エモーションテック 編集部
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利益の拡大を追求するあまり、“従業員の満足度”にまで考えが回らないという企業も多いのではないでしょうか。1973年以来、実に40年もの間黒字経営を継続させている航空会社、サウスウエスト航空は、「お客様第二主義、従業員第一主義」という珍しい企業ポリシーを掲げています。
この考え方が、何故これまでの黒字継続という結果、そして高い顧客満足度の獲得に至ったのでしょうか。今回は、そんなサウスウエスト航空の成功の理由を分析していきたいと思います。
“ユニークな経営手法”を極めた強さ
サウスウエスト航空は、「世界で最も安全な航空会社」の10社のうちの1つに選定されています。その裏には、以下のようにユニークな経営手法が存在しています。
・「ファーストクラスがない」
・「座敷指定がない」
・「機内食がない」
・「航空券がない」
・「VIPラウンジがない」
・「制服がない」
・「清掃員がいない」
・「事故がない 」
様々なサービスを徹底的に排除し、できる限りコストを抑えるこの経営手法は、一見、顧客への提供価値まで削減されているように感じられます。
しかし、サウスウエスト航空は上記のようなサービスではなく、従業員の親しみやすくホスピタリティにあふれた対応によって、十分なほどに顧客に満足感を提供しているのです。これこそが、航空会社において「世界最強のLCC(ローコストキャリア)」と評される理由です。
信頼関係の構築が「従業員エンゲージメント」を強化する
従業員第一主義を掲げるサウスウエスト航空は、「従業員エンゲージメント(会社への愛着心)」の強化によって、顧客ロイヤルティ向上、顧客離反率の低下、そして売上と利益の拡大が達成されると考えています。それは、従業員が企業に愛着を持ち、価値観に共感することこそが、会社の成長に必要な一番の起爆剤となることを知っているためです。
どんな場面においても、サウスウエスト航空はこの企業ポリシーを遵守してきました。アメリカ同時多発テロ事件が起こり、景気の低迷によって、他社が大量の人員削減をやむを得ず行っていた時のことです。サウスウエスト航空は、そんな経営難の中でも、従業員の解雇をすることがありませんでした。それだけではなく、ビジネス面においても赤字を出さなかった数少ない企業なのです。
また、従業員の中には、企業の誠意に応えようと、自ら 減俸を申し出た人もいたと言います。結局、サウスウエスト航空は、従業員満足を一番に考えるため、減給や解雇は一切行いませんでしたが、会社の危機を一緒に乗り越えようとするこういった行動は、会社への絶大な信頼と愛着があってこそだと言えるでしょう。
こういった両想いの関係構築が、顧客サービスの向上や売り上げを伸ばす秘訣なのです。
自主的なコミュニケーションへの参加が、社員の仕事に対する向上心を高める
サウスウエスト航空では、社員に毎日仕事へのやりがいを感じてもらうために、「社員の意見は企業にとって価値のあるもの」という方針を貫いています。社員が自らの意見を心の内に秘めてしまわないよう、以下のように様々なコミュニケーションツールを設立しました。
・リスニング・センター
リアルタイムで社員と顧客がコミュニケーションを取れる専用の場。
・ニュースレター
社員にとって興味深く、仕事にもためになる様々な情報を詰め込んでいます。
・企業ブログ「Nuts about Southwest」
専属ライターだけでなく、社員からの投稿も活発に行われています。
このように、社員がオープンに自分の意見を発表できる場所を用意しています。
企業が積極的に「社員の意見を重視する」という姿勢をとることによって、従業員の意見発表を促し、その結果、従業員の間で会社をより良くしようという議論が生まれます。この議論こそ、従業員に会社への愛着・ロイヤルティを持たせ、モチベーション高く働いてもらうための飛作なのです。
「従業員第一主義」が結果的に顧客満足度を向上させる
「従業員第一主義」と聞くと、「お客様は二の次」という解釈をされるかもしれませんが、決して顧客満足の向上をおろそかにしているわけではありません。従業員を大切にすることが、結果として顧客満足の向上に繋がっているのです。
サウスウエスト航空の基本理念に、「ざっくばらんに」「ありのままの自分で」「仕事を楽しもう」といったキーワードがあります。これは、顧客に満足してもらうための行動を従業員に全て任せるという企業側の意図の表れです。
従業員は顧客に楽しんでもらうために、“ラップを用いた面白いアナウンスをする”などのユーモア溢れるサービスを自ら発案し、行動に移してくれます。
「自分を大切にしてくれる会社だから、この会社のために働きたい」という思いが、サウスウエスト航空の顧客を楽しませる環境作りに繋がっています。
このように従業員を自由にする社風が、結果的に従業員も顧客も満足させ、40年間もの長い間、人々に親しまれ続ける理由となっているのです。
最後に
サウスウエスト航空のCEOであるハーバート・ケレハー氏は、「従業員を侮辱するようなお客様は自社の飛行機には乗せない」と公言するほどに、「従業員第一主義」を徹底しています。
顧客を満足させるためには、まず共に働く場を共有する仲間を満足させるところから始めていく。そうすることによって、会社、従業員の双方にとってのハッピーなフライトが実現するのです。
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