クロス集計とは?マーケティング・顧客分析での活用方法を徹底解説 | 株式会社エモーションテック

クロス集計とは?マーケティング・顧客分析での活用方法を徹底解説

このコラムの執筆者
梅川 啓

株式会社エモーションテック Marketing Manager 

複数企業の事業責任者を歴任したのち、2020年よりエモーションテックにCXコンサルタントとして参画。製薬会社や金融機関、化粧品メーカーのNPSプロジェクトやCXマネジメントの支援に携わる。2022年よりマーケティングに従事し、各種セミナーやイベントに登壇。

顧客アンケート調査を実施し、「顧客満足度80%」という結果を得たとします。一見すると良好な数値ですが、本当にそうでしょうか?実は、、高収益顧客ほどロイヤルティが低く、競合へのスイッチリスクが高まっているかもしれません。

このような「全体の数値では見えない重要な傾向」を発見するのが、クロス集計です。マーケティングやCX(カスタマーエクスペリエンス)分析において、クロス集計は単なる集計手法ではなく、収益を左右する戦略的な意思決定を支える不可欠なツールです。

本記事では、クロス集計の基本から実践的な活用方法、NPS®やLTVとの組み合わせによる高度な顧客分析まで、データドリブンなマーケティングに必要な知識を徹底解説します。

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クロス集計とは?

「アンケート結果を集計したけれど、全体の傾向しかわからない」「もっと深く顧客を理解したいのに、どこから手をつければいいかわからない」そんな時にまず行うのが、クロス集計です。

クロス集計とは、複数の質問項目や回答者の属性を掛け合わせて分析する手法です。単純集計が「全体で何%が満足している」という表面的な数値を示すのに対し、クロス集計は「どのような層が、どのように回答しているのか」というところまで深掘りをするものです。

たとえば、顧客満足度調査で「全体の満足度は80%」という結果が出たとします。一見良好に見えますが、年齢層別にクロス集計すると、「20代の満足度は50%、60代は95%」という隠れた傾向が見えてくるかもしれません。

この「誰が、どう感じているか」を明らかにすることで、ターゲット層の特性や市場のセグメントを詳細に把握し、より具体的な施策検討につなげられます。

クロス集計の3つの種類

クロス集計には、分析の目的に応じて大きく3つの種類があります。

1. 属性クロス集計

性別、年齢、職業、居住地などの回答者の基本情報(属性)と設問の回答を掛け合わせる手法です。

最も一般的なクロス集計で、「どの属性の顧客が、どのような傾向を持つか」を明らかにするものです。

活用例:

  • 「20代女性は商品Aの満足度が高いが、40代男性は低い」
  • 「東京在住者はオンライン購入を好むが、地方在住者は店舗購入を好む」

属性ごとの傾向やニーズの違いを読み取ることで、セグメント別のマーケティング戦略を立てられます。

2. 設問間クロス集計

回答者の属性ではなく、異なる設問同士の回答を掛け合わせる手法です。アンケートの中には「顧客心理」や「行動」に関する設問を設けることが多いですが、そういった設問を掛け合わせて分析することで有用な示唆を得られることが多いです。

特定の行動や考え方の関連性を深掘りして分析する際に用いられます。

活用例:

  • 「商品満足度が高い人は、リピート意向も高い」
  • 「サポート対応に不満がある人は、NPS®スコアが低い」

設問間の因果関係や相関を発見することで、「何が顧客ロイヤルティを左右するのか」といった重要な洞察が得られます。

3. 多重クロス集計

3つ以上の項目を掛け合わせて分析する方法で、より詳細な洞察を得られます。

活用例:

  • 「20代女性×東京在住×高頻度利用者」の満足度
  • 「高LTV顧客×低NPS×特定商品利用者」の離脱リスク

ただし、項目を増やしすぎるとサンプルサイズが減少し、統計的な精度が低下するため、注意が必要です。


クロス集計の4つのメリット

クロス集計を活用することで、単純集計では見えない価値ある洞察が得られます。

1. 隠れた傾向とパターンを発見できる

全体の数値では見えない、特定セグメントの特徴的な傾向を発見できます。

たとえば、全体のNPS®スコアが+20で「まずまず」に見えても、クロス集計すると「新規顧客のNPSは−10、既存顧客は+50」という大きな差が明らかになることがあります。この発見により、「新規顧客のオンボーディング体験に課題がある」という仮説が立ち、改善施策につながります。

