因子分析とは?顧客アンケートの「なぜ」を解明する統計手法をわかりやすく解説 | 株式会社エモーションテック

因子分析とは?顧客アンケートの「なぜ」を解明する統計手法をわかりやすく解説

更新日:2025.12.02

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エモーションテック 編集部

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CX(カスタマーエクスペリエンス)推進部門やマーケティング担当のみなさまは、日々NPS®(ネット・プロモーター・スコア)をはじめとする顧客アンケートの実施や、VoC(顧客の声)の収集・分析を行うなど、CXマネジメント(CXM)に取り組まれていることと存じます。

顧客の声を収集する仕組みは整ったものの、膨大なデータを「現場が動く次の一手」に繋げられず、分析の壁に直面している担当者様は少なくありません。特に、多くの質問項目間の複雑な関係性を読み解くのは至難の業です。

この記事では、そうした複雑なデータに隠された「共通の要因」を見つけ出し、顧客の評価構造をシンプルに解き明かす統計手法である「因子分析(いんしぶんせき)」について、CXの専門家の視点からわかりやすく解説します。

この記事のポイント

  • 「因子分析」の基礎(背後にある共通要因を見つける仕組み)が理解できる。
  • なぜCX推進において因子分析が重要なのか、施策の優先順位付けにおけるメリットを学べる。
  • 分析の具体的な手順や、分析成功のカギとなる因子の「解釈・命名」のポイントを掴める。
  • 分析結果を基に、顧客の「潜在的な重視点」を発見し、次の一手に繋げるためのヒントを得られる。

ぜひ最後までご覧いただき、顧客の声の活用レベルを一段階引き上げるヒントとしてお役立てください。

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因子分析とは?

多変量解析の「構造を解明する」手法

因子分析(Factor Analysis)とは、マーケティングリサーチや心理学などで広く用いられる「多変量解析」という統計手法の一つです。一言でいえば、「観測された多数の変数(例:アンケートの各質問項目)の背後に潜む、直接観測できない『共通の要因(因子)』を見つけ出す」ための手法です。

カフェの顧客満足度アンケートを例に考えてみましょう。

  • Q1. コーヒーの味
  • Q2. メニューの豊富さ
  • Q3. 価格の妥当性
  • Q4. スタッフの接客態度
  • Q5. スタッフの言葉遣い
  • Q6. 注文の正確さ
  • Q7. 店内の清潔さ
  • Q8. 座席の快適さ

顧客がこのアンケートを通じてカフェを評価する際、これら8項目を完全にバラバラに評価しているでしょうか?

おそらく違いますよね。例えば、「Q4. 接客態度」「Q5. 言葉遣い」「Q6. 注文の正確さ」は、根底にある「スタッフの応対品質」という、より大きな一つの「共通要因(因子)」によって、評価が連動している(相関している)でしょう。同様に、「Q1. 味」「Q2. メニュー」は「商品の魅力」因子、「Q7. 清潔さ」「Q8. 快適さ」は「店舗環境」因子としてまとめられるかもしれません。

因子分析は、このように、データ(各質問項目の回答)間の相関関係を計算し、それらの質問項目群に共通して影響を与えている「潜在的な要因(因子)」を統計的に抽出し、8つあった質問項目を「応対品質」「商品の魅力」「店舗環境」「価格」といった、より少ない数(この例では4つ)の本質的な評価軸(因子)に集約・要約してくれます。

これにより、「このカフェの顧客評価は、主に『応対品質』『商品の魅力』『店舗環境』『価格』の4つの軸で決まっている」という、顧客の「評価構造」そのものを明らかにすることができるのです。

健康診断で例えると?

別の例で考えてみましょう。
健康診断では、身長、体重、腹囲、血圧(上・下)、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール…など、多くの項目(変数)を測定します。

これらの数値は、それぞれ独立しているわけではなく、背後にある「健康状態」という直接測れないもの(因子)を反映しています。例えば、体重、腹囲、中性脂肪、血圧が高いといった傾向は、「メタボリック・シンドローム」という共通の因子(リスク要因)によって引き起こされている可能性があります。また、別の項目群は「肝機能」という因子に関連しているかもしれません。

因子分析は、これらの測定結果(変数)から、「あなたの健康状態は、主に『メタボリックリスク』『肝機能』『心血管リスク』といった因子(軸)で説明できますよ」と、複雑な健康状態をシンプルな構造で示してくれるイメージです。

