NPS向上に欠かせない5つのステップ | 売上改善を実現した事例も紹介 | 株式会社エモーションテック

NPS向上に欠かせない5つのステップ | 売上改善を実現した事例も紹介

更新日:2025.12.15

このコラムの執筆者
梅川 啓

株式会社エモーションテック Marketing Manager 

複数企業の事業責任者を歴任したのち、2020年よりエモーションテックにCXコンサルタントとして参画。製薬会社や金融機関、化粧品メーカーのNPSプロジェクトやCXマネジメントの支援に携わる。2022年よりマーケティングに従事し、各種セミナーやイベントに登壇。

NPS®(ネット・プロモーター・スコア)は、顧客ロイヤルティを測定し、向上させるための重要な指標です。このNPSを向上させることは、既存顧客の維持や新規顧客の紹介を生み出し、企業の持続的な成長に直結します。

NPSが向上するということは、単に「満足している」顧客が増えるのではなく、企業を積極的に推奨してくれる推奨者やリピート顧客が増え、同時にサービスに対してネガティブな評判を広げる批判者や離脱顧客が減ることを意味します。これにより、顧客のLTVが高まり企業の収益性は大きく向上するため、NPSを向上させ顧客ロイヤルティを気づくことは経営戦略においても欠かせない要素となっています。

そしてこれらを実現するには、ただNPSを測定するだけに留めず、スコア向上のために取り組むべき課題を見つけ、アクションに落とし込むことが重要です。

この記事では、NPS向上を目指す企業が取るべき具体的な5つのステップを、プロフェッショナルな視点から解説します。

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NPS向上ロードマップ:成功に導く5つのステップ

NPSの取り組みは、一度の調査や測定で完結するものではなく、継続的に取り組むべき改善サイクルをいかに作っていくかが重要なポイントです。ここでは、効果的にNPSを改善し、顧客ロイヤルティを構築していくために必要な5つのステップを解説します。

ステップ1:NPSアンケートを設計する

NPS向上に取り組むための最初のステップは、現状を正しく把握することです。

NPS調査の質を高めるためには、単にスコアを問うだけでなく、なぜNPSが高いのか・低いのかを明らかにできるように仮説に基づいた調査の設計を行うことが重要です。

そのためには、顧客体験を整理した上で、それぞれの評価を取得しておくことで「何がNPSに対して影響度が大きいのか」を把握することができます。

また「そのスコアをつけた理由」を自由記述(フリーコメント)として詳細に収集することもとても有用です。近年では生成AIの登場により、自由記述で書かれた内容の解釈も非常にしやすくなりました。定量的な評価と定性的なコメントを掛け合わせてみていくことで、NPS向上の打ち手を見つけやすくなります。

関連記事:
NPS調査の作り方を解説!アンケートの作成や調査設計のコツがわかる

アンケートの設計段階からキーマンを巻き込む

そしてもう一つこのステップにおいて重要なポイントがあります。それはなるべく早期の段階から現場責任者やマネジャーなど、重要な関係者を巻き込むことです。

NPSアンケートの実施後にいきなり結果だけを伝えてしまうと、なかなか自分ごと化されず、自分たちの知らないところで評価をされたような気持ちをもたせてしまいます。

アンケートの設計段階から「どのように顧客の声を聞くべきか」「現場では顧客のことをどのように考えているのか」など一緒に考えることで、アンケート結果がその答え合わせのようになり、より自分ごと化されて顧客の声を受け入れてもらえるようになります。

ステップ2:NPSの影響要因(強み・課題)の特定

仮説に基づいた調査設計を行い、アンケートにて顧客からの回答を集めたら、次のステップは、NPS®に最も大きな影響を与えている顧客体験や要素、つまりNPSドライバーを特定することです。

NPSを向上させるための効果的なアプローチを実現するた目には、NPS(推奨度)と各製品・サービスの顧客体験に対する評価(例:使いやすさ、価格、サポート品質など)を統計的に分析し、改善インパクトの大きい顧客体験から優先的に改善施策を実施していく必要があります。

具体的な分析手法としては、回帰分析や相関分析を用いて、どの顧客体験がNPSと強く関連しているかを統計的に明らかにします。これらの影響度分析を行うことで、自社にとって何が強みになっているのか、何が課題で改善に取り組むべきかが明確になります。

顧客体験上の課題を明確にする

このような分析が実現できてくると、NPSが単にスコアを測る指標としてではなく、企業と顧客の関係性を紐解いていくものとして機能していきます。

そしてこれらの定量的な分析結果とのフリーコメントを掛け合わせてみていくことで、「何が顧客の不満を引き起こしているのか」「なぜ顧客は推奨してくれないのか」という根本的な原因を深く理解できます。