2. ターゲット層を深く理解できる

属性別の回答傾向を把握することで、各ターゲット市場の特性やニーズを正確に理解し、マーケティング戦略を最適化できます。

「若年層向けキャンペーン」と一口に言っても、20代前半と後半では価値観が異なります。クロス集計により、より細かいセグメントごとの最適なアプローチが見えてきます。

3. データドリブンな戦略策定が可能になる

顧客理解を深めることで、効果的なマーケティング戦略の構築や商品開発、営業・CS・価格戦略などに貢献します。

感覚や経験則ではなく、データに基づいた意思決定ができるため、施策の成功確率が高まります。

4. 関係者への説明がしやすい

統計に詳しくない人にも調査結果が分かりやすく、多角的な分析を通じて理解が得やすくなります。

「全体の満足度は80%です」よりも、「20代の満足度は50%ですが、60代は95%です。若年層向けの改善が急務です」の方が、具体的で説得力があります。


クロス集計の注意点

クロス集計はエクセルのピボットテーブルなどで簡単に実施ができ、かつうまく使うととても強力な分析手法になりますが、一方で誤った使い方をすると逆効果になることもあります。

1. サンプルサイズの減少リスク

複数の項目を掛け合わせすぎると、各セグメントのサンプル数が減少し、統計的な精度が低くなります。

たとえば、全体で1,000件のサンプルがあっても、「20代×女性×東京在住×高頻度利用者」まで絞り込むと、サンプル数が10件以下になることもあります。この場合、その結果を一般化するのはとても危険です。

有用な示唆が得られないと焦るほど色々な軸で多重にクロス集計を行いたくなってしまいますが、なるべく必要最小限にとどめ、サンプル数が十分なセグメントに絞って分析を行うようにしましょう。

2. 細分化しすぎによる全体像の喪失

細かくクロス集計をしすぎることは、前述の通りサンプルが少なくなりがちな点もありますが、そもそも全体像を見失ったり、集計表が複雑になりすぎて関係者の理解を得にくくなったりするという点にも注意が必要です。

単純集計で全体像を把握し、その上で重要なセグメントに絞ってクロス集計を行う。この手順を常に心がけ、複雑になり過ぎていると感じた時には単純集計・全体像に立ち戻ってデータを俯瞰するようにしましょう。

3. 適切な分析軸の設計が不可欠

目的と合致しない項目を組み合わせて分析しても、意思決定に資する結果は得られません。特に事前に仮説がないままに、どんどんいろんなクロス集計を行なってしまうと、データの海に溺れていってしまいます。

「商品改善」が目的で行なったアンケートのはずなのに、気づけば「居住地×購入時間帯」のクロス集計を見ながら何か示唆が得られないかを考えていた、なんてことも起きたりします。こうなってしまうと有益な洞察は得られません。

やみくもにクロス集計を進めるのではなくて、分析の目的と自らが持っている仮説を明確にした上で、その目的に合った軸を選定するようにしましょう。

関連記事:
アンケートでよく使う分析手法 | 基本から応用まで解説


マーケティング・CX分析におけるクロス集計の活用例

クロス集計は、マーケティングやカスタマーエクスペリエンス(CX)分析において、極めて強力なツールです。

1. NPS®×属性分析:どの顧客層がロイヤルティが高いか

NPSを年齢、性別、利用頻度などの属性とクロス集計することで、「どのセグメントがロイヤルティが高いか」を明らかにすることができます。

活用例:

  • 「30代女性の推奨者率が最も高い」→ このセグメントをアンバサダープログラムに招待
  • 「新規顧客の批判者率が高い」→ オンボーディング体験の改善が急務

2. NPS×LTV分析:「危険な優良顧客」を特定する

NPSとLTV(顧客生涯価値)をクロス集計すると、6つの顧客セグメントが見えてきます。
NPSでは顧客は推奨度によって「推奨者」「中立者」「批判者」の3分類されるので、これを横軸に取ります。そしてLTV、あるいはその他の収益指標でも結構ですが、これを縦軸に取り6象限にセグメンテーションすることで、対処すべき顧客層が見えてきます。

ロイヤルティ×収益性

特に注目すべきは左上の「高収益性 × 低NPS(批判者)」の顧客です。現在は高い収益を生んでいるものの、ロイヤルティが低いため、競合へのスイッチリスクが高い「危険な優良顧客」です。この層の不満要因を特定し、優先的に改善することで、収益の流出を防げます。

