顧客満足度(CS)とは?関連指標や計測方法、向上のポイントを徹底解説! | 株式会社エモーションテック

顧客満足度(CS)とは?関連指標や計測方法、向上のポイントを徹底解説!

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エモーションテック 編集部

NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。

顧客満足度(Customer Satisfaction ,CS)は、自社の競争力を高め、利益拡大へ直結する重要な指標です。
顧客満足度を向上させることには、以下のようなメリットがあります。

  • リピート率や口コミでの評価を上げ、継続率向上につながる
  • 新規顧客の獲得
  • ブランド力の強化

では、具体的にどのように顧客満足度を高めていけば良いのでしょうか。
顧客満足度を高めるには、自社に最適な満足度指標の選択と顧客満足に繋がるポイントをおさえて最適な打ち手へと繋げることが重要です。

本記事では、「顧客満足度」の基礎知識から、向上のポイント、調査の実践事例まで詳しく解説します。

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顧客満足度(CS)とは

顧客満足度(CS)とは、企業が提供する製品やサービスが顧客の期待にどの程度応えているかを可視化する指標です。顧客満足度は「〇〇についてどの程度満足していますか?」という質問に対し、5段階評価などで測定されることが一般的です。

近年では、特に指標を用いていない場合でも「顧客満足を追求する」という意味合いで「顧客満足度を高める」といった表現をされているケースもよく見られます。

またCSとは、顧客満足度や「CS」と表現されることも多いですが、こちらは顧客満足を意味する英語「Customer Satisfaction」の略称です。

顧客満足度が重要性を増す背景

「顧客満足」という概念は、80年代にアメリカを中心に広まり始めたものですが、近年、その重要性はますます増しており、多くの企業が顧客を起点とした満足度向上について何かしらの取り組みを行なっています。

顧客満足度向上による競争優位性の確保

その背景には市場の成熟化・飽和化が関係しています。市場に多くの商品やサービスが溢れる現代では、商品やサービスは同質化し、競合他社との差別化が難しくなっています。そのため、顧客満足度を高めることで他社との差別化を図り、競争優位性を確保することが重要になっています。

そしてデジタル化が急速に進む中、消費者の価値観やライフスタイルも変化してきており、かつその変化のスピードは今までになく速くなっています。

顧客ニーズの多様化と高度化

顧客ニーズが多様化し、そして情報の入手が容易になったことで、顧客の商品やサービスに対する期待値も高まっています。企業は常に変化し続ける顧客の期待を捉え、それに応えるだけでなく、上回る価値を提供することが求められるようになっているのです。

企業が長期的な成長と成功を実現するためには、顧客満足度の向上に積極的に取り組むことが不可欠となっているのです。

上記のような背景により、最近では顧客満足度にとどまらず、顧客ロイヤルティ(企業に対する信頼や愛着)の向上に取り組む企業も増えてきています。

顧客満足度向上に取り組むメリット

顧客のニーズを捉え、そして顧客の期待に応えて顧客満足度を高めることは企業にとってさまざまなメリットに繋がります。

LTV向上

顧客満足度を向上させると、その企業や商品、サービスをもう一度利用したいと思うようになります。リピーターが増えることで、顧客あたりのLTVが高まり、企業は安定して成長を実現することができます。

顧客との関係性を点ではなく線で捉え、中長期的に良好な関係を築くことは今後の企業成長にとって欠かせない要素であり、顧客満足度の向上はそのための第一歩であるとも言えます。

アンケートや口コミをはじめとする顧客のフィードバックを活かし、満足度を高めるアプローチを行うことは、顧客との信頼関係構築にもつながります。

新規顧客獲得の促進

SNSやUGC(User Generated Contents)が普及・浸透している現代においては、顧客がまた新しい顧客を連れてきてくれるというサイクルが生まれやすくなっています。

顧客満足度が向上すると、お気に入りの商品に対し「誰かにすすめたい」と感じるようになり、SNSや口コミサイトで良い評価やコメントを入力するなどの行動につながります。