(補足)主成分分析との違い

因子分析とよく似た手法に「主成分分析」があります。どちらも多くの変数を少数の指標に「要約する」手法ですが、目的が異なります。

  • 主成分分析:変数の「要約」が目的。できるだけ元の情報量(分散)を失わないように、新しい合成変数(主成分)を作ります。背後に「共通因子」があることは仮定しません
  • 因子分析:変数の背後にある「要因の構造」の解明が目的。観測された変数は、共通因子と独自因子(その変数にしか影響しない要因)によって説明されると仮定します

CX担当者がアンケートデータを分析する目的は、「顧客が何を評価軸(因子)としてロイヤルティを判断しているのか」という評価構造を解明(因子分析)することにある場合が多いため、本記事では因子分析に焦点を当てて解説を進めます。

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なぜCX推進において因子分析は重要なのか?

因子分析は、「顧客の声」を「次の一手」に変えるための、3つの重要な役割を担います。

1. 複雑な顧客評価の「構造」を可視化できる

最大のメリットは、アンケート項目や顧客の声を、本質的ないくつかの「評価軸(因子)」に集約し、シンプルに構造化できる点です。

例えば、NPS調査で「推奨度(0~10点)」を聞いた後、「そう評価した理由」として詳細な満足度項目(価格、品質、デザイン、サポート、Webサイトの使いやすさ、接客…など)を30項目聞いたとします。30項目すべての結果を並べて「Webサイトの使いやすさが低い」「デザインの評価が高い」と個別に見ていくだけでは、顧客が「何を重視して」推奨度を決めているのか、本質は見えてきません。

ここで因子分析を用いれば、その30項目が、例えば「製品の基本品質」「購入プロセスの快適さ」「アフターサポートの信頼性」といった、より大きな3~5個の因子に集約されるかもしれません。このように顧客の頭の中にある「評価のモノサシ」そのものを可視化できることが、因子分析の最大の価値です。

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2. 施策の「優先順位付け」に強力な根拠を与えられる

CX推進の現場でよくある壁が、「どこから手をつけるべきか?」という優先順位付けの問題です。リソース(ヒト・モノ・カネ・時間)は有限であり、すべての課題に同時に取り組むことはできません。

因子分析によって「製品品質」「プロセス」「サポート」といった因子(評価軸)が特定できたら、次に「これらの因子のうち、どれが最もNPS(総合評価)に強く影響しているのか?」を分析(重回帰分析など)することができます。

その結果、もし「アフターサポートの信頼性」因子が、他の因子よりも圧倒的にNPSへの影響度(寄与度)が高いと判明したらどうでしょうか。

「個別のVoCで『サポートの対応が悪い』という声が10件ありました」という報告よりも、「分析の結果、NPSを左右する最大の要因は『アフターサポートの信頼性』であることが判明しました。ここの改善がロイヤルティ向上に最も効果的です。」と報告する方が、経営層や現場部門を動かし、サポート部門の改善プロジェクトに予算や人員を投下する「強力な根拠」となります。

因子分析は、感覚的な「あれもこれも重要」という状態から脱却し、データドリブンな「選択と集中」を実現するための羅針盤となります。

3. 顧客の「潜在的なニーズ」や「重視点」を発見できる

自由記述などの個別のVoCは具体的で貴重なフィードバックですが、声の大きい人の意見や、直近のトラブル対応など、目先の「顕在的な課題」に目が行きがちです。

一方で、因子分析は「なんとなくそう思っている」顧客の潜在的な評価構造をあぶり出します。例えば、BtoBのSaaSプロダクトのアンケートで、「機能の多さ」「価格の安さ」といった直接的な項目よりも、「営業担当者の理解度」「導入サポートの手厚さ」「障害時の迅速な情報開示」といった項目群がまとまり、「事業パートナーとしての信頼性」という因子が抽出されたとします。

これは、顧客が製品の機能や価格(顕在的な評価)だけでなく、「いかに自分たちのビジネスに寄り添い、信頼できるパートナーであるか」(潜在的な評価軸)を無意識に重視していることを示唆しています。

