エンゲージメントとは?ビジネスでの意味合いを解説 | 株式会社エモーションテック

エンゲージメントとは?ビジネスでの意味合いを解説

このコラムの執筆者
梅川 啓

2020年にエモーションテックに参画。
CXコンサルタント、事業企画部門を経て、2022年末
よりマーケティングチームに従事。

エンゲージメントという言葉を耳にする機会が増えてきました。エンゲージメントという言葉は英単語「engagement」に由来し、weblio辞書によるとengagementは「(会合などの)約束、契約、債務、婚約、婚約期間、雇用、雇用契約、交戦、(歯車などの)かみ合い」*の意味を持ちます。

ビジネスの文脈では、主に「従業員エンゲージメント」と「顧客エンゲージメント」の2つの意味で使われることが多いですが、その定義や重要性について正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。

本記事では、ビジネスにおける「従業員エンゲージメント」「顧客エンゲージメント」それぞれの重要性まで、幅広く解説していきます。

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ビジネスにおけるエンゲージメント

エンゲージメントという言葉がビジネスで使われ始めたのは1990年と言われています。

1990年に当時ボストン大学心理学教授であったウィリアム・カーン氏が発表した論文の中で、次のようにエンゲージメントを定義しています。

「社員が仕事に対して肉体的にも、心理的にも、感情的に打ち込むこと」

※参考: Kahn, W. (1990). Psychological conditions of personal engagement and disengagement at work. Academy of Management Journal, 33, 692-724.

従業員の感情や仕事への打ち込み度合いが、パフォーマンスに影響することを説いています。

その後にエンゲージメントについての定義が活発に議論されるようになり、「企業・組織や企業価値に貢献しようとする、積極的な態度」「認知、感情、行動エネルギーが引き起こす組織と仕事に対しての前向きで活動的な心理」といった定義がされるようになりました。

対して顧客エンゲージメントという言葉は2000年代前半からマーケティング分野において語り始められるようになり、その後活発に定義などが論じられるようになってきました。

背景にはデジタル化の発展があり、オンラインにおける顧客との繋がりの重要性が説かれるようになり、顧客エンゲージメントという概念が注目を集めるようになりました。

ビジネスにおけるエンゲージメントの重要性

ではなぜこのようにエンゲージメントという概念が注目を集めるようになったのでしょうか。

まず1つは従来の考え方に比べ、エンゲージメントはより深い関係性や積極的な貢献を重視する点が挙げられます。従業員エンゲージメント、顧客エンゲージメントのいずれの文脈においても単なる満足を示すだけではなく、親密な関係や信頼を気づき、積極的な関与・貢献を示すことが重視されます。

また業績への貢献も、エンゲージメントが重要視される大きな要素として挙げられます。

詳細は後述しますが、従業員エンゲージメントを高めることは生産性の向上および業績の向上に繋がり、また顧客エンゲージメントを高めることは継続的な製品・サービスの購入に繋がります。

エンゲージメントの種類

エンゲージメントにはすでに上述している通り、ビジネスにおいては従業員エンゲージメント、顧客エンゲージメントの大きく2つの意味合いがあります。ここではそれぞれのエンゲージメントについて見ていきたいと思います。

従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントは、従業員が会社や組織、仕事に対して抱く感情的なつながりや献身度を表す概念です。従来の従業員満足度の概念とは異なり、会社のパーパスやビジョンへの共感、組織目標達成への自発的な貢献意欲を重視する点が特徴です。

主に以下の3つの要素から構成されています。

  • 理解度(会社のビジョンと自身の役割の理解)
  • 帰属意識(会社への誇りや一体感)
  • 行動意欲(積極的な課題解決への取り組み)

また従業員エンゲージメントは、ワークエンゲージメント(仕事そのものへの意欲)や従業員満足度(環境や待遇への満足)、モチベーション(短期的な行動の原動力)とはそれぞれ異なり、より包括的な概念として位置付けられています。

2023年3月からの人的資本開示義務化に伴い、従業員エンゲージメントは人的資本経営の重要な指標として今まで以上に注目されるようになってきています。

従業員エンゲージメントの測定には様々な指標が用いられますが、代表的なものとしてはeNPS(Employee Net Promoter Score)が挙げられます。

参考記事:
従業員エンゲージメントとは?人的資本経営の観点からも解説
eNPS℠とは?従業員エンゲージメント向上のための指標を事例付きで解説!