企業が高い顧客満足度を維持することで良い評判が広まり、結果として販促のための広告費用をかけることなく、新規顧客獲得を促進することができます。

ブランド力が向上する

同様に良い口コミや評判が広まることによって、ブランドに対する認知度や企業価値が高まります。消費者は、信頼できる企業を選びたいと考えます。
企業価値を表す指標として「顧客満足度95%」など、顧客満足度のスコアを公表している企業も多くあります。ブランド力が向上することによって、消費者からの支持を集め、競合他社との差別化にもつながります。

顧客満足度の指標

顧客満足度の指標や表し方にはさまざまな形や指標があります。多くの企業が採用している一般的なものや代表的なものについて以下に紹介をしていきます。

NPS®️(Net Promoter Score)

NPSは顧客ロイヤルティを数値化する指標で、顧客満足度調査の際によく活用されます。
顧客ロイヤルティとは「企業やブランド、サービス等に対して顧客が感じる愛着や信頼」のことです。

上述したように近年では顧客満足度にとどまらず、顧客ロイヤルティ(企業に対する信頼や愛着)の向上に取り組む企業も増え、NPSを指標として採用する企業も増えてきています。

NPSを計測するには、顧客に対して「あなたは〇〇を親しい友人や家族にどの程度すすめたいと思いますか?」という質問をし、0〜10点で評価をしてもらいます。
そして、0〜6点を付けた人を「批判者」、7〜8点を付けた人を「中立者」、9〜10点を付けた人を「推奨者」と分類します。
「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値が、NPSとなります。

NPSの解説

関連記事:
NPS®とは?顧客満足度との違い・質問方法・事例まで詳しく解説!

CSAT(Customer Satisfaction Score)

CSATは、Customer Satisfaction Scoreの略で、「顧客満足度」を意味します。
「⚪︎⚪︎(サービスや商品)に対し、どの程度満足しましたか」という質問をし、回答者は5段階または7段階で評価をします。
特定のタッチポイントや内容についての評価を得ることが多いことが特徴です。あらゆる顧客体験を対象として調査を行うNPSに比べると、長期的・総合的な評価は得にくいというデメリットがあります。

CSATは、「とても満足」「満足」と評価した回答数を全体の回答数で割って計算します。

関連記事:
CSATとは?顧客満足度の計算方法やメリット・デメリットについて解説

CES(Customer Effort Score)

CESは、顧客努力指標とも呼ばれ、「顧客が目的を達成するためにどの程度努力やストレスを要したのか」を表した指標です。そのまま満足度を表しているわけではありませんが、顧客満足度やロイヤルティを測る際にも使用されます。
NPSやCSATとは少し異なり、リテンション率(顧客維持率)との関係が深いと言われており、サイトやアプリのUI/UX改善や、カスタマーサクセスのサポートの評価に使われることの多い指標です。

関連記事:
CES(カスタマーエフォートスコア)とは?計算方法や利用シーンについて解説

JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)

JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)という指標は、経済産業省の支援のもと、サービス産業生産性協議会が開発・調査を実施しているもので、「顧客満足」に関わる「顧客満足度・顧客期待・知覚価値・知覚品質・推奨意向・ロイヤルティ」の6つの指標に関して調査を行います。それぞれ6つの指標に対し、3〜4項目ほどの質問で得点を計算し、100点満点で指数化します。
調査の対象企業は大手企業を中心とした約400企業であり、競合他社との比較ができる指標として活用できる反面、調査対象となっていない企業では活用しづらいといったデメリットがあります。

これらの顧客満足度指標のそれぞれの特徴や、選び方については、以下の記事でも詳しく解説しております。

顧客満足度の測り方

顧客満足度を測定するには、実際に顧客や市場の評価を収集する必要があります。ここでは3つの主要な手法を紹介します。

第三者による満足度調査結果、自社顧客へのアンケート調査、インターネットパネルを活用したベンチマーク調査について、以下にそれぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