このような潜在的な重視点(因子)を発見し、そこを強化することは、競合他社が気づいていない、本質的な差別化に繋がる可能性があります。

因子分析の具体的な分析・活用ステップ

実際の計算(相関行列、固有値、因子負荷量など)は統計ソフトが行いますが、押さえておくべき「分析の考え方と手順」を、ステップバイステップで解説します。

Step 1: 目的の明確化とデータ準備

分析は「目的」から始まります。「何を知るために因子分析を行うのか」を明確にしましょう。

  • 例:NPSに影響を与える顧客の評価軸を特定したい。
  • 例:30項目ある満足度項目を、主要な体験セグメント(例:購入時、利用時、サポート時)に整理したい。

次に「データ準備」です。

  • 分析対象変数の選定:因子分析にかける質問項目(変数)を選びます。このとき、互いにある程度関連性がある(相関がある)と想定される項目群を選ぶ必要があります。全く無関係な項目(例:「コーヒーの味」と「Webサイトのフォントサイズ」)を混ぜても、意味のある因子は抽出されません。
  • データの種類:基本的には「量的変数」(例:5段階評価、10段階評価)が対象です。
  • サンプルサイズ(回答者数):変数間の「相関関係」を安定的に推定するため、ある程度の回答数が必要です。目安として、変数の数(質問項目数)の5倍~10倍以上のサンプル数が望ましいとされます。(例:20項目なら最低100~200サンプル)

Step 2: 相関関係の確認

選んだ変数同士が、本当に因子分析に適しているか(=互いに相関があるか)を確認します。相関が低すぎる変数群からは、共通因子は見つけられません(専門的にはKMOのカイザー・マイヤー・オルキン基準やバートレットの球状性検定などで判断します)。このステップは通常、統計ソフトが内部的に行います。

Step 3: 因子抽出方法と「因子数」の決定

まず「因子をいくつ抽出するか?」を決めます。これが因子分析において最も重要で、悩ましいポイントの一つです。

統計ソフトは、判断材料として以下のような数値(基準)を提示してくれます。

  • 固有値(Kaiser基準):各因子が「どれだけ多くの情報(分散)を説明できているか」を示す数値。基準として「固有値1以上」の因子を採用することが多いです。
  • スクリープロット:固有値を大きい順に並べて折れ線グラフにしたもの。グラフが“がくん“と折れ曲がる(肘のように見える)手前までの因子数を採用するという方法です。
  • 解釈可能性(最も重要):統計的な数値だけが絶対ではありません。抽出された因子が、CX担当者や現場の視点で「意味のある解釈」ができるかどうかが最終的な決め手です。ソフトが「5因子」と提案しても、4因子や6因子で試してみて、最もビジネスアクションに繋がりやすく、ストーリーとして説明しやすい因子数を採用することが肝要です。

Step 4: 因子軸の回転(解釈の容易化)

因子が抽出された直後(初期解)は、各変数が複数の因子にまたがって影響しているように見え、解釈しにくいことが多いです。

そこで、「因子軸の回転」という処理を行います。これは、抽出した因子の「軸」を回転させ、各変数(質問項目)が「どの因子と強く関連しているか」をハッキリさせる作業です。星座を見る角度を変えて、オリオン座の形が分かりやすい角度を探すイメージに近いです。

これにより、各変数は「因子1に強く関連するグループ」「因子2に強く関連するグループ」…と、より明確に分類され、解釈が格段にしやすくなります。

(専門的な回転方法として、因子同士の相関を認めない「バリマックス回転(直交回転)」や、相関を認める「プロマックス回転(斜交回転)」などがあります。顧客の心理(例:「価格」と「品質」は独立ではなく関連する)を扱う場合は、斜交回転が適しているケースもあります)

Step 5: 因子負荷量による解釈と「命名」

回転後、いよいよ「解釈」です。ここで「因子負荷量(いんしふかりょう)」という数値を見ます。これは、各変数(質問項目)と各因子(共通要因)との「関連性の強さ」を示す数値(-1から1)です。

以下の(架空の)表で説明します。

質問項目(変数) 因子1 因子2
Q1: 接客の丁寧さ 0.85 0.12
Q2: 説明の分かりやすさ 0.78 0.20
Q3: 問い合わせ対応 0.81 0.15
Q4: 店舗の清潔さ 0.10 0.88
Q5: 品揃えの豊富さ 0.22 0.75
Q6: レジの待ち時間 0.15 0.80

