エモーションテック 編集部
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顧客満足度の高さよりも良質な顧客体験の提供が重要な理由
顧客満足度とは、顧客満足度とは、顧客が企業に対して持つ満足度を数値化したもので、計算方法はいくつかあります。例えば、商品・サービス購入前の期待値と実際の満足度の差で算出するといったものです。現在でも利用している企業は多いのではないでしょうか。
しかし顧客満足度には、いくつかの問題点があります。最も大きいのは、顧客満足度では、「今後も購入を継続してくれる顧客になるかどうかの判断が難しい」点。これが冒頭で触れた「顧客満足度の高さが企業の利益に直結しない」理由です。
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頭の満足(合理的な満足)を充たしても利益は上がりにくい
もう少し、顧客満足度について見ていきましょう。
アメリカに本社を置き、主に世論調査やコンサルティングを行うギャラップ社の主任研究員であるジョン・H・フレミング氏。彼は顧客満足度調査で「とても満足した」と回答する顧客は、「合理的に満足した顧客(頭の満足)」と「感情的に満足した顧客(心の満足)」の2種類に分類できると提唱しました。
■頭の満足
価格が安い、性能が高い、機能が豊富など、以前使っていた商品やサービスに対する定量的な基準をもとにした満足感を表します。
■心の満足
ほかの同程度の商品に比べ機能は少ないが使い心地が良い、価格は高いがアフターサポートが丁寧で接客態度がすばらしいなど、定性的な基準をもとにした満足感です。
2つを比べて顧客満足度を高めようと思った際、最も手軽に行える施策は、「価格を引き下げること」でしょう。しかし、価格の低下によって満足感を得られる顧客は、ほかにもっと安い商品が出ればすぐに乗り換えてしまうため、体力のある大企業しか生き残れなくなってしまうのです。
そこで、心の満足度向上に注力すると、自社を信頼し、愛着を持った顧客が増加し、継続的な成長につながります。その際重要となるのが、良質な顧客体験の提供によって、顧客の心の満足度が向上したことを数値化する指標NPS。この指標を理解し、しっかりと経営に生かすことが、これからの企業に求められているのです。
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NPS®と収益性について
NPSの導入が成果につながりやすい業界とは?
NPSは、企業やブランドに対し顧客がどれだけの信頼や愛着を感じているかを数値化するもので、職種に限らず活用できます。しかし業界によって、NPSで得た結果の活用方法は異なるのです。ここでは3つの業界から、例とそれぞれの活用イメージを見ていきます。
顧客会員基盤のある業界例と活用イメージ
通販サイトやフィットネスジム、クレジットカード、習い事やファンクラブ、サブスクリプションサービスなど、会員契約をした顧客を相手にする企業が該当します。この業界で成功するカギは、顧客に対して、常に満足してもらえる商品・サービスの提供を続け、会員契約を継続してもらう点です。
■NPS活用イメージ
会員基盤をもとにした企業がNPSを活用するポイントは、解約率の低下と会員数の増加。例えばフィットネスジムの場合、プログラム、施設、受付スタッフの対応などに関する質問を行います。
そして結果を参考に、プログラムの変更、施設の改善、スタッフ教育を行っていくと、解約率の低下や会員数増加の効果が期待できるようになるのです。
高単価な商材を扱う業界例と活用イメージ
自動車、不動産、保険、通信サービスなど単価の高い商材を扱う企業が該当します。
この業界で成功するカギは、「顧客の好み、嗜好、属性を把握したうえで、それぞれに合った情報を提供し、接触回数を増やす」「それによりブランド価値を向上させる」点です。
■NPS活用イメージ
単価の高い商材を扱う企業がNPSを活用するポイントは、営業力の強化と成約率の向上。例えば、ある自動車メーカー3社のNPS調査結果を見ると、顧客体験の改善効果で最も大きいのはアフターサービスでした。
そしてアフターサービスが良くない自動車メーカーでは他者への推奨度も低い結果となったのです。さらに、メンテナンスや乗り換え時の接客態度が成約率向上に大きく影響していることもわかりました。
“人”が価値を提供するサービス系の業界例と活用イメージ
小売、飲食、旅行代理店、鉄道、銀行など、顧客と頻繁に接触する、スタッフ(人)が企業(店舗)の価値を提供する企業が該当します。この業界で成功するカギは、顧客と良質な関係性を構築、接客態度、店舗の立地、多店舗化により認知度を向上させるなどです。
■NPS活用イメージ
