顧客満足度と従業員満足度、財務業績は関係があるのか?日本の研究を紹介! | 株式会社エモーションテック

顧客満足度と従業員満足度、財務業績は関係があるのか?日本の研究を紹介!

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エモーションテック 編集部

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顧客満足度、従業員満足度調査の広まり

多くの企業で「顧客満足度」、「従業員満足度」に関する調査が実行されています。これらの調査は1990年代にアメリカから始まり、90年代後半から日本企業でも重視されるようになりました。特に、高度成長期が終了し顧客獲得競争が激化してからは、財務業績向上のためにこれらの調査が頻繁に行われています。なお、従業員満足度については企業の利益を拡大させるためだけではなく、従業員の定着率を上げるためにも利用されています。

少子化にともない人手不足が懸念される中、従業員の定着率を上げることは間接的に財務業績に貢献することでしょう。非財務指標である顧客満足度、従業員満足度を高めることで、企業の収益にどうメリットがあるか具体的にイメージしにくい人も多いのではないでしょうか。この記事では、これらの満足度が財務業績にどういった影響を与えるのかを説明します。

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顧客満足度と従業員満足度、財務業績の関係性を明らかにしたハーバードの研究

ハーバードビジネスレビューでは、顧客満足度と従業員満足度の調査が1990年代以降急速に広まっていると指摘されています。同レビューではサービス・プロフィット・チェーン(SPC)という概念が提唱されており、簡単にいうと、サービス・プロフィット・チェーン(SPC)とは従業員満足度と顧客満足度、財務業績の因果関係を示すものといえるでしょう。

従業員満足度が向上するに伴い、従業員の企業への親愛度(ロイヤルティ)や生産性が向上し、結果として顧客に提供するサービスの価値も向上していきます。続いて、サービスの価値が高まると顧客の満足度やロイヤルティが向上し、競合他社の商品やサービスを知っていたとしても、リピート客として定着してくれるケースも少なくありません。また、ロイヤルティが高い顧客が新しい顧客を呼び込んでくれる場合もあり、最終的に財務業績の向上に結び付きます。

従業員と顧客が密に接する販売業やサービス業において、特にサービス・プロフィット・チェーン(SPC)は注目されています。なお、財務業績が高まっただけではサービス・プロフィット・チェーン(SPC)は完結しません。多くの収益を生かして社内のサービスを充実させることで、従業員の満足度を向上させられるでしょう。顧客満足度と従業員満足度の両方を高めることが、財務業績を上げるためには重要です。なかでも、従業員満足度を重視することが、サービス・プロフィット・チェーン(SPC)を循環させるために大切だといえるでしょう。

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サービスプロフィットチェーン(SPC)を通して企業収益を向上させた事例

サービスプロフィットチェーン(SPC)を通して顧客からの満足度を高め、財務業績を向上させた有名な例として、アメリカのファストフードチェーンであるチックフィレ社について説明しましょう。チックフィレ社では厳正な審査に基づきフランチャイズ契約を結んでおり、各店舗にはそれぞれの地域に適応した運営を取るために、多くの裁量が与えられています。また、収益と給与が連動するシステム、日曜休業や学生バイトに奨学金を与えるといった充実した福利厚生システムを採用していることなども、企業の特徴として挙げられます。

このように、チックフィレ社では従業員のモチベーションをアップさせ、満足度を高める経営方針や労働環境が整っているといえるでしょう。従業員満足度が高いチックフィレ社は、アメリカで最も丁寧なファストフード店との評価を受けるなど、顧客からの満足度も高くなっています。今後も成長を続け、全米一のファストフード店になると予測している人もいます。

日本における顧客満足度と従業員満足度、企業収益の関係

販売業、サービス業で重視されるサービス・プロフィット・チェーン(SPC)ですが、日本でも従業員満足度や顧客満足度などの非財務指標と、財務業績の相関について盛んに調査や研究がなされています。たとえば2014年に、鈴木研一氏と松岡孝介氏によって発表された論文『従業員満足度、顧客満足度、財務業績の関係ーホスピタリティ産業における検証ー』では、日本のあるホテルに関して6年分のデータをもとに、満足度と企業の収益の相関について検証されています。サービス業の一つであるホテル産業は、顧客満足度と財務業績の関連性が強い業界といえるでしょう。

検証結果によると、従業員満足度とサービス品質には相関があること、サービス品質と顧客満足度には相関があることが確認されています。なお、顧客満足度が高ければ稼働客室あたりの利益が多いこともわかっているため、従業員満足度や顧客満足度を高めることは財務業績に多いに影響するといえるでしょう。このように、日本のサービス業でもサービス・プロフィット・チェーン(SPC)は実証されています。

従業員満足度と顧客満足度を向上させて財務業績を向上させよう!

従業員満足度と顧客満足度は財務業績と相関関係にあります。財務業績を上げるには顧客満足度だけではなく、従業員満足度を高める努力も必要です。従業員のモチベーションを上げるような経営を意識し、福利厚生を充実させ、収益アップに伴い社内サービスを強化していくことが満足度につながるでしょう。従業員満足度と顧客満足度を高めれば、財務業績向上にもつながります。

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