロセス
企業の持続的な成長に必要であるロイヤルカスタマーを育てるには、以下のようなプロセスが基本です。
➀既存顧客(浮動客)のロイヤルティ把握
↓
②ロイヤルティを向上させる(販売促進)
↓
③たくさん買ってもらう(顧客が製品を再度購入する)
↓
④推奨してもらい、新規顧客の獲得に繋げる(口コミにより、ビジネスの参加を促進)
↓
➄フィードバックをビジネスの改善に繋げる
現状の顧客ロイヤルティをNPS®調査にて把握し、浮動客に「ディライト(大きな喜び)」をもたらす、「WOWモーメント(感嘆の瞬間)」を伴う顧客体験を与えることで、ロイヤルティを向上させます。
その後、購入量を増やしてもらうための、冒頭で説明したような従来のマーケティング戦略にはリスクがあります。
そこで、顧客ロイヤルティの改善余地がないかどうか検討し、彼らを宣教師に変える施策を考えましょう。
ロイヤルカスタマーにブランドを推奨してもらうためには、口コミ促進に向けた環境作りとして提唱されている「ADIA」(感謝・対話・インセンティブ付与・活性化)というステップをクリアし、「推奨したい」から実際に「推奨する」流れを作ります。
ロイヤルカスタマーは、商品・サービスに対して「オーナーシップ(所有者であること)」を感じ、「自分のもの」として捉えているからこそ、知人・友人に推奨し、企業に対してフィードバックを与えてくれているのです。
まとめ
顧客の声をリアルタイムで聞き、ロイヤルカスタマーからのフィードバックを顧客インサイトとして把握し、ビジネス改善に繋げるためのアクションを起こしてく。
こうすることが本当の意味で「顧客の声」を「収益向上」に活かしていくということなのです。
ロイヤルカスタマーは口コミ価値の面で「セールスパートナー」であると同時に、情報価値の面では、建設的で価値のあるフィードバックをしてくれる「ビジネスパートナー」としての役割を持つ存在であると言っていいでしょう。
※1
引用文献:高見 俊介 (2011) 『ロイヤルティリーダーに学ぶ ソーシャルメディア戦略』 ファーストプレス
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