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企業は今、顧客獲得を厳しくする要因に囲まれている
昨今、企業はさまざまな要因から、顧客獲得が厳しくなっています。
インターネットの進化とコモディティ化
インターネットの進化により、情報収集のスピードも格段にアップし、話題の商品情報は一瞬で拡散されるようになりました。多くの人に情報が拡散されることは、企業にとって喜ばしいことでしょう。
しかしその反面、すぐに低価格の類似商品が大量にあふれ、コモディティ化(品質や機能などこれまで商品に存在した差がなくなっていくこと)が進み、1年も持たずに市場から姿を消してしまう場合も珍しくないのです。
そもそも現在の日本は、多くの市場がすでに成熟しており、モノがあふれる時代。そのなかで商品のコモディティ化が進めば、競合他社との差別化要因はどうしても価格に集約されます。しかし、価格競争になれば最終的には大手企業の一人勝ちになってしまうでしょう。
経済活動を支える年齢層の減少
また、経済活動を支える年齢層の減少も問題視されています。
2017年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書」(注2)を見ると、今後、生産年齢人口(15~64歳)は減少すると推計されています。2020年では、全体の「59.1%」、65歳以上は「28.9%」だったものが、2053年になるとそれぞれ「51.6%」、「38%」まで下がると推計されているのです。
99.7%を占める中小企業・小規模事業者
さらに、中小企業庁が2018年に発表した「中小企業・小規模事業者の数」(注3)によると、2016年における中小企業・小規模事業者の割合は、「99.7%」。これだけの割合を占める中小企業・小規模事業者は、競合他社との差別化要因を探し出さなくてはなりません。
こうしたさまざまな要因により、企業は顧客獲得が厳しくなっています。そこで重要となるのが顧客体験の向上なのです。そもそも企業が向き合うべきは、競合他社ではなく自社の顧客。どうしたら喜んで自社の商品を使ってもらえるか、自社を信頼し、愛着を持ってもらえるか、それを突き詰めて考えた答えのひとつが顧客体験の向上だったのです。
NPSを活用した顧客体験の計測
顧客体験を向上させる前に、現状の把握が必要です。しかし一体、どのように顧客体験を計測するのでしょうか。
顧客体験の計測方法
徹底的に顧客と向き合って顧客体験を向上、この流れが結果として競合他社との差別化要因となり、自社の価値向上につながるのです。しかし、顧客体験の向上といっても、何かしらの指標は必要になります。そこで用いられるのが次の2点です。
■顧客満足度(CS)
基本的に、購入前の期待値と実際の満足度の差を見て計測しますが、期待値、不満度、忠実度など満足度に関連する質問をし、その平均値を取って計測する方法もあります。
関連記事:
顧客満足度(CS)とは?関連指標や計測方法、向上のポイントを徹底解説!
■NPS(ネット・プロモーター・スコア)
企業や商品・サービスを家族、友人などにすすめたいかどうかを0~10の11段階で質問し、すすめたい(9、10)と回答した顧客の割合から、すすめたくない(0~6)と回答した顧客の割合を引くことで計測します(7,8は中立)。
NPSは推奨者の割合(仮に45%)から批判者の割合(仮に20%)を引いた数値(45%-20%=15)のことを指します。(つまり、推奨者が増えるほど数値が高くなり、批判者が減るほど数値が高くなるように設計されています。)
顧客体験改善にNPSが効果的な理由
上述した2つの計測方法は、どちらも顧客が自社や商品・サービスに満足を得ているかを知るうえで重要な指標となります。しかし顧客満足度では、目的である顧客体験の向上に向けて進める際、問題が生じてしまうのです。
満足していても顧客は簡単に離れてしまう
顧客満足度が高くても、ほかで価格の低い商品がリリースされた場合、別の商品に乗り換えてしまう可能性が高くなります。つまり顧客満足度だけを知っても、業績につながる効果は得にくいといえるのです。
顧客満足度調査では「不満の洗い出し」で留まってしまう
顧客から集められた不満を見て、どういった不満が多いのかを把握するものの、そこからどう改善していくかのアクションに結びつけられないケースが散見されます。また、アクションできたとしても、顧客満足度の向上だけを最終目的にしがちです。また、短期的な施策が中心となり、長期的な顧客体験の向上に結びつかない場合も多いでしょう。
満足度の高さが企業利益に直結しない
ある企業ではサービスを継続せず、解約した顧客の6~8割が直近の満足度調査において「大変満足している」「満足している」と回答していました。つまり、「満足度調査の結果と実際の顧客行動が一致しない」「満足度の高い顧客が必ずしも企業の商品・サービスを使い続けるとは限らない」のです。
これに対し、NPSは、満足を感じているかどうかを聞いたうえで、「この商品を友人にすすめるかどうか」を問います。これにより、「満足しているがすすめない」と回答する顧客から、「なぜ、すすめないのか」といったデータが得られるのです。