それぞれの特徴を理解し、自社に適した顧客満足度の測定方法を選択し、顧客の声を効果的に収集・分析し、顧客満足度向上に繋げていきましょう。

自社顧客へのアンケート調査

自社顧客へのアンケート調査は、自社の顧客に特化した調査を企画設計ができるため、具体的な改善点を明らかにすることができます。

自社の目的や、自社内にある仮説に基づいた内容にすることで、調査後の具体的なアクションまで繋げやすいことが特徴です。

また社内外のコミュニケーションという点でもメリットがあります。

顧客にどういったアンケートを実施するのかを社内で検討しディスカッションする過程で顧客を起点とした社内コミュニケーションが活発になり、顧客について考える文化が醸成されることにもつながります。

また顧客にとっては、企業が顧客向けにアンケートを実施することは、顧客の声にきちんと耳を傾けサービス改善に繋げる意思表明としても受け止められ、顧客を大事にしているという印象を与えることができます。

そしてアンケート実施後に、結果を公開すること、そして結果を受け止めて改善に取り組む事柄を発表して実際に取り組むことで、より深い顧客との関係性を作り上げていくことができます。

関連記事:
アンケートの作り方 | 顧客理解につながるコツを解説
アンケートでよく使う分析手法 | 基本から応用まで解説

インターネットパネルなどを利用したベンチマーク調査

自社顧客で十分なアンケート回収が見込めない場合や、競合他社ユーザーとの比較も合わせて行いたい場合には、インターネットのリサーチパネルを利用した競合ベンチマーク調査を行うことも有用です。

リサーチパネルを使うことで効率よく顧客の声を収集することができます。
また自社目線での調査を企画設計できることに加え、自社目線で競合とのポジショニング比較ができることも大きなメリットです。

一方でリサーチパネルを利用するには費用が発生するため、

調査会社など第三者による調査

業界や業種によっては、第三者機関による大規模な満足度調査が実施されていることがあります。自社だけでなく競合他社を含めた顧客満足度の情報や、ランキングなどを知ることができます。オリコンの顧客満足度調査などがその例です。

調査の企画・設計や分析の手間をかけることなく、自社の顧客満足度と業界内でのポジショニングを知ることができる点は大きなメリットです。

一方で第三者による調査では、自社で調査を企画設計していないため、結果をもとに何かしら顧客満足度向上に対するアクションに繋げるということはどうしても難しくなってしまいます。

設問の作り方や結果の分析観点が、自社のビジネスの特徴や顧客体験を必ずしも捉えておらず、自社の強みや課題、どういった点を改善すべきなのかという十分な示唆までは得られにくいためです。

関連記事:
顧客満足度の調査方法とは?アンケートの作成方法や効果的な実施のポイントをご紹介

顧客満足度向上のポイント

顧客満足度を高めるためには、具体的にどのように取り組んだら良いのでしょうか?
ここではいくつかのポイントをご紹介します。

顧客の期待値を超えるサービスや商品の提供

顧客満足度向上のポイントとして、期待値を超えるサービスや商品の提供があります。
顧客がサービスや商品を利用する前にもつ「事前期待」を、実際に利用(購入)した後の評価が上回ることで、顧客満足度は向上します。

顧客が不満を感じるポイントを改善するだけではなく、事前期待を超えた体験を提供することが、顧客満足度向上に繋がります。もし、事前期待値が高すぎる場合には、実際の評価が高くても、結果的に不満足をもたらしてしまうことがあります。このような場合には、事前にデメリットを伝えるなどの工夫で、期待値のコントロールを行うことがあります。

顧客満足度の継時的な観測を行う

定期的な調査を実施することで、目標達成度を確認できます。
また、顧客満足度改善のために行った施策があれば、どのように評価が変化しているのかを知ることができます。
また顧客満足度のスコアに限らず、顧客からのフィードバックを定常的にモニタリングすることで、問題が発生した際にすぐに対応することができます。

従業員満足度(ES)を高める

従業員満足度(ES)とは、従業員が会社に対しどのくらい満足しているのかを測る指標です。この従業員満足度は、顧客満足度と相関関係にあると言われています。
例えば、従業員の満足度が向上すると、顧客へのサービスの質が高まります。結果として顧客満足度の向上につながり、企業収益が向上するという好循環を生みます。

この理論を、サービス・プロフィット・チェーン(SPC)と呼びます。

関連記事:
サービスプロフィットチェーン(SPC)とは?顧客満足度、従業員満足度が企業収益に繋がる仕組みを解説

顧客満足度の向上事例

事例1:Amazon.com, Inc.

