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顧客ロイヤルティとは?顧客を引き付けるマーケティング手法

更新日:2026.02.17

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エモーションテック 編集部

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現代のビジネスにおいて、顧客ロイヤルティは持続的な成長を支える最大のエンジンです。

市場が成熟し、商品やサービスの機能的な差異が失われつつあるコモディティ化の時代において、顧客が特定のブランドを使い続け、さらには他者に推奨する理由は、スペックや価格だけではありません。その根底にあるのは、顧客が体験を通じて抱く信頼や愛着という感情的なつながりです。

顧客ロイヤルティを正しく理解し、戦略的に高めていくことは、新規顧客獲得コストの増大に直面する企業にとって、収益性を劇的に改善する鍵となります。

本記事では、顧客ロイヤルティの本質から、指標を用いた測定方法、そしてCX(顧客体験)マネジメントを通じてロイヤルティを向上させる具体的なプロセスを詳細に解説します。

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顧客ロイヤルティとは?

顧客ロイヤルティとは、顧客が特定の企業やブランド、商品に対して抱く「信頼」や「愛着」の深さを指します。 単なるリピート購入(行動)だけでなく、感情的な結びつき(心理)を伴う点が特徴であり、競合他社が安価な代替品を提示しても揺るがない強固な関係性を意味します。

ロイヤルティとはもともと忠誠心を表す「Loyalty」から派生しており、企業に対する信頼や愛着の大きさを、ロイヤルティが高い(低い)と表現します。

心理的ロイヤルティと行動的ロイヤルティの相関

顧客ロイヤルティは、大きく「心理的」側面と「行動的」側面の2軸で捉える必要があります。

  • 心理的ロイヤルティ: ブランドに対するポジティブな感情、愛着、信頼。
  • 行動的ロイヤルティ: 購入頻度、購入金額、継続期間。

これら2つが両立している状態こそが真のロイヤルティです。例えば、心理的ロイヤルティが低く、行動的ロイヤルティだけが高い状態は「惰性的な継続」に過ぎません。より便利なサービスが登場すれば、顧客は容易に離脱します。逆に、心理的ロイヤルティが高い顧客は、一時的なトラブルや不満があっても、ブランドを信頼して使い続けてくれる傾向があります。

顧客満足度(CS)と顧客ロイヤルティの違い

顧客満足度(CS)は、あくまで「過去の特定の購買体験」に対する評価です。一方、顧客ロイヤルティは「未来の行動」を規定する指標です。

比較項目顧客満足度(CS)顧客ロイヤルティ
視点過去から現在(点)未来(線)
感情の深さ期待通りであることへの納得期待を超える体験への感動・愛着
行動への影響満足していても離脱する可能性がある高い継続利用意向と他者への推奨

満足度が「不満がない状態」を指すのに対し、ロイヤルティは「そのブランドでなければならない理由」がある状態を指します。この差が、LTV(顧客生涯価値)に決定的な違いをもたらします。

1980年頃から顧客満足(CS、カスタマーサティスファクション)という言葉が広まり、売上や購買金額といった数値情報だけでなく、「顧客が商品に満足したか」という感情を重視する企業が増えました。その結果、お客様アンケートや顧客満足度調査が普及し、顧客の満足度を図る一般的な方法として多くの企業で実施されています。

しかし、顧客満足度調査が普及するにつれ、「顧客満足度が高い顧客=商品を頻繁に購入する顧客」とはならないことがわかってきました。商品やサービス自体に満足していても、サポート体制に不満があったり、購入プロセスが面倒だったりすると、顧客は継続的に商品を購入してはくれません。そのため、一回の購買体験や使用経験ではなく、長期的に信頼や愛着を持ってくれている「状態」になっているかを判断する、顧客ロイヤルティという概念が生まれました。

なぜ今、顧客ロイヤルティ向上が不可欠なのか

ビジネス環境の変化により、従来の「新規獲得至上主義」のマーケティングモデルは限界を迎えています。

新規獲得コストと既存顧客維持の経済性

マーケティングの世界には「1:5の法則」と「5:25の法則」という有名な原則があります。新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかるというものです。また、顧客離れを5%改善すれば、利益は25%以上向上すると言われています。

人口減少に伴う国内市場の縮小や、デジタル広告費の高騰により、新規顧客を追い続けるコストパフォーマンスは悪化し続けています。既存顧客のロイヤルティを高め、解約率(チャーンレート)を下げることは、収益基盤を安定させる最も確実な投資と言えるでしょう。

SNS社会における「推奨」の影響力

現代の消費者は、企業が発信する一方的な広告よりも、自分と似た価値観を持つ知人や第三者の口コミを信頼します。ロイヤルティの高い顧客は、自発的にブランドの良さを周囲に広めてくれるエバンジェリスト(伝道師)となります。