関連記事:
回帰分析とは? NPS改善に効く「重回帰分析」をわかりやすく解説

ステップ3:改善施策の優先順位付けと実行

NPSドライバーが特定できたら、次はどのように改善施策に着手していくのか、限られた現場のリソースで最大限のNPS向上を実現するために、取り組むべき課題に優先順位をつけていきます。

施策の優先度基準ターゲット
NPSへの影響度が最も大きく、かつ実現可能性が高い施策批判者の不満の根本原因を解消する施策
影響度は大きいが、実現に時間やコストがかかる施策サービス全体の中長期的な質向上に関わる施策
影響度が小さい、あるいは既に一定水準にある要素に関する施策

優先度の高い施策は、不満を持っている顧客(批判者)の離脱を食い止め、サービスへの評価を中立者以上に引き上げることを目的に実行します。

たとえば、サポート品質が優先的に改善すべき課題となっている場合は、AIチャットボットの導入による待ち時間の削減や、マニュアルの改善など、具体的かつ実行可能なアクションに落とし込んでいきます。

NPS向上を実現するには、改善アクションに繋げることが何より重要です。現場のどのような行動がNPS向上に繋がり、顧客ロイヤルティを作り上げていくことになるのかをわかりやすくポイントを絞って伝えるようにしましょう。

関連記事:
NPS®調査の分析方法とは?CX向上につながる集計と分析のポイント

ポジティブフィードバックから始める

またこのステップでは「NPS向上の取り組みに現場を巻き込めない」という悩みがかなりのケースで見受けられます。一番の要因は課題や改善点、顧客の不満の声ばかりを伝えてしまうことです。

ネガティブな印象が先行してしまうと、現場は顧客の声を積極的に聞きたいと思うどころか、むしろ遠ざけることになってしまいます。現場で日々顧客と接しているスタッフにとっては自分たちがやってきたことが否定されるような気持ちにさせてしまっては、せっかく良い取り組みの意図が十分に伝わらない状態に陥ってしまいます。

NPS向上のためにはもちろん課題の改善に取り組む必要があるのですが、まずはしっかりとポジティブな顧客の声、お褒めの言葉などを中心にフィードバックしましょう。

そうすることで現場の方々は日々の仕事に対する賞賛と承認が感じられ、顧客の声に向き合ってくれるようになります。

ステップ4:施策の実行と効果測定(PDCAサイクル)

施策を実行したら、必ずその効果を測定し、PDCAサイクルを回します。

NPS向上の取り組みは、施策実行後に再度NPS調査を行い、施策前後でスコアやドライバーの変化を定量的に確認することで、改善効果があったかどうかを判断します。

施策が期待通りの効果を生んでいない場合は、原因を再分析し、次の施策に反映させます。このサイクルを継続的に回すことで、取り組みの精度が向上し、企業全体の改善ノウハウが蓄積されていきます。

ステップ5:全社的な巻き込みと組織文化への定着

NPS向上は、特定の部署だけが担うものではなく、全社的な取り組みとして組織文化に定着させる必要があります。

経営層がNPSの重要性を理解し、顧客中心の考え方を組織全体に浸透させることが、NPS向上を成功させるための最大の要因となります。

また各部門(営業、マーケティング、開発、サポート)が、自分の業務がNPSのどのドライバーに影響を与えているかを認識し、部門横断的に連携して改善に取り組む体制を構築します。NPSを社内の共通目標として掲げ、成功事例を共有することで、従業員のモチベーション向上にもつながります

自分の仕事が目に見える形で評価されて嫌な気分になるスタッフは恐らくいません。積極的な周知は社内にNPSの重要性が伝わるだけでなく、現場スタッフが自発的に仕事に対するクリエイティビティを発揮することにもつながります。これによって成功事例が生まれやすくなり、成功事例からNPS改善のノウハウも得ることができるというプラスの循環が作られます。

特に顧客体験の向上、そして顧客ロイヤルティが向上したことを実感するまでには一定の時間を要します。それまでに取り組みの効果や成果が実感しづらい状況になってしまうと、社内に倦怠感や疲労感が生まれてしまうことも多いです。

各部門や各メンバーのスモールウィンをしっかりと賞賛し、社内がNPS向上に前向きに取り組める文化を醸成していきましょう。

NPS向上に取り組むメリット

NPS向上のポイントを解説する前に、まずなぜNPS向上に取り組むことが重要なのか、その意義について確認していきましょう。

NPS向上メリット①ロイヤルカスタマー

NPSは顧客ロイヤルティを数値化する指標です、顧客体験向上に取り組みNPSを向上させることは企業やサービスの推奨者、つまりロイヤルカスタマーを増やすことに繋がります。

顧客満足度では「現時点で満足しているか」を聞くのに対し、NPSでは「今後すすめたいと思うか」という未来の推奨行動を可視化させることができます。

NPSが向上することで他者への推奨行動を取りたいと思う、ロイヤルカスタマーを増やすことができます。

関連記事:
NPS®とは?顧客満足度との違い・質問方法・事例まで詳しく解説!