関連記事:
NPS®調査の分析方法とは?CX向上につながる集計と分析のポイント

3. 満足度×購買行動:満足度が購買頻度に与える影響

顧客満足度と購買頻度をクロス集計することで、「満足度が高い顧客は、実際にリピート購入しているのか」を検証できます。

もし「満足度は高いが、購買頻度は低い」というセグメントが見つかれば、満足度以外の障壁(価格、利便性など)が存在する可能性があります。

4. 顧客接点×NPS®:どの体験がロイヤルティに影響するか

「商品品質」「配送スピード」「サポート対応」など、複数の顧客接点の満足度とNPS®をクロス集計することで、どの体験がロイヤルティに最も影響するかが明らかになります。

たとえば、「サポート対応の満足度が高い顧客は、NPS®も高い」という相関が見つかれば、サポート品質の向上に投資すべきだとわかります。


クロス集計の実施方法

クロス集計は、専門的な統計知識がなくても、身近なツールでコストをかけることなく実施ができます。

1. Excelピボットテーブルの活用

最も手軽な方法は、Excelのピボットテーブル機能を使うことです。

手順:

  1. アンケートデータをExcelに取り込む
  2. 「挿入」→「ピボットテーブル」を選択
  3. 行に「属性」(例:年齢層)、列に「設問」(例:満足度)を配置
  4. 値に「件数」または「割合」を設定

これだけで、属性別の回答分布が一目でわかる集計表が完成します。

2. 専用分析ツールの利用

より高度な分析を行う場合は、Google Data Studio、Tableau、SPSSなどの専用ツールが有効です。

これらのツールは、大量のデータを扱う場合や、複雑な多重クロス集計を行う場合に威力を発揮します。

3. EmotionTechのCXプラットフォームでの自動クロス集計

EmotionTechのCXマネジメントプラットフォームでは、NPS®調査のデータを自動的にクロス集計し、重要なセグメントや傾向を可視化します。

特徴:

  • 自動セグメント分析: 属性、購買履歴、行動データを自動的にクロス集計
  • 収益指標との連携: LTV、購買頻度、単価とNPS®の関係性を即座に分析
  • 重要接点の特定: どの顧客体験がロイヤルティに影響するかを自動で可視化
  • リアルタイム分析: 継続的なクロス集計で変化を即座にキャッチ

手動での集計作業が不要になり、データドリブンな意思決定を迅速に行えます。


クロス集計で顧客理解を深め、収益を最大化する

クロス集計は、単なる集計手法ではありません。顧客の本質を理解し、収益を最大化するための戦略ツールです。

全体の数値だけを見ていては、重要なセグメントの課題や機会を見逃してしまいます。クロス集計により、「誰が、なぜ、どのように感じているのか」を深く理解することで、的確な施策を打てるようになります。

特に、NPS®とLTVのクロス集計は、CX改善の優先順位を明確にする上で不可欠です。「危険な優良顧客」を早期に発見し、離脱を防ぐことで、持続的な事業成長を実現できます。

EmotionTechのCXマネジメントプラットフォームは、このクロス集計を自動化し、リアルタイムで顧客の声を収益指標と結びつけます。データに基づいた顧客理解と施策実行で、ロイヤルティと収益の両方を高めませんか?


よくある質問(FAQ)

Q:クロス集計と単純集計の違いは何ですか?
A:単純集計は各設問の全体的な回答傾向を把握するのに対し、クロス集計は「どのような層が、どのように回答しているのか」という背景構造まで深掘りします。単純集計で全体像を把握した上で、クロス集計で詳細な洞察を得るのが効果的です。

Q:クロス集計で何がわかるのですか?
A:属性別の傾向、設問間の相関関係、特定セグメントの特徴的な行動パターンなどが明らかになります。たとえば、「全体の満足度は高いが、特定の年齢層だけ満足度が低い」といった隠れた課題を発見できます。

Q:クロス集計の注意点は何ですか?
A:①複数項目を掛け合わせすぎるとサンプルサイズが減少し統計的精度が低下する、②細分化しすぎると全体像を見失う、③目的に合わない軸を選ぶと有益な洞察が得られない——の3点が主な注意点です。

Q:NPS®分析でクロス集計はどう使いますか?
A:NPS®スコアを属性(年齢、性別など)や収益指標(LTV、購買頻度)とクロス集計することで、「どのセグメントがロイヤルティが高いか」「高LTV×低NPSの危険な優良顧客は誰か」といった戦略的な洞察が得られます。
Q:クロス集計に必要なサンプル数はどのくらいですか?
A:一般的に、各セグメントで最低30件以上のサンプルがあることが望ましいとされています。多重クロス集計を行う場合は、全体のサンプル数をより多く確保する必要があります。サンプル数が不足する場合は、分析軸を減らすか、データ収集期間を延ばすことを検討してください。

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