エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
顧客満足度(CS)とは?
顧客満足度とは、商品やサービスに対してユーザーがどれぐらい満足しているかを調査して数値化したものです。英語の「Customer Satisfaction」の頭文字を取って「CS」と呼ばれることもあります。高度経済成長期には、営業の人員を増やして顧客を開拓し、規模とシェアを拡大する手法が一般的でした。しかし、消費社会が成熟した今では、生産者や売り手が主導する過去の成功モデルは通用しなくなっています。また、ユーザーからするとどの企業の商品も似たり寄ったりで、品質や価格だけでは競合他社と差別化するのが難しいのが現実でしょう。
そこで注目されるのが顧客満足度です。ユーザーのニーズやウォンツを的確に捉え、それをいかに満足させるかという新たな評価軸で商品やサービス、マーケティングを見直そうというものです。しかし、顧客満足度を高めたからといって必ず売り上げが上がるわけではありません。そこで顧客満足度と合わせて、より売り上げや収益に直結する「推奨度」や「再購入意向」などの指標も活用されるようになっています。
顧客満足度を向上させる3つのメリット
1つ目のメリットとして、「既存顧客のLTVが増える」ということが挙げられます。LTVとは「Life Time Value」の頭文字を取ったもので、ユーザーが企業に対して、一生を通じてどれだけの価値をもたらすのかという「顧客生涯価値」の意味です。顧客満足度が向上すると既存顧客のリピート率や顧客単価も高まり、LTVが増えます。
2つ目のメリットが「口コミによる新規顧客獲得の増加」です。McKinsey&Company社の『A new way to measure word-of-mouth marketing』(2010)によると、「口コミは購買の意思決定に影響を与える要因のうち20~50%を占めており、特に初めて商品を購入する際や、高価なものを買うときには口コミが強く影響する傾向にある」とされています。顧客満足度が上がることで口コミが誘発されるので、顧客獲得コストを抑えて新規客を獲得することが可能です。
3つ目のメリットとして「企業の収益性向上」が挙げられます。顧客満足度の向上によって既存顧客のリピート率が高まり、コストを抑えた新規顧客獲得ができるようになります。
その結果、企業の収益性を大きく高めることにもつながるのです。
顧客満足度調査のアンケートの作り方
顧客満足度調査のためのアンケートを作る際には「満足度を測るための指標」と「満足度を左右させる要素」の2つについての質問項目を用意することがポイントになります。満足度を測るための指標を導き出す質問として、まず商品やサービスに対してどの程度満足しているかを調査するための質問を行います。たとえば、「大変満足」「やや満足」「どちらともいえない」「やや不満」「大変不満」の5段階で満足度を評価してもらうような方法です。
満足度を左右させる要素についての質問は、どんな要素が満足度に大きく影響しているのかを調査し、その理由を探るために行ないます。たとえば、商品を他の人に奨めたいかという質問をして、推奨度を0~10点の11段階で評価してもらいます。そのうえで、「上記の質問に答える際に次の項目はどの程度影響しましたか」として、商品の「価格」「デザイン」「機能」「アフターサービス」などの項目について「大変プラスに影響した」~「大変マイナスに影響した」の5段階や7段階で評価してもらう方法です。この調査によって顧客満足度を上げるためには、どの要素に力を入れるべきかという課題が明確になります。
満足度を計測するための指標
顧客満足度を計測するための代表的な指標としては次のものが挙げられます。まず、商品やサービスを利用した後に総合的な顧客満足度を判断する「総合的な満足度」があります。同じ商品やサービスであっても、利用するタイミングや条件によって満足度は違ってきます。そのため、何度か利用したうえでの満足度を総合的に調査することが重要です。次に、どれくらいの愛着や信頼があるか顧客ロイヤルティを数値化する指標が「NPS®¹(ネットプロモータースコア)」です。多くの場合、「商品やサービスを他の人に奨めたいかと」いう質問によって調査が行われます。NPS®は売り上げや収益性に直結しますので、重要な指標となります。
3つ目の指標として、「また購入したい」「また利用したい」という意向を数値化した「再購入/再利用意向」があります。既存顧客のリピート率が高まれば収益率は大きくアップします。4つ目の指標として「継続意向」などの指標があります。リピート性の高い商品やサービスであれば、顧客の継続意向が重要になります。顧客離れを防ぎ、継続率を高めることができれば、利益体質に変えることが可能です。
満足度に影響を与えうる項目
顧客満足度を高めるためには、具体的に何をすべきかという課題を明確にしなければなりません。そのためには、商品やサービスを利用するさまざまな場面で顧客体験を洗い出し、満足度の指標に対してどの項目が影響しているか可視化するのが効果的です。
ある老舗高級ホテルでは、満足度に影響している項目を可視化するためにカスタマージャーニーマップ(以下CJM)を作成しました。CJMでは、まず「ホテルを認知してから予約するまでの体験」「予約からホテルまでの体験」「ホテル滞在期間の体験」「アフターフォロー」と大きく4つの項目を設定しました。
さらに、認知から予約までの体験には「TVCMや雑誌、ネットなどの広告」「比較サイトでの評価」「友人からの口コミ」、予約からホテルまでの体験には「予約はスムーズにできたか」「交通機関の利便性」、ホテル滞在期間の体験には「チェックイン」「施設」「客室」「食事」、アフターフォローとしては「お礼DM」「キャンペーン紹介」とさらに細かな項目を設定したのです。
そのうえでアンケート調査を行い、各項目がNPS®にどの程度影響を与えているのかを青線、各項目に対する現在の顧客のNPS®の評価を赤線で示しました。その結果、赤線と青線のギャップが大きい項目がNPS®に強い影響力があるにも関わらず、現状の評価が低いことが視覚化され、優先度の高い課題が明確になったのです。
高級ホテルでのNPS®活用事例詳細はこちらからご覧ください。
顧客満足度向上事例:再春館製薬所
「初めての方にはお売りできません」のキャッチフレーズでも有名な再春館製薬所は、売り上げの9割以上がリピート購入という高いリピート率でも知られています。30歳の若さで新社長に就任した西川社長は、従来のダイレクトマーケティングの手法を継承しながらも「漠然と現場力が弱くなっているのではないか」と感じ、会員数の伸びをシミュレーションしてみました。その結果、このままでは会員数が頭打ちになることが判明し、課題を明確化するためのアプローチを開始しました。
まず、顧客調査と分析を行い、1年以上利用を続けた顧客のリピート率が非常に高いこと、顧客は商品そのものだけでなく再春館製薬所からもらうアドバイスなど「関係性」に価値を感じていることがわかったのです。そこで、顧客との関係性を高めるために、商品を使っていく過程で熱が冷めてしまいがちな購入後45~60日の顧客に対してアフターケアを目的とした電話アプローチを行いました。その結果、顧客満足度が向上して1年後の顧客残存率は5%アップし、売り上げも2億円増となったのです。
顧客満足度に影響している要因を把握することで、顧客満足度を高めるための課題が明確になります。今回紹介した指標を活用して自社商品やサービスの顧客満足度を高め、収益アップ、利益体質への転換をすすめていきましょう。
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