従業員満足度とは?調査方法・向上事例をご紹介 | 株式会社エモーションテック

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2023.05.02

Thu

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従業員満足度とは?調査方法・向上事例をご紹介

従業員満足度を向上させるメリット

離職率を改善させることができる

従業員満足度の向上は離職率の改善に直結します。

弊社が従業員満足度を評価する方法の一つである、eNPS℠¹という指標を使って職場に対する評価を調査した事例では、「現在の職場を親しい友人や家族に対しどの程度進めたいと思いますか?」と、推奨度を0~10点の11段階で尋ね、0~6点を付けた回答者を「批判者」、9~10点を「推奨者」と分類しました。そのうえで、「批判者」層と「推奨者」層ごとに「離職までの予定期間」を集計したところ、下図の通り「批判者」層の中で、「今のところ離職を考えていない」と回答したのは0%だったのに対し、「推奨者」層では76%の人が離職を考えていないことが示されています。

したがって、職場環境を改善することで、離職する人を減らし、採用コストや教育にかかるコストを削減することができると考えられます。

批判者と推奨者ごとの離職までの予定期間

※eNPS℠とはEmployee Net Promoter Scoreの略で、職場に対する満足度や愛着といったロイヤルティを可視化する指標

詳細は『eNPS℠とは?』という記事にてご確認ください。

組織の生産性を向上させることができる

従業員満足度の向上は収益性にも直結します。

下図は弊社が支援したクライアントのある販売店における従業員の職場に対する推奨度と、複数商品の販売率の相関関係を示したグラフです。分析の結果、相関の強さを示す相関係数はR=0.73と強い相関が示され、職場に対する推奨度が高い社員ほどパフォーマンスが良い傾向にあることがわかりました。

推奨度と複数商品販売率の相関関係

また、アメリカの大手コンサルティング会社であるベイン・アンド・カンパニーのフレッド・ライクヘルド氏は著書²では、あるチェーンで、加盟店を職場に対するロイヤルティ(愛着)と生産性の観点で格付けしてみるたところ、社員定着率で上位3分の1に入る店舗はやはり生産性でも上位3分の1に入り、社員一人当たりの売り上げは定着率で下位3分の1に比べて22%高いことがわかったという調査結果が紹介されています。

これらのことから、従業員を大切にし、離職率を改善することは、モチベーションの向上だけでなく収益性にまで直結する取り組みであると考えられるでしょう。

顧客満足度向上

従業員を満足させることは顧客を満足させることにつながります。

例えばJ.D.POWER社が公表している2017年の航空会社の満足度調査において、LCCセグメント1位³を獲得しているサウスウエスト航空は創業以来「従業員第一主義」を掲げ、深夜勤務の整備士のためにパイロット全員で午前3時にバーベキューを開催したり、時には麻薬問題を起こした元社員の医療費を支払う⁴など、まさに会社全体で従業員に尽くそうという姿勢が見て取れます。

また、日本国内のあるホテルを6年間調査した研究⁵でも従業員満足度の向上はサービスの質を上げ、顧客満足度を引き上げることが明確になっておいます。

これらのことから、顧客を満足させるためには、まずは従業員を大切にし、働きたいと思える環境を保つことが重要であるといえます。

従業員満足度の調査方法

従業員満足度を調査し、さらに改善のための施策を検討するには、大きく2種類の質問項目が必要です。

全体を把握するための質問

まず従業員満足度調査を行うにあたって、どの程度職場に満足しているか、または愛着を感じているかを可視化する必要があります。

この際、職場に対する満足度を「大変不満を感じている」~「大変満足している」の5段階で評価してもらう従来の方法に加え、従業員に職場の推奨度を0~10点の11段階で評価してもらい、どの程度会社に愛着を感じているかを可視化するeNPS℠(Employee Net Promoter Score)という指標を用いた調査方法もあります。
従業員満足度とeNPS℠の違いに関してはこちらの『eNPS℠とは?』をご参照ください。

従業員満足度に影響を与える要因を明確にするための質問

全体をどの指標で把握していくかを決めたら、次は従業員満足度を向上させるうえでの課題を明確にするための質問を用意します。

具体的には、「社風」や「労働時間」、「上司との関係」、「福利厚生」などがあげられます。

下図は弊社が従業員満足度調査のご支援をする際に活用している質問項目例です。

従業員満足度調査の質問項目例

実際に弊社で調査を行う際は、「あなたは現在の職場をどの程度親しい友人や家族におすすめしたいと思いますか?」という質問をした後に、「上記の質問に答える際に下記の項目はどの程度プラスもしくはマイナスに影響しましたか?」と尋ね、各項目を「大変マイナスに影響した」~「大変プラスに影響した」の7段階で評価してもらいます。

EmotionTechのアンケートシステム画面

従業員満足度向上位事例

株式会社ウンナナクール

ウンナナクールは大手アパレルメーカーのワコールグループに所属している女性向けインナーウェアメーカーです。全国に40店舗以上展開しており、従業員数は400人に上ります。

調査を行い従業員の状態を把握しようとしたきっかけは、これまでは社長が自ら可能な限りの従業員・スタッフと面談し、従業員の働きやすさを追求してきましたが、「直接的には話しにくいこと」や「定量的に分析する中で見えてくること」があるのではないかと感じていたということがあげられます。加えて、早期離職に至ってしまうスタッフの課題を把握し、離職率を低くするための施策を打ち出したいとも考えていました。

従業員満足度の調査を行い、詳細に分析した結果、「研修などの社員教育」が優先課題であることが判明しました。インナーウェアの購入においては、店舗でのフィッティングで機能が発揮される状態で試着し商品の魅力を顧客に体感してもらうことが重要であり、これまでも販売スタッフの教育は行われていたものの、スタッフが求めているのはより実践的な技術や、仕事における考え方やスタンスであることが明確になりました。

そこで、店舗での人材育成に関する研修を店長、副店長クラスに実施し、販売スタッフが安心してより顧客に機能を体感してもらえる「フィッティングの仕方」を提供できるようにするための動画コンテンツなどの教育施策も同時に行いました。

その結果、店舗スタッフはお客様にフィッティングを進める際に自信をもって方法を伝えられるようになりました。

eNPS℠ホワイトペーパー

首都圏で働く方々を対象に調査を行い、結果と合わせてeNPS℠を活用したアンケート作成方法や分析手法を紹介している資料です。

個人情報の取扱いについてはこちらからご確認ください。


¹ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア及び、NPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。eNPSはベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の役務商標です。

²フレッド・ライクヘルド(1998)『顧客ロイヤルティのマネジメント~価値創造の成長サイクルを実現する~』(伊藤良二ほか訳)ダイヤモンド社

³2017年5月16日2017年北米エアライン顧客満足度調査

⁴チャールズ・オライリー、ジェフェリー・フェファー(2002)『隠れた人材価値~好業績を続ける組織の秘密~』(長谷川喜一郎ほか訳)翔泳社

⁵鈴木研一・松岡孝介(2013)従業員満足度,顧客満足度,財務業績の関係―ホスピタリティ産業における検証―日本管理会計学会誌2014年第22巻第1号

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