エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
アンケートは顧客理解を深めるための重要な手段です。顧客視点に立った事業・サービスの運営、商品開発を行うにあたっては顧客の声を聞くことが欠かせません。
最近では手軽にアンケートを実施するためのツールも豊富になっており、アンケートはより身近な手段になっています。
一方で、アンケートを実施しても回答結果の扱い方がわからない、知りたいことがあったけど結局よくわからなかったなど、うまく活用できてないケースも散見されます。
ここでは結果をうまく活用するためのアンケートの作り方をみていきましょう。
目次
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アンケートとは
そもそもアンケートとはどういったものでしょうか。
アンケートとは「特定の目的のために設計された質問を用いて、対象となる人々から情報を収集する調査手法」を表します。
つまりアンケートとは、
- Why / なぜ:「特定の目的のために」
- Who / 誰に:「対象となる人々」
- What / 何を:「情報」
- How / どうやって:「設計された質問を用いて」
この4つをきちんと押さえることが重要なのです。
ここからはこの4つのポイントを押さえながら効果的なアンケートの作り方をみていきたいと思います。
アンケートの作り方
アンケートを作るとなった際にいきなり質問文から考えてしまいがちですが、質問文を作るのは一番最後の段階です。
正しいアンケートを行い、活用できるアンケート結果を得るためにはきちんと調査設計を行い、その設計に沿って調査票を作っていくことがとても重要です。
ここをおろそかにしてしまうと、目的や意図に合わないアンケート回答に繋がり最終的に十分な解釈ができず活用できないアンケートになってしまう可能性があります。
アンケートの作り方のコツ①【なぜ】目的を明確にする
まずはアンケートを行う目的を明確にしましょう。
アンケートの実施を考え始めたきっかけや背景があると思います、きちんと言語化した上で今回のアンケートを行う最も重要な目的を端的に表しましょう。
以降のプロセスにおいて判断が迷うことがあればすべてこの「目的」に照らし合わせて判断していくことで、軸がブレずにアンケート作成を行うことができます。
また合わせて仮説を整理しておくことも大事です。
仮説というと難しく感じられるかもしれませんが「どのようなアンケート結果が返ってくるか」「アンケートを取ったらどういった評価や意見・要望がくるか」といったことを想像してみましょう。
アンケートを作成する自分たちが、そもそも顧客のことをどのように見ているのかを考えておくことで、何をアンケートで知りたいのかがより明確になっていきます。
## 見ておきたい観点
・アンケートを検討し始めたきっかけ、背景
・知りたいことに対する仮説
アンケートの作り方のコツ②【誰に】対象を明確にする
次にアンケートを行う対象を明確にしましょう。
目的に照らし合わせた時に、誰の声をアンケートで取得するべきなのかが自ずと見えてくるはずです。
ここで気をつけたいのはどれくらいの範囲に声を聞くべきかという観点です。一定の数を集められると良いのか、対象となる人から広く声を集めたいのか、というだけでもアンケートの配布方法などは変わってきます。
また対象を年代や性別などで対象者を絞る必要があるのかも検討しましょう。あるいは広く取りつつもそれぞれ属性に分けてセグメントごとの比較などを行いたいといったケースもあるかと思います。
いずれの場合でも十分な対象者がいて十分な回答が得られそうかを見ておくことが大事です。
また属性としては、以下の3つの観点から考えておくと良いでしょう。
## デモグラフィック属性(人口統計学的な属性)
例:性別、年齢、居住エリア、職業、所得、家族構成など
## 行動属性
例:購買日、購入金額、来店頻度、
## 意識属性
例:嗜好性、考え方、(xxが好き、xxに対する考え)
アンケートの作り方のコツ③【何を】質問項目を決める
アンケートの目的を踏まえて、まずは質問項目を決めましょう。
ここでも焦って質問文を作り始めるのではなく、まずは質問項目(=知りたいこと)を箇条書きで並べてみましょう。