この表から、

  • 「因子1」は、Q1, Q2, Q3(接客・説明・対応)と強い関連(負荷量が0.7以上)があります。
  • 「因子2」は、Q4, Q5, Q6(清潔さ・品揃え・レジ)と強い関連があります。

この結果を見て、分析者(あなた)が、これらの因子に「名前」を付けます。

  • 因子1 → 「スタッフの応対品質」因子
  • 因子2 → 「店舗の利便性・快適さ」因子

この「命名」こそが、因子分析の醍醐味であり、分析者の知見やビジネス理解が最も問われるプロセスです。統計ソフトは数字しか出しません。その数字の裏にある顧客心理を読み解き、関係者が「なるほど」と納得する名前(概念)を創造することが、分析者の腕の見せ所です。

Step 6: (発展)因子得点を用いた「次の分析」へ

因子分析は、因子を抽出して「命名」したら終わりではありません。抽出された因子(例:「応対品質」因子)ごとに、回答者一人ひとりのスコア(因子得点)を算出することができます。

この因子得点を使えば、分析をさらに深掘りできます。

  • 重回帰分析による施策の優先順位付け:「応対品質」因子と「店舗快適さ」因子では、どちらがNPS(推奨度)に強く影響しているか? 
  • クラスター分析によるターゲットセグメントの明確化:因子得点を用いて顧客を分類すると、どういうセグメントに分かれるか?(例:「応対品質」は重視するが「快適さ」は気にしない層、「両方重視する層」など)

因子分析のCX活用事例と成功のポイント

理解を深めるために、具体的な活用事例(架空のシミュレーション)と、分析を成功させるための重要な心構えをご紹介します。

活用事例:某ECサイトB社のNPS改善プロジェクト

  • 課題:いくつもの施策を行うもNPSが低迷。顧客アンケートでは「送料が高い」「サイトが使いにくい」「サポートの返信が遅い」など、多岐にわたる不満が寄せられ、改善の優先順位が付けられずにいた。
  • 実施内容:NPSと、購入体験に関する25項目の満足度アンケートを実施。この25項目に対して因子分析を行った。
  • 分析結果(因子抽出):25項目が、以下の4つの「因子」に集約された。
    「価格・コスト」因子 商品価格、送料、ポイント還元率
    「Webサイト体験」因子 サイトの検索性、商品の見つけやすさ、決済のスムーズさ
    「配送・物流」因子 配送の速さ、梱包の丁寧さ、受け取りの柔軟性
    「信頼・サポート」因子 商品情報の正確さ、問い合わせ対応、トラブル時の対応力
  • 次のアクション(次の分析)
    • これら4因子とNPSの関係性を重回帰分析で調べたところ、「価格」や「配送」よりも、「Webサイト体験」因子と「信頼・サポート」因子がNPSに与える影響が極めて高いことが判明。
    • 特に、「NPSが低い顧客層(批判者)」は、「信頼・サポート」因子のスコアが著しく低いことが分かった。
  • 施策への展開
    • 分析結果に基づき、B社は「送料無料キャンペーン」のような短期的なコスト施策への投資を抑え、リソースを「WebサイトのUI/UX改善プロジェクト」と「サポートセンターの応対品質向上・権限移譲」に集中することを決定。
    • 「サイトが使いにくい」「サポートが頼りない」という潜在的な不満(因子)がロイヤルティ低下の真因であると、データで全社的に合意形成できた。
    • 結果、半年後にNPSは改善傾向に転じ、特に批判者の割合が減少した。

