【事例付き】従業員満足度への取り組みと改善方法
更新日:2024.07.26
エモーションテック 編集部
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目次
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日本に従業員満足度の高い企業が少ない理由
日本に従業員満足度の高い企業が少ない理由はさまざまあります。なかでも大きな理由として挙げられるのが、「業務に対する熱意」、「やる気の低い従業員の多さ」などです。
2017年5月に世論調査、人材コンサルティングなどを手掛ける米ギャロップ社が全世界の企業を対象に行った「従業員のエンゲージメント調査」(注1)の結果を見てみましょう。
これによれば、日本企業は「熱意あふれる従業員」がわずか6%しからおらず「やる気のない従業員」も70%という結果に。さらに「周囲に不満をまき散らしている無気力な従業員」の割合も24%で、約4人に1人という非常に多い結果となっているのです。
なぜ、こうした結果になったのでしょうか。考えられるのは次のような点です。
従業員の自主性が生かされていない
命令系統がトップダウンという企業の場合、従業員の自主性は生かされません。トップダウンは無駄が少なく効率的ですが、従業員から見れば自分の意見がなかなか反映されず、モチベーションの維持が難しくなるのです。
また、トップダウンは指示に従っていればいいといった考え方を生む可能性が高まり、やる気を削いでしまう要因にもなりえます。
評価基準が明確ではない
主に人材サービスを行っているアデコが2018年2月に行った「『人事評価制度』に関する意識調査」(注2)によると、「自社の人事評価制度に不満を持っている」と回答したのは62.3%でした。
理由として最も多いのは、「評価基準が不明確」62.8%。次いで「評価者の価値観や業務経験によって評価にばらつきが出て、不公平だと感じる」45.2%、「評価結果のフィードバック、説明が不十分、もしくはそれらの仕組みがない」28.1%と続きました。
この結果から、多くの従業員が「自分の働きが正当に評価されていない」と感じていることが分かります。
適切な人員配置がされていない
人員配置には、適性に応じて合う人材を振り分けるだけでなく、OJTによる人材育成、スペシャリストだけを集めてプロジェクトを成功に導く、長期的な目線から改革を進める、などさまざまなタイプがあります。
しかし、目的に応じた適切な人員配置がされていなければ、従業員一人ひとり、チームなどあらゆる単位にて、業務やメンタルでさまざまな問題を抱えてしまうでしょう。結果、従業員満足度の向上も難しくなってしまいます。
従業員満足度を向上させるための対策とは?
従業員満足度を下げてしまう課題を解決するにはどういった対策が必要なのでしょうか。ふたつの対策を紹介します。
従業員が自主性を持って働ける環境を整備する
企業の指示系統がトップダウンの場合、無駄が少なく効率的というメリットが生まれます。しかし、従業員の自主性を育てたり活用したりとなると難しくなるのです。
自主性を持てないと、誰のために何のために仕事をしているのかが明確にならないため、企業にはトップダウンではない人事制度の導入が求められるでしょう。その方法として挙げられるのは、MBOやOKRです。
MBOとは、従業員自らが目標の設定や進捗や実行の管理を行うもの。上司は定期的に部下とコミュニケーションを取りながらサポートし、目標を実現させていくのです。MBOは、Management by Objectivesの略で、目標管理を意味します。
OKRとは、短期間で達成できる定性的な目標を掲げ、それを実現させるための具体的な成果指標を数値で設定するもの。企業、部署、個人それぞれで策定するため、自身の目標が企業の目標につながり、すべての従業員が同じゴールを共有できるでしょう。OKRは、目標(Objectives)と成果指標(Key Results)を組み合わせた造語です。
MBOやOKRを実行すれば、上司と部下との間でのコミュニケーションが今以上に増加します。結果、部下の特性も把握できるため、適切な人員配置にもつながるでしょう。
企業全体の風土、文化を改善する
従業員の自主性を育て、活用するという意味では、企業全体の風土、文化の改善も欠かせません。これを可能にする方法として挙げられるのが、上下関係をなくし、上司、部下が対等な立場で意思決定を行う経営手法であるホラクラシー経営です。
これにより、意思決定の権限や責任が従業員やチーム、部署に与えられるため、自主性を持って働けるようになります。
評価基準を明確にする
業種、業務内容によっては、適切な評価基準の設定は難しいでしょう。しかし、そうした際にMBOやOKRを活用し、上司と部下が密なコミュニケーションを取れば、評価に対して不明瞭な点が減ると考えられます。
これにより、何をどれだけやれば評価が上がるかが分かるため、従業員のモチベーションがアップし、従業員満足度も向上するのです。
そのほか、企業のビジョンを共有、職場環境の整備、福利厚生の充実なども対策として有効と言えます。
従業員満足度向上を実現した企業事例
続いて、Great Place to Work Institute Japan(GPTWジャパン)が毎年発表している日本企業の働きがいのある会社ランキングから、取り組み事例を二つ紹介します。
世界中の募集ポジションを全従業員に公開
企業向けのERPソフトウェアの開発・販売を行っているA社が大切にしていることは、「全従業員が仕事にやりがいを感じ、成長していけること」でした。
そこで従業員には、自らが成長するためのさまざまな機会を提供し、積極的な挑戦を促しているのです。なかでも特筆すべきは、世界中の募集ポジションを全従業員に公開している点でしょう。自社の従業員であれば、誰でも自由に応募することができ、その内容も充実しており、海外での体験やプロジェクトへの公募、自己啓発に対するサポートなど、幅広いです。
人財育成部を発足することでコミュニケーション活性化を実現
飲食店の経営、店舗プロディースやコンサルティングなどを行っているB社は、人を育て、共通のゴールを共有して喜び合える職場環境の構築を目的として人財育成部を発足しました。
人財育成部では、店長層に向けた勉強会、バーベキュー、社員総会、アルバイト向けの研修会などさまざまなイベントを企画・開催し、上司、部下といった関係性にこだわらず、さまざまな形のコミュニケーションの場を提供しています。
これらによって、会社理念の浸透や従業員の成長を促進し、一人ひとりが夢を持って働ける会社の創造を行っているのです。
従業員満足度向上は従業員の自主性を向上させることがポイント
従業員満足度を向上させるには、待遇の改善が欠かせません。しかし、単純に待遇を改善しただけでは、従業員がそれに慣れたころ、また従業員満足度が下がってしまいます。長期的に高い従業員満足度を維持するには、従業員が積極的に業務に向かえる自主性の向上が必要でしょう。
指示系統がトップダウンという企業の場合、従業員の自主性が生かされる機会は多くなく、これは従業員の意欲を削いでしまう要因にもなります。今回、紹介したようなホラクラシー経営やMBO、OKRなどを導入して、従業員の自主性をより高められるようにしてみてはいかがでしょうか。
出典:
(注1)「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査|日本経済新聞
(注2)「人事評価制度」に関する意識調査|THE ADECCO GROUP
参考:
2020年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング 155社|Great Place to Work Institute Japan
Best Workplaces in Asia 2019|Great Place to Work
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