アンケートでよく使う分析手法 | 基本から応用まで解説 | 株式会社エモーションテック

アンケートでよく使う分析手法 | 基本から応用まで解説

更新日:2024.07.25

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エモーションテック 編集部

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アンケートは手軽に実施できる一方で、集計や分析がうまくできずに十分に活用できていないといった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

アンケート結果を課題発見や改善施策、そして顧客満足度や顧客ロイヤルティ向上に繋げるためには、正しくかつ効果的な集計・分析を行うことが重要です。

この記事では基本的なものから応用的なものまでアンケートを有効活用するための集計分析方法について解説していきます。

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アンケート分析の基本

アンケート分析は、収集したアンケート回答から目的に沿った示唆・ヒントを得るためにとても重要なプロセスです。

正しく適切にアンケート分析を行うことで、顧客の声から実際の要望・ニーズをデータから抽出することができ、その結果データに基づいた商品・サービス改善を行うことができるようになります。

そしてこのようにアンケートを事業活動に繋げるためには、アンケートの企画設計からデータ集計・分析まで一貫したプロセスを踏んでいくことが重要です。

アンケート企画設計から集計分析までのプロセス・手順

アンケートの設計
目的に応じた質問項目を設計し、回答形式を決定します。質問は明確で簡潔にし、回答者が理解しやすいように工夫します

データ収集
アンケートを実施し、回答データを収集します。オンラインアンケートや紙ベースのアンケートなど、適切な方法を選択します。

データのクリーニング
回収したデータを整理し、不完全な回答や誤ったデータを除去します。これにより、分析の精度を高めます。

単純集計
各質問項目の回答数を集計し、全体的な傾向を把握します。単純集計は、データの概要を理解するための基本的な手法です。

クロス集計・その他分析
複数の質問項目を組み合わせて集計し、属性ごとの傾向や関連性を分析します。これにより、より詳細な洞察を得ることができます。

結果の解釈
分析結果を解釈し、具体的な改善点や戦略を導き出します。結果をわかりやすくまとめ、関係者に共有します

アンケート分析において重要なこと

アンケートの調査企画・設計

良いアンケート分析を行うために一番重要なポイントは、実は実際のデータ分析を行う前にあります。目的に沿った調査企画・設計ができていないと、結局良い分析材料が集まらず、いくら分析を行なっても意図したような示唆を得ることが難しくなります。

データの世界では「Garbage in,garbage out 」(=ゴミを入力すれば、ゴミが出力される)といった言葉がありますが、アンケートにおいても同様です。どのようなことを知りたいのかといった目的をきちんと整理した上で、アンケートの企画設計を行いましょう

関連記事:アンケートの作り方 | 顧客理解につながるコツを解説

データのクリーニング

データクリーニングの目的は「データを分析できる状態にする」ことです。データクリーニングをしないと、例えば数値の集計や分析を行う際に誤った結果になってしまったり、あるいはデータが揃っていないことでそもそもの分析自体ができなかったりということが起こってしまいます。

主には以下のような観点で、分析の対象外とするデータを見極めておきましょう

  • 不完全なデータの修正や削除
  • 重複データの削除
  • 欠損データの処理

アンケートでは途中で回答をやめてしまったりすることで、一部の回答データがきちんと入っていなかったりということも考えられます。

アンケート回答データが出揃ったタイミングでまずは不完全なデータがないかをきちんとチェックして、分析対象とするデータを整えましょう

アンケート分析:基本集計編

単純集計

単純集計とは、各質問項目の回答を単純に集計し回答数や割合を算出する方法です。アンケート分析の最も基本的な手法の1つといえます。

回答数、回答割合、5段階評価などの評価や数値で取得しているものであれば平均値などを算出します。

このような単純集計を行うことで、アンケート結果の全体的な傾向をすばやく把握することができます。これらはここからより深い分析へと進むための基礎になっていきます。

単純集計

クロス集計

クロス集計は、2つ以上の質問項目の回答内容を掛け合わせて集計することです。回答者属性ごとの評価や反応の違いを明らかにすることができます。

例えば性別や年代などの「属性」と満足度などの「評価指標」を掛け合わせることで、属性ごとの満足度の違いを見ることができます。

エクセルやGoogleスプレッドシートであればピボットテーブルという機能を使うことで簡単にクロス集計を行うことができます。

また質問項目や選択肢が多いほど色々なクロス集計ができてしまいますが、目的や仮説を持たずにやみくもにクロス集計を行なってしまうと大量にあるデータの海に溺れてしまい、有用な示唆を見出せなくなってしまいます。