顧客エンゲージメント

顧客エンゲージメントとは、企業と顧客の間に築かれる信頼関係を指します

顧客満足度は、顧客が製品やサービスに対してどれだけ満足しているかを示す指標ですが、満足度が高いだけでは、必ずしも企業への忠誠心や継続的な購入意欲を示すわけではありません。

一方の顧客エンゲージメントは、顧客が企業やブランドに対してどれだけ親密な関係を持ち、信頼しているかを重視する点で従来の顧客満足度の概念とは異なります。

高いエンゲージメントを持つ顧客は、製品やサービスを継続的に利用し、また友人知人に紹介することで企業に新しい顧客をもたらしてくれます。

これにより、コストをかけることなく優良顧客が増え、企業の売上や収益が向上します。市場が成熟し、同質的な商品が溢れる現代では、顧客エンゲージメントの獲得が企業の差別化と競争優位性の確保に不可欠です。顧客エンゲージメントが高まると、価格競争に巻き込まれることなく、安定した収益を確保することが可能になります。

顧客エンゲージメントを向上させるためには、カスタマージャーニーマップを作成し、それぞれの顧客の体験を最適化することが重要です。

NPS®(Net Promoter Score)などの指標を用いながら顧客エンゲージメントを測定・可視化し、改善点を特定することで、エンゲージメントを高めることができます。

参考記事:
顧客エンゲージメントとは?エンゲージメント獲得のためのマーケティング事例
NPS®とは?顧客満足度との違い・質問方法・事例まで詳しく解説!

エンゲージメントの効果

従業員エンゲージメントの効果

従業員エンゲージメントの向上は、生産性の向上、離職率の低下、顧客満足度の向上など、多くのポジティブな成果をもたらします。

エンゲージメントの高い従業員は、自らの業務にやりがいを持ち、自発的に組織や業績へと貢献する意欲があるため、生産性が向上し、その結果としてエンゲージメントの高い従業員は業績が向上する傾向があります。

またエンゲージメントが高まることで組織に対する信頼と愛着を感じるようになり、離職率が低下し採用コストや研修コストの低減なども期待することができます。

企業の持続的な成功には、従業員エンゲージメントの理解と向上が不可欠と言われており、単なる人事施策ではなく、経営戦略の重要な一部として位置づけられるようになっています。

エモーションテックの調査では、エンゲージメントの向上が従業員パフォーマンスの向上に直結することが示されており、特に会社の方向性との合致、成果創出のための行動、顧客志向・価値提供がエンゲージメントと強く関連しています。

顧客エンゲージメントの効果

顧客エンゲージメントの向上は、リピート率の向上、口コミ効果の向上、収益の向上などに貢献します。

顧客エンゲージメントが高い顧客は、企業やブランドに対して強い信頼感を持ち、継続的に製品やサービスを購入する傾向があり、顧客獲得コストが低減されます。また周囲に好意的な口コミを広める傾向があり、新規顧客の獲得に寄与します。

上記を通じて、収益が安定しやすくなります。

エンゲージメントを高める方法

エンゲージメントを高めるためにはまず現状を把握し、向上させるためのポイントを知ることが重要です。

従業員エンゲージメントであればeNPS、顧客エンゲージメントであればNPSなどの指標を用いることで現在のエンゲージメント状態を測定することができます。

またeNPSやNPSなどのエンゲージメント指標とあわせて、エンゲージメントを構成する要素や体験(従業員体験や顧客体験)を整理し、それぞれに対する評価を取得し、エンゲージメント指標との関係を分析することで、重要な体験や優先的に改善すべきポイントを見出すことができます。

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