NPS向上メリット②収益に繋がる

そしてNPSを向上させ、ロイヤルカスタマーが増えることは収益の向上にも繋がります。

ロイヤルカスタマーが増えることで、継続率やリピート率が高まり顧客基盤が強くなっていきますし、他者への推奨行動が増えることで新規顧客獲得のためのコストを低減させることもできます。

NPSは中長期的な企業成長率との相関、そしてもう少し短期的な収益指標・KPIいずれとも相関があることが確認されています。

関連記事:
NPSと収益性について | 企業成長や収益指標との相関関係について解説

NPS向上の成功事例

株式会社バーニーズジャパンの事例

株式会社バーニーズジャパンでは、5年以上継続的にNPS向上に取り組んでいます。

調査をはじめた当初は、誰もが半信半疑で調査結果を見られていたとのことですが、今では「お客様からの貴重なご意見をいただけるもの」と認識され、全社的に顧客に向き合う文化が作られてきています。

そういった文化が作られ、調査そのものに対する社内の見方が圧倒的に変化をもたらした工夫として、担当者の方は以下の2点をポイントとして挙げられています。

  • 毎週の結果を共有し続けていたこと
  • 実際の売上とNPSとの連動性を明らかにしたこと

また実際に調査結果をもとに改善に取り組んだA店ではNPS向上、そして売上向上という成果がもたらされています。

「自分達の接客に改善の余地がある」ということを、みんなが検証できる数値(売上)とNPSとの連動、そして他店舗との比較という部分で、納得感をもって受け止めることが出来たことが要因の一つとして挙げられています。

詳しい事例インタビューはこちら:
継続的な顧客の声の収集とポジティブなフィードバックで組織変革を推進し、顧客志向企業を目指す。CXMに取り組みはじめて5年目のバーニーズ ジャパンの取り組みとは。

まとめ:NPS向上の継続的な取り組みが企業価値を高める

NPSの向上、そしてそれによる顧客ロイヤルティ向上は短期的に実現できるものではありません。しかし、本記事で紹介した「調査設計・ドライバー特定・施策実行・効果測定・組織定着」の5つのステップを着実に、そして継続的に実践することで、顧客ロイヤルティは着実に醸成されていき、これらは中長期的なビジネスにおいては大きな資産となります。

NPS向上への取り組みは、顧客満足度を高めるだけでなく、企業のブランド価値を高め、結果として持続的な収益向上と企業価値の最大化に繋がっていくのです。

もし、NPSのドライバー特定や、全社的な改善施策の実行体制構築でお悩みであれば、ぜひエモーションテックにご相談ください。

NPS向上に関する5つのQ&A(FAQ)

NPSドライバーとは何ですか?

NPSドライバーとは、NPSに最も大きな影響を与えている要素や要因のことです。具体的には、製品の使いやすさ、価格、サポートの質、購入体験などが該当します。ドライバーを特定することで、改善すべき優先度の高い課題が見えてきます。

NPSを向上させるために最も重要なことは何ですか?

NPS向上において最も重要なことは、NPSドライバーを特定し、優先度をつけてしっかりとNPS向上にインパクトのある改善施策を実行することです。
また現場においては、批判者からの評価やコメントを真摯に受け止め、迅速に個別対応するクローズドループを実施し早期の信頼回復を図ることで離脱を防ぐことも重要です。

NPSの改善効果はどのくらいの期間で現れますか?

施策の内容や企業の規模によりますが、顧客対応やオペレーションといった現場レベルの改善であれば数ヶ月で効果が現れ始めることがあります。しかし、製品やサービスの抜本的な改善には、6ヶ月から1年以上の継続的な取り組みが必要です。

推奨者を増やす具体的な施策は何がありますか?

推奨者を増やす施策には、ロイヤルティプログラムの提供、新製品や機能の先行体験への招待、そして積極的な口コミ投稿の推奨などがあります。推奨者が「特別扱いされている」と感じる体験を提供し、推奨行動を促進することが重要です。

NPSの調査頻度はどのくらいが適切ですか?

NPS®の調査には、全顧客を対象に定期的に行う「リレーショナル調査」(年1~2回)と、特定の取引やサポート利用後に行う「トランザクショナル調査」(リアルタイムまたは随時)があります。改善サイクルを迅速に回すためには、両者を組み合わせて実施することが推奨されます。

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