調査前に立てた目的や仮説、また単純集計で全体像を見た上で立てた仮説をもとに、検証すべきことを明確にした上でクロス集計を行うようにしましょう。

フリーテキスト集計

アンケートの中で自由記述回答を形式で取得した回答データがある場合は、こちらも全体像が把握できるようにしておくと理解が深まります。

もっと簡単にできることとしては、自由記述回答の一覧を作っておくことです。

回答一覧を総合満足度や推奨度の高い順に並べ、横に性別や年齢などの必要な属性情報を合わせて記載してお一覧を作成しておくと評価の高い人がどういった点が満足に繋がっているのか、また評価の低い人はどういった不満があるのかなど、より全体の傾向を把握しやすくなります。

回答数が多い場合などはフリーテキストを全部読み込むのは大変ですが、このように整理しておくだけでも読みやすく、理解を深める助けとなります。

アンケート分析:基本編

次に基本的な分析手法について見ていきましょう。まずは数値データの傾向をより細かく見ていきます。以下のように度数分布分析や平均値・中央値分析を行うことで、数値の傾向や偏りの把握、また異常値の検知をしましょう。

度数分布分析

度数分布分析とは、データを特定の範囲に分類し、それぞれの範囲に該当するデータの数を集計する方法です。この手法は特に数値データにおいて、全体像を把握し傾向やパターンを理解するためにとても有効です。

あまり聞き慣れないかもしれませんが、例えば「年齢(数値データ)を年代ごとに集計して表やグラフデータに表す」「テストの点数を10点ごとに分類して集計し、グラフデータに表す」というとイメージつきやすいのではないでしょうか。

このように結果を表形式で表したものを度数分布表、さらにそれを棒グラフ上に表したものをヒストグラムと呼びます。

平均値・中央値分析

平均値、中央値分析は、その名の通りで数値データの平均値と中央値を算出し把握することです。上記の度数分布と合わせてデータの傾向の理解を深めることができます。

アンケート分析:応用編①キードライバーの特定

ここからは少し応用した分析について見ていきたいと思います。統計分析の解説本やビジネス本でもさまざまな分析手法が紹介されていますが、用途に応じて見ていきたいと思います。

まずこの章ではキードライバーを特定するためによく使われる相関分析、単回帰分析、重回帰分析、決定木分析、の4つの分析手法について理解を深めていきましょう。これらは特に顧客満足度調査やNPS調査、ブランド調査において評価につながる要因を特定するために使われることが多い分析手法です。

関連記事:NPS®とは?顧客満足度との違い・質問方法・事例まで詳しく解説!

相関分析

相関分析は、2つの項目(変数)の間の関係性の強さと方向を測定する手法です。相関分析ではあくまで相関を見るものであり、因果関係を見るものではないので注意が必要です。

「(傾向が)似たもの同士か」を見るといった認識を持っておくと良いでしょう。

単回帰分析

単回帰分析は、1つの説明変数を用いて目的変数を予測する手法です。2つの変数の関係を1つの数式で表すことができます。

単回帰分析では目的変数に対する説明変数の影響を見ているので、因果関係を推測することに使えます。ただし、他の要因の影響を考慮せずに見ているので、あくまで推測になるといった点で注意が必要です。

使用ケースとしては、広告費が売上に与える影響を分析する例や、推奨度や満足度が顧客単

価や年間購入金額などにどう影響しているかを見る例が挙げられます。

重回帰分析

重回帰分析は、複数の説明変数を用いて目的変数を予測する手法です。複数の要因が結果に与える影響を総合的に分析することができ、各要因の相対的な重要度を評価することができます。

使用ケースとしては、一連の顧客体験の中で何が推奨度や満足度に影響を与えるのか知りたい場合や、 年齢、収入、広告接触頻度など複数の要素が商品購入意向に与える影響を分析したい場合、などが挙げられます。

重回帰分析では複雑な関係性を扱うことができる一方で、ここでは詳しく取り扱いませんが、多重共線性に対する注意が必要となるなど、扱い方にも少し注意が必要になってきます。

決定木分析

決定木分析とは、データを階層的に分類し、目的変数に影響を与える要因をツリー構造(樹形)図で表現する分析手法です。

ツリー構造でデータを分類ごとに分岐させ示されるため、視覚的に理解しやすい点が特徴です。重回帰分析同様、1つの目的変数に対して複数の説明変数を扱うことができますが、重回帰分析は線形関係があることを前提としており、説明変数が数値データであることが求められますが、一方でこの決定木分析は属性データも扱うことができ、非線形な関係も捉えることができます。

4つの分析手法の使い分け

ここまでキードライバーを特定するための分析手法を4つ見てきました。似たような分析手法で混同しがちですが、大まかには下記のような目的によって使い分けると良いということを理解しておくと良いでしょう。

  • 単純な関連性の把握 → 相関分析
  • 1つの要因の影響度 → 単回帰分析
  • 各要因(数値データ)の総合的な影響度 → 重回帰分析
  • データの分類、分岐条件の視覚的理解 → 決定木分析