米国Amazonでは、経営理念を「顧客第一」として掲げ、徹底した顧客志向を貫いています。
元CEOジェフ・ベゾス氏が、「競合を見るな。顧客を見ろ。」と社員へ言い聞かせているエピソードは、Amazonの徹底した顧客志向を語る上では有名なエピソードです。

Amazonは、長年に渡り、顧客には「低価格・品揃え・利便性」の3つのニーズがあると主張を続け、改善と進化を繰り返してきました。現在では、この3つのニーズに応え続け、ECストアのみならず、電子書籍のKindleやAWSなどのクラウドサービスなど、幅広いビジネスを展開しています。

2023年の米国顧客満足度指数(ASCI)では、Amazonが品揃え・価値・オンラインでのショッピング体験で1位にランクインしています。
(参考:Show Search
NewsCompany news
Amazon ranks No.1 for value and selection in the latest American Customer Satisfaction Index (ACSI)

事例2:アップルストア

アップルストアはNPS調査で顧客満足度を改善させた代表例です。アップルストアはNPSの結果を即座に反映させて、「アップルストアを特別な場所にする」という目標を実現しました。
そのために、従業員全員へと教育を行ったのも成功の秘訣です。2007年には163店舗で58%だったNPSは、5年後には320店舗以上で70%超にまで高まっています。

アップルストアが心掛けたのは、「ストアを人々が学ぶ場所にする」「リピーターを増やす」などのポイントでした。
そうすることでブランド力が高まり、強豪との差別化につながるからです。本社のNPSチームは全店舗からのデータを解析し、高評価を付けた顧客の理由を深く探りました。そこで分かった理由とは、デザイン性などのビジュアル面ではなく、「接客態度」だったのです。

その後も、アップルストアではNPS調査を繰り返し行っています。スタッフもNPSによる自分の評価を自覚し、改善に努めています。

事例3:株式会社東京ドーム

東京ドームをはじめとするエンタテインメント施設を開発・運営している株式会社東京ドームでも、シティ全体のブランド価値向上をメインミッションに掲げ、顧客満足度向上の取り組みが実施されています。

顧客満足度指標として、NPSが導入され、現在はホテルやスパ、商業施設をはじめとする主要20施設の利用者や様々なイベントの参加者、ポイントが貯まるプログラムの会員を対象として調査を行っています。

ある調査では、「プライバシーに配慮している」という顧客体験に対し、男性の満足度(推奨度)が低下していることが判明しました。
改善策として、プライバシーやセキュリティが担保できるように、半個室型のコワーキングスペースの増設や、既存スペースの改良を行った結果、推奨度が改善しました。
このように、調査を軸とした分析と改善を繰り返すことで、顧客満足度を向上させています。

事例詳細:
東京ドームシティのブランド価値向上に向けてCX調査を始動。 あらゆる角度から顧客ニーズを捉え、 もっと”感動”していただける「街」づくりを目指す。

▼他の事例はこちらもご参照ください。
顧客満足度(CS)向上が売り上げにつながる成功事例とは?

顧客満足度を高めるには、最適な指標選びと継続的な調査が重要

企業の成長に欠かすことのできない「顧客満足度」についてご紹介してきました。
CSAT、NPS、CESなど、様々な指標がありますが、調査結果を活かすには「自社にとって最適な指標」を選択することが重要です。

また、顧客満足度調査は一度きりではなく、定期的に行うことをおすすめします。時系列で、顧客の評価がどのように変化しているのかを観測し、改善のPDCAを回すことが顧客満足度向上に繋がります。

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