目的に沿ってなるべく絞る
質問項目を決めるにおいてのコツは目的に沿ってなるべく必要最小限に絞るということです。
まずは広くアイデアを出して発散させながら、目的に沿ったものかどうかという観点で必要なものに絞り込んでいきましょう。
——-
まずは広く思考を発散させて洗い出す
↓
必要なものに絞っていく
——-
ここでよく陥ってしまうのは、聞きたいことが多すぎて項目が多くなりすぎるという失敗です。
アンケートは回答者に負荷がかかるものですので、目的に沿ってなるべく必要最小限の項目に絞るように心がけましょう。
長すぎるアンケート、多すぎる質問は回答者を疲れさせてしまい、回答をやめてしまう、適当に回答してしまう、などのリスクを高めてしまうことになります。
近しい質問項目を分類しておく
近しい内容の質問項目を分類してみましょう。分類しておくことで同じような意図の質問が重複していないかを確認しやすくなります。
また後の工程に関わってきますが、分類をしておくことで質問順をきれいに並べやすくなります。
アンケートの作り方のコツ④【どうやって】質問文・選択肢を作る
質問項目を洗い出したら、最後に質問文と選択肢を作ってアンケートを仕上げていきましょう。
回答形式を決める
それぞれの質問項目に対してどのような回答データを得たいのかを考えて、回答形式を決めていきましょう。代表的なものとしては「単一回答」「複数回答」「スケール(5段階評価など)」「フリーテキスト」が挙げられます。
さらに大きく分けるとこちらが選択肢を設ける「選択式」と、選択肢を設けない「フリーテキスト」に分けることができます。
「選択式」は選択肢をこちらが作るので、言わばこちらが立てた仮説を検証することができます。一方で「フリーテキスト」は回答者が自由に回答できるので、こちらが想定していなかったインサイトを得ることができます。
用途に応じて上手く使い分けることが重要です。
## 代表的な回答形式
回答形式 | 説明 | 長所 | 短所 |
単一回答 | 複数の選択肢から1つだけ選ぶ形式 | ・データ分析が容易 ・回答が明確 ・回答しやすい | ・詳細な情報が得られない ・選択肢が不適切だと回答に偏りが出る |
複数回答 | 複数の選択肢から当てはまるものを全て選ぶ形式 | ・より多くの情報を収集可能 ・回答者の複雑な意見を反映できる | ・データ分析がやや複雑 ・回答者が全ての選択肢を慎重に検討しない可能性がある |
スケール | 程度や頻度を段階的に評価する形式(リッカート尺度やNPSなど) | ・意見の強さを測定可能 ・数値化しやすい | ・中間回答に偏る傾向がある ・回答者によって尺度の解釈が異なる可能性がある |
マトリクス | 複数の質問項目を同じ尺度で評価する形式 | ・多くの項目を効率的に評価できる ・比較分析がしやすい | ・回答者の負担が大きい ・回答パターンが固定化しやすい |
フリーテキスト | 回答者が自由に記述できる形式 | ・詳細で豊富な情報が得られる ・予想外の洞察を得られる可能性がある | ・データ分析に時間がかかる ・回答率が低くなる傾向がある |
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NPS調査の作り方を解説!アンケートの作成や調査設計のコツがわかる
質問文を作る
次にそれぞれの質問文を作っていきます。
回答形式にあわせた問いかけを心がけ、なるべくわかりやすいシンプルな質問文にしましょう。回答者側がなるべく手を止めずに回答ができるように直感的に理解できることが重要です。
特に「何について聞かれているのか」「何を答えれば良いのか」が明確であるかをチェックしましょう。回答者がこれらを十分に理解できずに回答をするということは、そこで得られた回答データは信頼できるかわからないものになってしまい、それではアンケートをした意味がなくなってしまいます。
また回答者にバイアスがかかるような質問文になっていないか、にも気をつけましょう。知らず知らずのうちに作る側の意図や仮説が質問文に反映されてしまうことがあります。
回答者がフラットに考えて回答できないとこれも回答データの信頼性が失われてしまいます。複数人でチェックをする、作成者以外の人に回答テストをしてもらうなどの工夫をすることで予防することをおすすめします。