アンケート分析:応用編②分類や要約

ここからは複数の変数を分類したり、少ない変数に要約していく分析手法について見ていきましょう。

コレスポンデンス分析

コレスポンデンス分析とは、質的データの関係性を視覚的に表すための分析手法です。クロス集計表のデータを二次元の散布図に変換し、項目間の関係性を直感的に理解できるようにします。

ブランドポジショニングの把握を行う際によく使用されることで知られています。「ブランド名」と近しい「ブランドイメージ」が散布図上に近接して表現されるために、各ブランドの類似点や違いを視覚的に捉えることが可能になります。

因子分析

因子分析は、変数の背後にある潜在的な要因を見つけ出すための分析手法です。変数間の相関関係から共通する因子を抽出して集約を行います。つまり、多岐にわたる項目を少ない変数で要約・説明したいといった場合に使用することで、理解を深めることができます。

マーケティングや顧客理解の場面では、「購入意向」や「顧客満足度」に対してどのようなユーザー意識や重視ポイントがあるか、ユーザーの行動の背後にある潜在意識を抽出しを要約するようなケースが多く見られます。

主成分分析

主成分分析も多くの変数を少数に集約する分析手法ですが因子分析とは少し異なります。因子分析では共通因子を抽出したのに対し、主成分分析では要因を総合化して新しい要素(主成分)を作成するというアプローチになります。

主成分分析は要因を総合化するという特徴があるため、多くの場合「総合評価」といった形で新しい要素が抽出されることになります。

マーケティングや顧客理解の場面では、「商品評価」や「顧客満足度」を構成する各評価項目を用いて「総合評価」を作成し、各商品や各店舗のランキングを作成する、といった利用ケースが多く見られます。

クラスター分析

クラスター分析は、データを類似性に基づいてグループ(クラスター)に分類する手法です。異なる性質を持つデータの中から、似たもの同士を集めてグループ化することができます。

マーケティングや顧客理解の場面では、顧客の意識や行動データからクラスター分析によって顧客セグメントを抽出することで、それぞれの顧客セグメントの理解を深め、顧客層に合わせた改善施策やキャンペーンの立案などを行うといった利用ケースがよく見られます。

アンケート分析:応用編③テキスト分析

基本的な集計の章ではフリーテキストの一覧作成について触れましたが、テキストデータも統計的な分析を行うことで、全体像の把握をさらに促進することができます。

関連記事:テキストマイニングとは?生成AIによる進化についても解説

頻出語分析

頻出語分析は、テキストデータの中でで最もよく使われている単語やフレーズを特定するプロセスです。頻出語分析を通じて、テキストの主要なテーマや話題を把握することができます。

共起ネットワーク

共起ネットワークは、テキスト内であわせて使われている単語の関係性を視覚化する手法です。テキストデータ内の隠れた関係性や構造を明らかにすることができます。

単語が文書内や特定の文脈内でどのように関連しているかを分析し、その結果をネットワーク図で表します

ワードクラウド

ワードクラウドは、テキストデータ内の単語の出現頻度を視覚的に表現するツールです。テキスト内でよく使われる単語ほど大きく目立つように表示し、一目で大量のテキストの中で何が最も主なテーマやキーワードであるかを把握することができます。

生成AI活用によるテキスト分析

近年は生成AIの進化により、テキスト分析も高度化しています。生成AIを使うことでテキストを単語単位での分析ではなく「文脈」「感情」を読み取り、より人間の感覚に近しい形で分析することが可能になってきています。

生成AIを活用したテキスト分析はこちら

アンケートの目的に合った分析方法を選択する

アンケート分析では、目的にあった分析方法をきちんと選択することが重要です。

ここまで基本から応用までさまざまな分析方法を紹介してきましたが、やみくもに分析を行っても適切な示唆を得ることはできません。

アンケートを企画設計する段階で、目的・仮説をしっかりと整理し、それに基づいてどういった分析手法を用いてどういったアウトプットを得たいのか、そして何を知りたいのか可能な限りイメージするようにしましょう。

必要な分析を事前にイメージして、きちんとその分析ができるようにアンケートを設計して、分析材料となる適切なデータを得られるようにしておくことが肝心です。

顧客満足度アンケートやNPSアンケートでよく使う分析手法

顧客満足度向上やNPS向上を目的としてアンケートを実施されている方も多いかと思います。そういった場合には以下のような分析手法がよく用いられます。

  • 基本集計・・・各質問項目の回答数や割合を集計
  • クロス集計・・・属性ごとの満足度やNPSを算出・比較
  • 重回帰分析・・・満足度やNPSに影響を与える因子の特定、各因子の影響度把握
  • 決定木分析・・・満足度やNPSに大きな違いが出る属性の特定
  • クラスター分析・・・似た特性を持つ顧客グループの特定、グループごとの満足度やNPSの比較
  • テキスト分析・・・満足度やNPS、顧客セグメントごとのコメント傾向の把握

分析手法を組み合わせて、さまざまな角度から顧客理解ができるように努めましょう。

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