エモーションテック 編集部
NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。
顧客体験は近年、マーケティングを中心にビジネスにおいて非常に重要な考え方になっています。
顧客がブランドとの関わりを通してどのような感情や印象を持つかが重要です。
企業が良い顧客体験を提供することで、顧客に良い印象を与えることができ、その結果ロイヤルティを高め中長期的な顧客との関係を築くとともに、口コミを通じて新規顧客を獲得することにもにつながります。
この記事では、顧客体験とは何かについて、そして顧客体験を向上させるための手法について、成功事例をもとに具体的に紹介します。
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顧客体験とは?
顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)とは、顧客やユーザーが企業の商品・サービスに興味を持ち、その商品・サービスを利用するまでの一連の体験をいいます。
顧客体験は顧客接点の集合体とも言えます。いわゆる認知から興味関心や、購入、利用といったマーケティングファネルを通じて、様々なチャネルでの顧客接点を通じて得られるすべての体験を包括した概念を表します。
例えば商品やサービスの内容によっては、アフターサポートなどが必要なものもあります。この場合には、そのアフターサポートなども含めて顧客体験と呼ばれます。
顧客体験の重要性が高まっている理由
顧客体験が重要視される以前から、顧客満足度や顧客関係管理などは重要な考えとしてマーケティング業界に根付いていましたが、近年ではスマホやタブレット端末などの普及とともに、商品購入やサービス利用における顧客接点は以前よりもはるかに多くなりました。
例えば、誰もが気軽にいつでも検索エンジンで検索をすることができます。欲しい商品や興味のあるサービスに関連したキーワードを検索ボックスに打ち込めば、それに関連する商品との接点を持つことができます。
InstagramやX(Twitter)などをはじめとしたSNSの発達は著しく、これらSNSのユーザーにリーチさせるためにもアカウントを持っている企業も多くなってきました。
このような顧客接点の増加は、消費者にとっても企業にとっても多くのメリットがあります。
ただ、その一方で顧客接点が増えることによって企業と顧客の関係性はより複雑化し、考えなければならないポイントというのが膨大になってきました。
このような時代背景のなかで、より効果的なマーケティング戦略を考えていくためにも、顧客体験の捉え方を再度考え直す必要性が出てきているのです。
関連記事:
CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?顧客体験向上のポイントや事例を解説
顧客体験を向上させる方法
それでは、実際に顧客体験を向上させようと思った場合、どのような対策を取ればいいのでしょうか。効果的な顧客体験の向上を目指すのであれば、考えるべきは現状の把握とそこから見えてくる課題の明確化に大別されます。
顧客体験を整理する
まずすべきファーストステップは、顧客体験の整理です。既存商品や既存サービスの顧客接点を細かく洗い出し、どのような顧客接点があるのかを時系列で並べていきます。
例えば、どのような商品・サービスであってもまずは興味や関心といった段階が存在します。これはテレビCMや雑誌の広告などで商品・サービスに関心を持つ段階です。
もしくは、訪問販売などの場合には営業マンの印象などもこの段階に分類されます。この第一印象という段階のなかにも、営業マンの身だしなみや言葉遣い、広告への関心レベルなど、さらに詳細な分類をすることができます。このような詳細な顧客接点の洗い出しを行って、現状どのような接点が存在するのかを明確に把握することから始めましょう。
例えば、弊社で独自に行った、自動車業界の調査では下図のように顧客体験を整理しています。
NPS®¹を活用して総合評価を測る
また、現在の商品やサービスに対する顧客の総合評価を図るためには、NPS®を用いるのがおすすめです。NPS®(ネットプロモータースコア)は顧客満足度調査とよく比較され、その役割も混同されやすいですが、企業の収益性や業績との相関関係を考えるとNPS®を採用するのがもっとも賢いといえます。