選択肢を作る
質問文の次は選択肢を作っていきます。質問文と同様にわかりやすくシンプルな表現にしましょう。特に以下のような観点には注意が必要です。
・しっかりと読まないとわからないような長い文章形式の選択肢になっている
・選択肢同士に似たような単語が並んでいる
・選択肢が多すぎる
・質問文や選択肢同士に矛盾が見られる
質問順を考える
全てが出揃ったら最後に質問順を考えましょう。
質問順を考える際に留意しておくことは、以下の2つです。
・聞きたいことは冒頭に持ってくる
・近しい内容や関連する項目はまとめる
アンケートは回答者の「負荷」「バイアス」との戦いです。聞きたいこと、知りたいことはなるべく回答者が疲れていないフレッシュな状態で回答してもらえるように冒頭に持ってくるようにしましょう。
また、なるべく関連した項目や近しい内容の質問は上下に並べることで回答者の負荷を下げるようにしましょう。同じことを頭に想起して回答を進めるのと、1問ずつ頭を切り替えるのとでは回答者が感じる負荷は大きく変わってきます。
質問を並べてアンケートを作り終えたら、必ず自らテストを行うこと、そして作成者以外の人に回答をしてもらい誤字脱字や矛盾がないか、また回答にどれくらい時間がかかるかなどのテストを行うようにしましょう。
アンケート作成時の注意点
上記でも注意点についてはいくつか触れてきましたが、改めて全体を通して注意すべき観点について見ていきましょう。
不安・不信を取り除く
アンケート回答に対する不安や不信感を丁寧に取り除くようにしましょう。
アンケートを配布するメール文面や、アンケート回答を行う画面の冒頭、紙面の上部など、回答者がアンケートを回答する前に必ずわかりやすく目的や趣旨を伝えるようにします。
あわせて個人情報取得の有無についても明記し、取得する場合にはプライバシーポリシーへのリンクを貼っておくなどしましょう。
回答率
先にも述べたようにアンケートは「負荷」との戦いでもあります。なるべく多くの方に回答してもらえるように、回答しやすい工夫をしたり、回答のための動機づけを行いましょう。
・必要最低限の質問構成
・読みやすい質問文や選択肢
・回答目安時間の明記
上記のような観点でなるべく回答途中で離脱せずにアンケートを最後まで完了してるように工夫をしましょう。
インセンティブ
どうしても回答率が高まらない場合や、必ず一定数の回答を集めたいという場合にはインセンティブの付与も検討しましょう。自社の商品やサービスに近しいインセンティブである方が適切な動機づけになると考えられます。
また初めてアンケートを実施する場合は、基本的にはインセンティブ付与はしなても良いでしょう。インセンティブを付与することは回答に対してバイアスをかけてしまうというリスクにも繋がりかねません。
一度実施した上で十分な回答が集まらない場合にインセンティブ付与を検討するという形をおすすめします。
バイアス
こちらも先に示していますが、アンケートは「バイアス」との戦いでもあります。アンケートに回答するのが人間である以上、回答からバイアスを完全に解除することは不可能です。
また、どれくらいバイアスがかかった回答なのかを後から判断することもできません。アンケートの設計・作成段階で可能な限りバイアスを排除するように工夫することしかできないのです。
せっかく回答者が時間を割いて回答してくれたアンケートデータが無駄にならないよう、しっかりと回答の信頼性を担保できるように十分工夫することを心がけましょう。
アンケートから行う顧客理解
収集した回答データは事業やサービスの改善、また商品開発などに活用するためにしっかりと集計・分析を行うことが大切です。
全体的にどういった回答傾向があるのかといった俯瞰した目線と、事前に立てていたた仮説はあっていたのかと検証する目線を持つことがまず第一です。
またその上、属性・セグメントごとの比較などによる違いの把握、定量データと定性(フリーコメント)データの掛け合わせから新しい発見がないかなど、ポイントを定めて深掘りをしてより鮮明な顧客理解に繋げていきましょう。
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