この「推奨」による新規獲得は、広告費がかからないだけでなく、紹介された側も最初から高い信頼感を持って接点を持ってくれるため、成約率が高く、さらにロイヤルティの高い顧客になりやすいというポジティブな循環を生みます。

顧客ロイヤルティを高めるメリット3つ

Emotion Techが独自に行った調査において、ロイヤルティが高い顧客は低い顧客と比べて以下のような特徴がみられました。(NPS®調査を行い、推奨者をロイヤルティが高い顧客、批判者をロイヤルティが低い顧客と定義。推奨者・批判者の分類方法やNPS®についてはこちらを参照)

その他、会員サービスなどでは解約率低下にも影響することがわかっています。

ロイヤルティによる行動の違い

リピート率向上、解約率低下

ECサイトの年間平均利用回数を調査したところ、ロイヤルティが高い顧客は17回近く利用していたのに対し、ロイヤルティが低い顧客は9回程度の利用にとどまっています。これは言い換えると、顧客のロイヤルティを引き上げることによって、顧客の利用回数を1.9倍に高めることができることを意味します。(2015年5月調査、614件対象)その他、会員サービスなどでは解約率低下にも影響することがわかっています。

顧客単価向上

あるアパレルブランドの調査を行ったところ、年間の平均購入金額にロイヤルティが影響していることが判明しました。また年間の購入金額だけでなく、1回あたりの購買金額にも大きく影響しており、ロイヤルティが高い顧客は低い顧客の1.3倍金額が大きくなることがわかっています。つまり、ロイヤルティを高めることで購買金額を向上させることが可能となります。(2016年5月調査、562件対象)

口コミによる拡散

不満を持った顧客は商品やブランドに対する悪い評判を広めてしまう一方、ロイヤルティが高い顧客は積極的に周囲に推奨してくれます。あるスポーツメーカーでは、ロイヤルティが高い顧客の85%もの人が実際に商品を他社に勧めた経験があり、ロイヤルティは新規顧客獲得において非常に大きな役割を担っています。(2015年7月調査、216件対象)

顧客ロイヤルティを向上させるには?

ステップ1:顧客の声を正確に把握する。

  • ロイヤルティを数値化する指標を用いる
  • シンプルな設問や様々な取得方法により、可能な限り多くの顧客の声を集める
  • 先入観を与えない調査手法により、ノイズを最小化する

上記の中でも、ロイヤルティを測定する指標の選択は特に重要です。ロイヤルティを数値化する指標として代表的なものに、NPS®(ネットプロモータースコア)という指標があります。NPS®はアップルやグーグル、P&Gなどが導入していることで知られ、近年日本国内でも導入が進んでいます。

関連記事:
NPS®とは?顧客満足度との違い・質問方法・事例まで詳しく解説!

その他にも再利用意向、感動指数といった指標や、企業独自の指標を採用することもあります。
いずれにせよ、顧客のロイヤルティを計測し、現状を把握することが必要です。

ステップ2:収益指標と掛け合わせながら分析を行う

ロイヤルティ向上は収益向上の手段です。

しかし、ロイヤルティ向上がなぜ収益向上に繋がるのかは、企業のビジネス構造により異なります。

例えば「ロイヤルティが購買頻度を高めることになるから収益向上に繋がると言えるのか」「ロイヤルティが購買単価を高めることになるから収益向上に繋がると言えるのか」

このように、ロイヤルティ向上が自社の収益を構成するどの要素に影響するからこそロイヤルティ向上に取り組むのかを押さえることは、継続的かつ部門横断的にロイヤルティ向上に取り組むにあたり非常に重要です。

さらに、収益指標を意識することによるメリットは「誰に」対する改善に取り組むのかを明確にできる点です。例えば、収益性は高いもののロイヤルティが低い顧客は、競合へのスイッチリスクが高く、自社への収益インパクトも大きい対応優先度の高い顧客群です。この顧客セグメントのロイヤルティが低い原因を確認し改善を図っていくことで、収益向上につながる施策を講じることができます。

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NPSと収益性について | 企業成長や収益指標との相関関係について解説

ステップ3:効果的な改善策を導く

顧客ロイヤルティを高めるためには、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験、CX)の改善が不可欠です。

カスタマーエクスペリエンスとは顧客がサービスや商品、ブランドと接触する一連の体験のことを指します。つまり、商品やサービスそのものを利用する体験だけでなく、webやSNSからうけるイメージ、店頭での接客体験等、様々な顧客接点を含みます。さらに、購入検討時やアフターサポート時といった、時間的な要素もカスタマーエクスペリエンスという概念に包含されます。