“人”が価値を提供する企業がNPSを活用するポイントは、スタッフパフォーマンスの改善、強化です。例えば、ある銀行3行のNPS調査結果を見ると、顧客体験に最も影響を与えるポイントは「親切さ・丁寧さ」、次いで、「利便性・使いやすさ」でした。
このことから、接客態度の良さが他者への推奨度に大きく貢献するとわかります。
業界別NPS活用事例
それでは、実際に前項であげた3つの業界から1つずつ、NPSの活用事例をご紹介しましょう。
顧客会員基盤のある大手通信キャリアのNPS活用事例:株式会社NTTドコモ
NTTドコモでは、決済プラットフォーム、デジタルコマースなど通信以外の100以上もあるサービスでアクティブユーザー増加を目指し、それぞれで顧客体験の向上を掲げていました。しかし、意識の違いや取り組み状況にばらつきがあり、事業全体の底上げができていないという課題があったのです。
そこで、全事業横断のNPS調査を実施しましたが、結果分析において、「コメントの分析が中心で改善の優先順位がつけられない」課題が生じました。そこで弊社のシステムを活用したところ、ある事業にて、「良い評価が得られると思っていた施策ではなくほかの施策が高い評価を得ている」ことが判明したのです。
ほかにも無料で利用できるサービスよりも有料でも必要な情報を得られるサービスのほうが、「NPSが高い」結果になりました。このように、さまざまな発見からより良質な顧客体験の実現のヒントを得られるようになったのです。
単価の高い商材を扱う企業のNPS活用事例:トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車では、地図、スマートフォンからの遠隔操作、オペレーター対応など、車がインターネットと接続することでさまざまな情報が得られるサービスを提供しています。
しかし多機能さゆえに、販売店にて「スタッフがどの機能をおすすめすればよいか判断しにくい」という課題がありました。そこで、どの機能が支持を集めているかを調べる目的でNPSを導入したところ、利用頻度の高い機能ほどNPSも高いことが判明したのです。
また、それまでは機能の改善や追加について議論する際、明確な根拠なく行っていましたがNPSによって、「調査結果」という共通語が誕生。これにより、建設的な議論が行えるようになりました。
“人”が価値を提供するサービス系企業のNPS活用事例:バイク王&カンパニー株式会社
バイクの買い取り・販売を行うバイク王&カンパニー株式会では、そのビジネスの性質上、「買い取り査定額を上げれば顧客満足度が向上」するが、買取査定額を上げれば企業の利益は下がってしまう。つまり、顧客満足度と企業業績はトレードオフの関係にあると考える人が社内にいました。
一方、顧客満足度は必ずしも高い査定額のみで決定するものでもない。そこで、「スタッフの接客態度や対応が良ければ、価格にかかわらず顧客満足度を上げることができるのでは」という仮説を立てNPSによる調査を実施。すると、価格だけでなく、「良質な顧客体験の提供によって高い評価を受けたスタッフほど成約率が高い」という仮説どおりの結果が得られたのです。
その後、スタッフを対象としたロールプレイング研修を実施。NPS調査の結果という数字を示したため、スタッフの理解や協力を得て、研修は進みました。また、顧客からさらなる高い評価をもらえるという良い循環も生まれたのです。
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【国内】NPSを活用する企業事例8選!取り組みのポイントも解説
自社の特徴を把握したうえで最適なNPS活用を
今回見たとおり、NPSはどういった業界でも問題点の把握、改善に大きな効果を発揮します。しかし当然ながら、「NPSを導入さえすればよい」わけではありません。
業界によって質問する内容、活用イメージは異なります。また同じ業界内でも、企業規模や顧客属性によって活用方法を変えなければ、成果が出にくくなる場合もあるのです。
今回の事例を参考に、
■自社が属する業界でどうNPSを活用するか
■自社が持つ特徴とNPSをどう結び付ければ最適になるか
明確にしてみてください。それがNPSの活用で大きな効果を得るカギとなります。
また、確実に成果を生むNPSアンケートを作成するには、経験と実績が豊富な外部サービスの利用が効果的です。エモーションテックでは、良質な顧客体験のための全体分析から、KPI設定とアクションプラン策定、そして定常的な改善活動の実行支援まで、さまざまな角度から御社の顧客体験を高めるためのお手伝いをいたします。
良質な顧客体験の提供は、自社を選んでもらううえで重要な要素です。しかし、顧客満足度を高めれば良質な顧客体験の提供につながるかというと、そうではありません。顧客体験至上時代といわれる昨今、良質な顧客体験の提供に欠かせない指標NPSとその活用事例を業界別にお伝えします。
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