NPSの大きなメリットは、単純に満足しているか不満があるかだけでは見えてこない顧客の本音が見えてくる点。それが不満の洗い出しで終わらずに、顧客体験を向上させるための改善策を生み出す大きなヒントとなるのです。
NPSアンケートのつくり方
顧客体験改善に大きな効果を発揮するNPSですが、アンケートは十分に検討して設計しなくてはなりません。なぜならアンケート設計がしっかりしていないと、顧客体験改善のヒントを見つけ出すことが困難になるからです。ではNPSの基本的なアンケート項目とともに顧客体験改善につながるポイントをご紹介します。
NPSアンケート項目の設定
NPSアンケート項目には、下記のような事柄を設定します。
■NPS(推奨度)に関する質問
■推奨度に影響を与えた顧客体験
■価格、品質、店員の接客態度など要素別満足度
■実際に家族、友人にすすめたことがあるかどうか
続いて、具体的な質問の設定について、NPSアンケートのサンプルをお伝えしましょう。
NPSの基本的なアンケート項目を前提としますが、まずは「究極の質問」として、顧客に対し、「自社そして商品・サービスを家族や友人などにすすめるかどうか」を0~10の11段階から尋ねます。その際、「推奨度に影響を与えた顧客体験」をともに尋ねるのです。
しかし「推奨度に影響を与えた顧客体験」を尋ねる際、段階を踏まなくてはなりません。
企業としては、「推奨度に影響を与えた顧客体験」を自由回答で記載してもらったほうが改善対策として多くの情報を得られると考えるでしょう。ですが顧客は、いきなりの自由回答に拒否感を示す場合も多く、結果、無回答が増える状況も多いのです。
そこで「推奨度に影響を与えた顧客体験」ではいくつかの項目を設定し、「自社そして商品・サービスを家族や友人などにすすめるかどうかの点数をつけるにあたり、その項目がどう影響したか」を5段階で回答してもらいます。例えば実店舗であれば「店に入った際の雰囲気」「店員の声かけ」などになるでしょう。
もし、「自社そして商品・サービスを家族や友人などにすすめるかどうかの点数をつけるにあたり、その項目がどう影響したか」を尋ねた際、「良い影響を与えた」「悪い影響を与えた」といった回答があった場合は、その理由を具体的に記載してもらいます。
このように、段階を踏んで細かく項目設定をしていけば、「推奨度に影響を与えた顧客体験」についていきなり自由回答してもらうより、顧客も回答しやすくなるのです。それにより、顧客体験改善のさまざまなヒントを得ることができるでしょう。
NPSアンケートの分析、活用方法
次にNPSアンケートの結果をどう分析し、活用するか、方法を見ていきます。ここでポイントとなるのは、「自社そして商品・サービスを家族や友人などにすすめるかどうかの点数をつけるにあたり、その項目がどう影響したか」の結果です。
前項で説明したとおり、自由回答ではなく、項目を設定し、5段階で評価してもらいます。それを、重回帰分析(複数の要因それぞれがどのように結果と関連しているのかをまとめて今後を予測する方法)といった統計手法を用いて分析するのです。
これで出た結果を、デジタルカスタマージャーニーマップというグラフにまとめると、下記2点の情報が得られます。
- どの項目が最も推奨度を高めるのに影響を与えたのか
- 設定した項目が顧客からどのように評価されているか
例えば、「店員の声かけは推奨度を高めるのに強い影響を持つが、実際の顧客の評価は低い」といったものです。
これにより、企業は何を改善すればよいかだけでなく、何から手をつけなければいけないかまで理解できるでしょう。そして「推奨度に強い影響を与えているが顧客の評価が低い項目を改善」。これが顧客体験向上の重要なポイントになるのです。
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長期間にわたる開発や投資を行ったうえで市場に投入した商品が、わずか数か月で競合他社から自社よりも低価格で販売される、この状態が続けば、事業の継続は難しくなります。この状況から抜け出すには、自社商品の価値を理解し、信頼と愛着を持ってくれる既存顧客の増加が欠かせません。
今回ご紹介したNPSアンケートは、良質な顧客体験を提供するための指針となるもので、効果的に活用すると、価格競争から脱却する近道になります。
しかし、NPSアンケートは質問の設定が難しいため、設定によっては思ったような結果を得られなくなる可能性もあるのです。確実に成果を上げるNPSアンケートの作成、分析を行うには、経験と実績が豊富な外部サービスの利用が効果的でしょう。
エモーションテックでは、良質な顧客体験のための全体分析から、KPI設定とアクションプラン策定、そして定常的な改善活動の実行支援まで、さまざまな角度から御社の顧客ロイヤルティ向上のお手伝いをいたします。
出典:
- (注1)2005年版中小企業白書のポイント|中小企業庁(PDF)
- (注2)日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書|国立社会保障・人口問題研究所(PDF)
- (注3)中小企業・小規模事業者の数(2016年6月時点)の集計結果を公表します|中小企業庁
参考:
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