この様な一連の体験、カスタマーエクスペリエンスを改善するにあたっては、「重要な顧客接点」を見極める必要があります。ステップ1で把握した顧客の声をもとに分析を行い、どの顧客体験がどの程度ロイヤルティに影響するのかを数値化することによって、重要な顧客接点を発見することが可能です。どの顧客接点が重要かを把握できれば、現状の満足度合いを考慮し、改善優先度を導くことができます。

この様に、効果的な施策を的確に実施して初めて、カスタマーエクスペリエンスが改善され、ロイヤルティの創出につながるのです。

顧客ロイヤルティ向上事例:チューリッヒグループ

実際にロイヤルティを向上させ、事業成長が実現された例をご紹介します。

チューリッヒグループは全世界に170カ国以上に損害保険、及び生命保険などの商品を幅広く提供している企業です。市場の動きが早い保険業界においては顧客に継続してサービスを利用してもらうことが難しく、チューリッヒはカスタマーエクスペリエンスを改善することによって、ロイヤルティの向上と継続率改善を実現しました。

NPS®をKPI(重要指標)として導入

チューリッヒはNPS®導入以前から市場調査を実施し、顧客の声を取得していました。しかし、市場調査では全体的な傾向しか把握できず、改善アクションを実行するために必要な課題を明確にすることができませんでした。そのため、一人一人の顧客と向き合い、本質的な課題を明確にするため、NPS®を指標として導入し、自社顧客に対する調査を実施しました。

リアルタイムに分析、即時対応も

SMS、Eメール、コールセンターなど、様々な方法で顧客の声を集め、リアルタイムに分析することで素早い改善へとつなげていきました。具体的には、顧客の声が集まると自動的にテキストマイニングが行われる仕組みを使い、各問題点に優先度を設定しました。また、実際に改善による効果が高かった施策は、すぐに他の拠点にも共有され、他支店でも同様の対策がとられました。
様々な改善を行った結果、ある国でのチューリッヒに対するNPS®は20%も向上するほど目覚ましい成果を上げるまでに至りました。

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【国内】NPSを活用する企業事例8選!取り組みのポイントも解説

顧客の期待を上回る「体験」によって、ロイヤルティを生み出す

私たちはあるサービスを受けるとき、ある商品を利用するとき、常に「期待」を持っています。この期待に沿った体験ができなかった場合には顧客は不満を感じ、期待に沿った体験ができた場合には満足だと感じます。しかし、満足してもらうだけではロイヤルカスタマーを生み出すことはできません。期待を超える感動体験を提供し、信頼や愛着を持ってもらうことができて初めて、ロイヤルティを高めることができるのです。

これまで見てきた通り、ロイヤルティが高い顧客、いわゆるロイヤルカスタマーは企業にとって無視できない存在です。自社のロイヤルカスタマーがなぜロイヤルティを感じているのか、他の顧客がどのようにすればロイヤルティを高めてくれるのかを学び、実践していくことがこれからの企業に求められています。

顧客ロイヤルティに関するよくある質問

Q1. 顧客ロイヤルティと顧客満足度の最大の違いは何ですか? A1. 顧客満足度は「過去の体験」への評価ですが、顧客ロイヤルティは「未来の行動(継続利用や推奨)」への意思を指します。満足していても、より良い条件があれば離脱する顧客は多いため、長期的な収益にはロイヤルティの向上が不可欠です。

Q2. NPS(ネット・プロモーター・スコア)を導入するメリットは何ですか? A2. 収益性や成長率との相関が非常に高いことです。「他者への推奨意向」という厳しい基準で問うため、ビジネスの健全性を正確に把握でき、共通言語として全社で改善に取り組みやすくなります。

Q3. 顧客ロイヤルティを高めるために、まず何から始めるべきですか? A3. まずは顧客の現状を把握することです。カスタマージャーニーマップを作成し、どの接点で顧客が喜び、あるいはストレスを感じているかをNPSなどの指標を用いて可視化することからスタートしましょう。

Q4. 小規模な企業でもロイヤルティ向上の取り組みは有効ですか? A4. 非常に有効です。むしろ顧客一人ひとりとの距離が近い小規模企業こそ、細やかなVoCの収集と迅速な改善アクションが可能であり、大手企業に対抗する強力な武器になります。

Q5. 顧客ロイヤルティ向上におけるITツールの役割は何ですか? A5. 大量の顧客の声をリアルタイムで収集・分析し、適切なタイミングで現場に共有するために不可欠です。分析の自動化や、不満を抱いた顧客へのアラート機能など、改善活動を仕組み化する助けとなります。

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