因子分析を成功させるための5つのポイント

最後に、因子分析をビジネス成果に繋げるために心に留めておくべきポイントを5つ挙げます。

  1. 「当たり前」の結果を恐れない、むしろ喜ぶ
    分析の結果、「品質」「価格」「サポート」といった、いかにも「当たり前」の因子が抽出されることも多いです。しかし、それは失敗ではありません。重要なのは、その「当たり前」の評価構造が、あなたの会社の顧客においてもデータで裏付けられたことです。そして、その「当たり前」の因子のうち、どれがNPSに最も影響しているかを定量的に明らかにすることこそが重要です。
  2. 「解釈(命名)」こそが分析者の価値である
    前述の通り、因子分析のキモは「解釈」と「命名」にあります。統計ソフトは答えをくれません。なぜこれらの質問項目がひとまとまりになったのか、顧客の視点に立って深く考察し、関係者が「なるほど、そういうことか」と膝を打つような、本質を突いた「名前」を与えること。ここに分析者の価値が凝縮されます。
  3. 「良い分析」は「良いアンケート設計」から
    因子分析は、既存のアンケート項目(変数)が土台です。もしアンケート項目が不適切(例:「サポート」に関する質問が1つしかない)であれば、当然「サポート」因子は抽出されません。分析(出口)で困らないよう、アンケート設計(入口)の段階で、「顧客はどのような評価軸を持っているか」という仮説(因子)を立て、それに関連する質問項目を網羅的に設計しておくことが極めて重要です。(Garbage In, Garbage Out:ゴミからはゴミしか生まれません)
  4. 因子分析で「終わらせない」
    因子が見つかって満足してはいけません。それはCX改善の「スタートライン」に立ったに過ぎません。Step 6で述べたように、「どの因子がロイヤルティに影響するか?(重回帰分析)」「顧客セグメントごとに重視する因子は違うか?(クラスター分析)」といった「次の分析」に繋げ、具体的な「アクション」に落とし込むまでがCX担当者の重要な役割です。
  5. 「時系列」で定点観測する
    顧客の評価軸(因子)は、市場環境の変化、競合の動向、あるいは自社の施策によって変化します。一度分析して終わりではなく、半年に一度、一年に一度と定点観測することで、「以前は『価格』因子が最重要だったが、最近は『サポート』因子の重要度が上がってきた」といった変化を捉えることができます。この変化こそが、次の一手を考える上で最も重要なヒントとなります。

因子分析に関するよくある質問(FAQ)

Q: 「因子分析」と「主成分分析」の違いは何ですか? 

A:目的が異なります。主成分分析はデータを「要約(情報を圧縮)」して総合力を見るための手法で、因子分析はデータの背後にある「原因(構成要素)」を探るための手法です。CXにおいて「なぜ満足度が低いのか?」という理由を構造的に知りたい場合は、因子分析が適しています。

Q:「因子分析」と「クラスター分析」はどう違うのですか? 

A:「何をグルーピングするか」が異なります。因子分析は「質問項目(変数)」をグルーピングして評価軸を見つけるものですが、クラスター分析は「人(回答者)」をグルーピングして似た者同士の集団を作るものです。

Q:抽出された因子への「命名」が思いつきません。どうすれば良いですか?

A:その因子に含まれる質問項目(因子負荷量が高い項目)の共通点を探しましょう。例えば「接客」「説明」「笑顔」といった項目が集まっていれば「人的対応」などと名付けます。正解は一つではないので、社内用語や現場がイメージしやすい言葉を選ぶのがコツです。

Q:因子の命名は分析者の主観が入っても良いのでしょうか? 

A:はい、因子分析において「解釈・命名」は分析者の重要な役割であり、主観が入ることは避けられません。統計的な数値はあくまでヒントです。大切なのは、その解釈がビジネスの現場で納得感があり、施策に繋げられるかどうかです。

まとめ:因子分析で「顧客の評価軸」を捉え、次の一手へ

本記事では、「因子分析」という統計手法を、CX推進の文脈でいかに活用できるかについて、その考え方から実践ステップ、成功のポイントまで詳しく解説しました。

最後に、本記事の要点をまとめます。

  • 因子分析とは、多くのアンケート項目(変数)の背後にある「共通の要因(因子)」を見つけ出す統計手法です。
  • CXにおける重要性は、複雑な顧客の評価構造を「〇〇因子」といった形でシンプルに可視化し、ロイヤルティに影響する真因(ドライバー)を特定することで、施策の「優先順位付け」に強力なデータ的根拠を与えられる点にあります。
  • 分析ステップは、「目的設定・データ準備」から始まり、「因子数の決定」「因子軸の回転」を経て、最も重要な「因子負荷量に基づく解釈と命名」に至ります。
  • 成功のポイントは、分析(手段)を目的化せず、常に「次の一手」のアクションに繋げることを意識し、特に「解釈(命名)」のプロセスに分析者の知見を注ぎ込むことです。

「顧客の声が多すぎて、何から手をつければいいか分からない」――。もし今、あなたがそのような壁に直面しているなら、因子分析は、その混沌としたデータの中から、進むべき道(=改善すべき本質的な因子)を照らし出す、強力な羅針盤となってくれるはずです。

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