ブランド戦略とは?効果的なブランド構築方法をご紹介
更新日:2024.07.25
エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
ブランドの価値が高まれば、商品やサービスの品質が高く評価され、収益を増やすことができます。
そのためには、ブランディングを行うための「ブランド戦略」が欠かせません。
この記事では、ブランド戦略の基本と、4つのステップをわかりやすく説明します。成功事例も交えてご紹介しているので、参考にしていただければ幸いです。
ブランド戦略とは?
ブランド戦略とは「ブランド価値を高めるために企業や組織が行う目的と計画に基づく実行の過程」を指します。ここでいうブランド価値とは「顧客の購入、使用、エンゲージメントに関してポジティブな影響を与えるような顧客のブランド認識のこと」です。
ブランド価値が高まると「○○を買うならあのブランド」と自社商品を選択してもらえるようになります。顧客は競合商品に乗り換えることも少なくなり、リピート購入も期待できるでしょう。また、顧客がファン化すると多少の価格差は気にならなくなり、競合商品より高くても購入してもらえるようになります。他のカフェよりも比較的割高でも、ついついスターバックスコーヒーに入ってしまう人が多いのもそのためです。
ブランド戦略によってブランド価値を高めることで、価格競争に飲み込まれるリスクを大きく減らすことができるため収益アップにもつながります。
ブランド戦略立案のためのステップ
売り上げ増や収益増につながるブランディングを行うためには、どのように戦略を立ててブランドマネジメントを行えばよいのでしょうか。
ある研究によると、経営者が企業をどうしたいかという「ビジョン」、従業員が自社に対してどう思っているかという「カルチャー」、顧客・株主・一般社会がどのように評価しているかを示す「イメージ」の3つを一貫させることがブランド戦略では重要だとされています。この3つを一貫させたブランド戦略を立案するためには、「目的・目標と戦略の設定」「企業ブランドの構成要素の決定」「コミュニケーション戦略の実行」「ブランド評価の確認」を踏まえることが重要です。
それでは、これらの4つのステップについて具体的に説明します。
目的・目標と戦略の設定
ブランド戦略立案の最初のステップが「目的・目標と戦略の設定」です。
まず、何のために企業ブランドを構築するのか、ブランド価値を高めるか、その目的を明確にしなければなりません。また、その際には社内向けと社外向けを分けて考える必要があります。社内向けとしては、従業員の自社へのロイヤルティを高める、仕事への意欲を高める、企業文化を強化・変更するなどの目的・目標設定が考えられるでしょう。
社外向けとしては、自社の商品を購入してくれる顧客や消費者はもちろん、株主や取引先、金融機関、地域住民なども意識した目的・目標設定が必要になります。
また、学生や社会人に対するリクルーティングの強化、株価向上のIR活動、社会における知名度の向上なども踏まえて検討することが大切です。企業ブランド強化の目的が設定されたら、その目的を効率的かつ効果的に達成するための戦略が必要になります。
この戦略を策定するためには、自社のどの資源を活用できるか、どのような手法が必要で、どのメディアを用いるか、いつまでにやるかを考えることが重要です。
企業ブランドの構成要素の決定
2つめのステップが「企業ブランドの構成要素の決定」です。企業ブランドの構成要素としては、企業がどのような価値観に基づいて行動しているかを示す「価値」、どのような経験を顧客やステークホルダーに与えるかという「経験」、トップはどのような企業にしたいと考えているかを表す「ビジョン」、企業文化である「カルチャー」、どのような企業としてみられたいかの「イメージ」が代表的なものです。
また、次に何をしようと考えているかを示す「戦略的意図」、信頼できる企業であることを表す「信頼」、企業の力を示す「能力」、企業が果たす「社会的責任」、その企業の「アイデンティティ」、実際に起こしている「行動」なども構成要素に含まれます。
これらの要素について、現状を確認するとともに最終的にあるべき姿を定義することが必要です。ブランド戦略を立案する際には、要素ごとの根拠を探ることがポイントになります。
また、その際には過去にさかのぼって企業の歴史や実績を調査し、実際にどのようなことがあったのかを確認することも大切です。
コミュニケーション戦略の実行
3つめのステップが「コミュニケーション戦略の実行」です。コミュニケーション戦略の実行方法は、ブランドのどの価値を高めたいかによっても違ってきます。
たとえば、ブランド認知を広めたい場合は、広告やイベントを行いブランドと顧客のタッチポイントを増やす、試供品などを配布して実際に使用してもらうなどの施策が考えられるでしょう。
また、消費者がブランドから感じ取る「品質」を向上させたいのであれば、技術面での優位性を前面に押し出していくなどの方法が考えられます。
このようにコミュニケーション戦略を実行する際には、ブランド構築の目的と照らし合わせることが重要です。
ブランド評価の確認
4つめのステップが「ブランド評価の確認」です。ブランド戦略を立案し実行した後には、ブランド価値が想定ターゲットに狙い通り受け入れられているかを確認し、定期的に戦略を見直していく必要があります。ブランドがどのように評価されているかを調査する方法としてはいくつかありますが、オーソドックスなブランドの評価指標としてNPS®(ネット・プロモーター・スコア)があります。
NPS®は「このブランドを友人にすすめたいか」という質問で推奨度を0~10点で評価しスコア化する指標です。NPS®には収益性と相関が強いという特徴があるため、アップルやナイキなど強いブランド力を持つ多くの企業で用いられている指標でもあります。
NPS®を活用することで、自社の強みや弱点などの現状が把握できるので、改善すべき点や打つべき施策も見えてくるでしょう。
ブランド戦略成功事例:アキレス株式会社「瞬足」
ブランド戦略の代表的な成功例として、アキレス株式会社の「瞬足」があります。「瞬足」は「コーナーで差をつけろ」というキャッチコピーでも有名で、2011年時点で小学校低学年の約半数に普及しているスポーツシューズのブランドです。
2000年に差し掛かった当初、アキレスは戦略の転換を迫られていました。1980~2000年にかけて小学生の数は約40%も減少し、顧客基盤が揺らいでいたためです。
また、規制緩和が学校にも及び、小学生は指定の靴を履いて学校に行く必要がなくなったため、「カジュアル」で「かっこいい」スポーツシューズが子供用外履き市場に続々と参入してきたのです。この流れを受けて一時は年間150万足も販売していたアキレスの人気ブランド「ランドマスター」は100万足にまで落ち込みました。
新製品の開発を迫られたアキレスでは、競合する他のメーカーへの対抗として「小学生が速く走れる靴」を基本コンセプトに、「速い子はより速く、苦手な子には夢を」という開発スローガンのもと「瞬足」の開発に取り掛かったのです。
「瞬足」のブランディング戦略の特徴としては、小学校低学年男子向けの2アイテムのみに絞って新発売したことが挙げられます。通常、新商品を発売する際には、男子・女子、また幼児から高学年までフルラインをそろえて販売するのが一般的です。
しかし、アキレスでは学童用シューズの一番のボリュームである小学校低学年に受け入れられれば成長とともに高学年に広まる、より年下の幼児は小学校低学年に憧れを持つためラインを広めることができると考えて、新商品を絞り込みました。
その結果、2アイテムだけで初年度24万足と非常に効率の良い売れ方をし、その後も改良を重ね2005年には150万足、2011年には年間600万足も売れる人気ブランドとしての地位を確立したのです。
今回紹介したフレームワークを活用してブランド戦略を立案し、売り上げアップ、収益アップを目指しましょう。
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