今まで行われてきた顧客満足度調査は、どれだけ満足したと回答していたとしても、その顧客が次もリピーターになってくれる可能性には比例しない上に、ロイヤルカスタマーになってくれる可能性に比例しているわけでもないということが明らかになっています。
それに対して、NPS®は企業の収益性や業績、成長率などと相関関係があることが知られており、NPS®を高くすることが企業の収益性を直接的にアップさせることにつながるとされています。
上記のように弊社が独自に調査を行った自動車業界に関する調査においても、各自動車ブランドの国内出荷台数年平均成長率とNPS®の間には強い相関関係が示されました。
関連記事:
NPSと収益性について | 企業成長や収益指標との相関関係について解説
課題を明確にする
顧客接点やNPS®による総合評価などを用いて現状把握を行ったら、次に顧客体験上の課題を明確化していきます。課題は現状を把握する段階で行った顧客接点の洗い出しとNPS®による総合評価をベースにして行います。
総合評価が低い場合には、顧客接点のどの部分に問題があるかを徹底的に突き詰めて考え、どこに課題があるのかを明確にしましょう。
実際の例を出すと、メルセデスベンツは顧客体験を向上させるために現状と課題の分析を行った結果、価格交渉に関する時間が顧客体験全体の評価を落とす要素として大きいということが分かりました。
そこで、価格交渉に関する時間をできるだけ短くし、15分以内に納めることで顧客をより満足させ、ディーラーでの売り上げ向上に成功したという事例があります。どのような商品・サービスを提供している企業であっても、現状分析と課題の明確化というこの二つのステップを踏めば、1つや2つの課題は見つかるはずです。
ここで紹介した事例はあくまでもその会社独自のものであって、企業によって強みは異なります。そのため、他社の課題や対処法などを真似するだけではなく、必ず現状分析から導かれる課題の明確化をするように心がけることが大切です。
顧客体験向上させるためのマーケティング事例
顧客体験を向上させるための具体的な方法について解説してきましたが、これらの手法を使って実際に業績をアップさせることに成功した事例を1つ紹介します。
大手アパレルブランド『ロぺピクニック』の事例です。アパレルブランド業界というのは、少子高齢化の影響もあり、若い層をターゲットにするブランドの売れ行きは減少傾向にあります。さらに、ショッピングモールなどによるブランド間競争は年々激化しており、生き残りをかけて熾烈な争いが繰り広げられています。
この状況下で、ロぺピクニックTVCMなどを積極的に打ち、広告費に大きな投資を行うことによって新規顧客の獲得数を順調に伸ばしていました。
しかし、その一方で獲得した顧客のロイヤルティがなかなか上がらないことに大きな悩みを抱えていました。
そこで、現状の分析を行い、顧客体験のなかでどのような顧客接点があるのかを細かく洗い出しました。20個ほどの顧客接点に分解し、どこがロイヤルティを下げているのかの調査を行ったところ、ポイントカードを出すめんどくささとレジの待ち時間の長さが大きな課題であることが分かりました。
ポイントカードを出す際に手間がかかることによって、レジの待ち時間が長くなってしまっていたのです。
この対策法としてロぺピクニックが取ったのは、アプリで簡単にポイントカード機能を使うことができる専用のスマホアプリの開発です。若年層ではスマホ操作への抵抗感は薄く、アプリを提示するだけでポイントカードと同じ機能を得ることができるというサービスは功を奏しました。
この結果、ロペピクニックはリピート率の上昇を実現し、会社全体の売上も上昇傾向にすることができたのです。
この例からもわかるように、現状分析として顧客接点をより細かく考えること、またNPS®を使って顧客体験の総合評価を客観的に評価することがとても重要です。
事例記事:
ROPÉ PICNICの購入者向けにNPS®調査を実施 強みと弱みを特定し、よりお客様に支持されるブランドに
一見すると、何の問題もないように見えたとしても、詳細な現状分析をすると課題が散見されるケースも珍しくありません。この機会に一度顧客体験の向上を目指して現状分析と課題の発見を行ってみてはいかがでしょうか。
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