従業員エンゲージメントはモチベーションや従業員満足と何が違うのか? | 株式会社エモーションテック

従業員エンゲージメントはモチベーションや従業員満足と何が違うのか?

更新日:2025.06.05

このコラムの執筆者
Avatar photo
エモーションテック 編集部

NPS活用やCX向上のためのお役立ち情報を発信しています。

EmotionTechのエンゲージメントサーベイ資料をダウンロードする

従業員エンゲージメントとは?

従業員エンゲージメントとその他の指標や概念との違いを知るために、改めて従業員エンゲージメントとは何かについてご紹介します。

従業員に対して、「エンゲージメント」という言葉が登場したのは、1990年のこと。

1990年にウィリアム・カーン氏(当時:ボストン大学心理学教授)が発表した論文の中で、エンゲージメントをこのように定義しています。

「社員が仕事に対して肉体的にも、心理的にも、感情的に打ち込むこと」

※参考: Kahn, W. (1990). Psychological conditions of personal engagement and disengagement at work. Academy of Management Journal, 33, 692-724.

まだまだ世界的にもトップダウン型のマネジメントが主流であった中で、従業員の感情や打ち込み度合いがパフォーマンスに影響することを説いています。

その後、エンゲージメントについての研究が進み、多面的に定義がされ続けてきました。

・企業・組織や企業価値に貢献しようとする、積極的な態度(Institute for employment studies)

・認知、感情、行動エネルギーが引き起こす組織と仕事に対しての前向きで活動的な心理(Shuck, Adelson, Reio jr)

エンゲージメントの定義の変化

上記はあくまで一例ですが、共通している部分をまとめて要約するとこうなります。

「従業員が企業に対して、貢献しようとする意欲」

この貢献意欲が高まることによって、個人のパフォーマンスに大きく影響することが研究によって立証されています。

関連記事:
従業員エンゲージメントとは?人的資本経営の観点からも解説

ここからは、この従業員エンゲージメントが、これまでの指標とどう異なるのかについて解説します。

従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い

従業員満足度とは、「この会社で働くことに満足していますか?」という質問で計測される指標を指します。

どちらも「従業員の目線・感情」を推し量るために使われる指標という点ではエンゲージメントと共通しています。

一方で、満足度だけでは「貢献意欲」を計測することはできません

それは、満足という概念の中には、「頭の満足」と呼ばれるものと「心の満足」とよばれるものの2種類があり、満足度だけではどちらの満足を満たしているかを分類できないためです。

頭の満足とは

給与水準・福利厚生などの待遇、勤務時間や通勤時間など、理性的・論理的な判断で満たされる満足のことを指します。

心の満足とは

人間関係、自己成長、社会貢献など、感情的・情緒的な判断で満たされる満足のことを指します。

頭の満足と心の満足

例えば、簡単な仕事や短い労働時間で高い給与がもらえる仕事があったと仮定します。

こうした環境は、頭の満足を満たしやすく、「満足していますか?」という質問では満足度が高くなる傾向にあります。

一方、こうした満足が「個人のパフォーマンスを高めることが可能か」という視点では、疑問が残ります。それは「心の満足」を満たすことができておらず、企業への貢献意欲を促進できていないと考えられるためです。

従業員エンゲージメントと従業員モチベーションの違い

エンゲージメントとモチベーションは、満足度同様「従業員の目線・感情」を捉える、という意味では近い概念ですが、モチベーションも大きく2つの要因に分類することができます。

内発的モチベーション

「自分を成長させたい」「この成果を達成したい」といった、自分の意志や意欲によって生み出される動機づけのことを指します。

外発的モチベーション

「周囲に評価されたい」「高い給料・ボーナスがもらえる」といった、周囲の環境や直接的なメリットによって生み出される動機づけのことを指します。

内発的モチベーションと外発的モチベーション

従業員エンゲージメントは、企業と従業員の間の関係性をより良くし、企業に対する愛着・信頼を高め、企業への貢献意欲を引き出す手法として用いられます。

そういった視点では、内発的モチベーションにつながる従業員の感情だと考えることができます。

外発的モチベーションは、短期的に生み出すことは可能でも、給与などによっていつまでも高いモチベーションを生み出すことはできません。従業員エンゲージメントが注目されるようになった背景には、より内発的なモチベーションによって、個人パフォーマンスが左右されることがわかってきた、ということもあります。

なぜ今、従業員エンゲージメントが重要なのか

これまで比較してきたように、従業員エンゲージメントを高めていくことで、従業員と企業の関係性をより良くし、「貢献意欲」を高めることが可能です。

短期的な個々人のパフォーマンス向上ではなく、中長期的な組織力開発を目指す企業によりフィットする概念だと思います。

是非こうした観点でも、従業員視点を強化してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

従業員エンゲージメントが近年とくに重要視される理由は?

成果を生む鍵が「長期的な組織力」へシフトしているためです。人口減少やリモート化で採用・定着が難しくなる中、従業員が企業理念に共感し主体的に貢献する状態を作ることで、生産性・イノベーション・離職率改善など複数指標を同時に押し上げられる点が注目されています。

従業員満足度(ES)とエンゲージメントの違いは?

ESは「待遇や環境にどれだけ満足しているか」を測る“受動的指標”です。一方エンゲージメントは「会社に貢献しようとする意欲・情熱」を含む“能動的指標”。
満足していても貢献意欲が低いケースがあるため、業績との相関が高いのはエンゲージメントとされています。

モチベーションとエンゲージメントは同じですか?

モチベーションは「行動の動機」を広く指し、外発的(報酬・評価)と内発的(成長・達成)に分かれます。エンゲージメントは企業との信頼関係を土台にした内発的モチベーションの持続状態を表す概念で、短期消費されがちな外発的モチベーションとは区別されます。

エンゲージメントを測定する代表的な指標・方法は?

シンプルに貢献意欲を数値化できるeNPS(Employee Net Promoter Score)が主流です。
「自社を友人に勧めたいか」を0–10 点で尋ね、推奨者割合-批判者割合で算出します。加えて理解度・帰属意識・行動意欲を問う設問を組み合わせると、具体的な改善ドライバーが特定できます。

自社でエンゲージメントを高める第一歩は何から始める?

まず定期サーベイで現状を可視化し、部門別・属性別の差分を把握しましょう。そのうえで「影響度が高く評価が低い体験」(例:キャリア支援、上司の承認)を1つ選び、小さな実行→効果測定→改善のサイクルを回すことが成功の近道です。経営・人事・現場が数値とストーリーを共有する仕組み作りが鍵になります。

EmotionTechEX資料を
ダウンロードする

このサービス資料でわかること

  • EmotionTech EXのサービス概要
  • EmotionTechの独自分析技術
  • 各種プランの内容
  • 導入事例

よく読まれているコラム

すべてのコラムを見る

直近のセミナーイベント

セミナーをもっと見る