エモーションテック 編集部
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従業員エンゲージメントは人的資本開示の義務化において、情報開示が求められている7分野のうちの1つになっています。自社の従業員エンゲージメントを測定し、エンゲージメント状態の把握、またエンゲージメント向上につながる組織課題の把握を行うためにエンゲージメントサーベイを行うことが有効です。
本記事ではエンゲージメントサーベイについて指標と質問例を紹介していきます。
目次
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エンゲージメントサーベイとは?
エンゲージメントサーベイとは「従業員が所属会社や自身が行う仕事に対して持つ愛着や貢献意欲、熱意」を定量的に数値で示し把握するために、従業員を対象に行うサーベイです。
従業員が会社に対してどれほどコミットしているか、会社に対して積極的な貢献を示そうとしているかの度合い、を従業員エンゲージメントとして指標化して把握し、継続的に行うことでその推移で組織の改善状況を把握することが可能になります。
従業員エンゲージメントを向上させるためには、このエンゲージメントサーベイを適切に行うことが必要です。この調査を行うことで、従業員エンゲージメントの現状や問題点、従業員の持つ不満などを明らかにすることができます。エンゲージメントを高めるために優先的に対処するべき課題や問題点、行うべき施策なども検討することができます。
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エンゲージメントサーベイでわかること
組織全体のエンゲージメント状態の把握
まずは現在の組織エンゲージメント状態を把握することができます。組織のエンゲージメント向上を図るにはまず何より現状を把握することが重要です。
エンゲージメントを測るための指標には様々なものがありますが、代表的なものがeNPSです。
「現在の職場を家族や親しい友人にどの程度おすすめたいと思いますか」と質問して、0〜10点の評価で回答してもらいます。0〜6点と答えた人を「批判者」、7~8点と答えた人を「中立者」、9~10点と答えた人を「推奨者」とし、3つのグループに分けます。
この結果から、eNPS(職場の推奨度)を算出できます。eNPSは、「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値のことです。たとえば、推奨者が50%で批判者が30%の場合は、50%-30%=20となります。
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組織課題の把握
現状のエンゲージメント状態が把握できたら、次はエンゲージメント向上に繋がる組織課題を把握することが重要です。エンゲージメントサーベイの結果から組織課題を捉え、かつ優先順位をつけて改善施策を実行していくことで従業員エンゲージメントの向上に取り組むことができます。
組織課題を見つけ、優先順位を把握するためには、従業員体験(EX = Employee Experience)について従業員から評価を取得し、エンゲージメント指標との関係を分析することが有用です。
施策の効果検証
エンゲージメントサーベイを継続的に行うことで、エンゲージメントが向上しているか、また組織課題に対して従業員の評価が向上しているかの変化・推移を捉えることができます。サーベイの結果から立案・実行した改善施策がどの程度課題解決につながったのか、また結果としてエンゲージメント向上に繋がったのかを捉えながら、同様の施策を継続するのか、違う施策を新たに実行するのか意思決定をしていきましょう。
エンゲージメントサーベイの種類
エンゲージメントサーベイには大きく2つの種類があります。組織全体を俯瞰して、組織課題を把握するための「従業員エンゲージメントサーベイ(組織サーベイ)」、そして頻度高く各従業員のエンゲージメント状態の変化を捉えるための「パルスサーベイ」です。
従業員エンゲージメントサーベイ(組織サーベイ)
従業員エンゲージメントサーベイ(組織サーベイ)は、組織全体として課題を把握するためのものです。
人材版伊藤レポート2.0においても「会社全体や部門単位でのエンゲージメント上の課題や、その克服に要する施策を検討することを目的とする場合には、社員のエンゲージメントレベルに影響を与えうる要素を分析する観点から、質問を精緻に設計する」ということがエンゲージメントサーベイの工夫として記載されています。自社の従業員体験を整理し、自社にとっての課題を把握できるようにサーベイの設計を工夫することが有用です。
従業員体験を広く網羅的に把握するために、少し設問数も多くなりがちでどうしても従業員にとっても少し負荷のかかるサーベイになります。そのため半年に1回、年に1回程度の実施をするケースが多いです。
また実施する際には、サーベイの意義をきちんと伝え、実施後にはサーベイからどういった組織課題が見つかり、それに対してどのような改善を行なっていくのかをきちんと共有することが望ましいです。
パルスサーベイ
パルスサーベイはより高頻度で行い、各従業員個人単位のエンゲージメント状態の変化を把握するためのものです。エンゲージメントの低下は休職や離職リスクにも繋がるため、早期に発見しフォローアップや対策を講じることを目的として実施されることが多いです。
こちらも人材版伊藤レポート2.0において「個人単位で、課長やマネージャーが迅速に改善を図ることを目的とする場合は、課題を早期に認識し、迅速に対応できるよう、簡易な質問票を活用して高頻度で把握を行う。」ことが工夫として記載されています。
月に1回など頻度高く行うため、なるべく従業員の回答負荷を下げて、必要な質問のみ最低限で行うことが望ましいです。負荷が高いサーベイが高頻度で行われるとそれ自体がエンゲージメント低下の一因となってしまうこともあり、最近では「パルスサーベイ疲れ」などと表現されることもあります。
また同様に気をつけなければならないこととして、高頻度でサーベイを行うことで「会社が何かを変えてくれるはず」という期待を過度に持たせてしまうことが挙げられます。マネージャー陣がきちんとサーベイに基づいたコミュニケーションを定期的にとることはもちろん、バランスを考えながら実施をすることも検討する必要があります。
エンゲージメントサーベイを行うメリット
企業収益の向上
エンゲージメントサーベイを行いながら組織課題の改善行うことで、従業員のパフォーマンスが向上し、収益向上につながるという点です。たとえば、あるファストフードチェーンでは、離職率の低い店舗(年間離職率100%)は高い店舗(150%)に比べて、利益率が50%も違うことが明らかになっています。別の例として、日本のホテルを6年間追跡した調査の結果も参考になります。この結果によると、従業員満足度の向上はサービスの質を上げ、稼働可能な客室当たりの粗利益の向上にまでつながることが明確になりました。
定着率向上による採用費の削減
エンゲージメントサーベイにより、従業員の離職率低下、定着率向上も目指すことができます。
そのためには組織サーベイにより組織課題を見つけて横断的に解決策を実行することと、個々の従業員のエンゲージメントの変化を捉え、チームのマネージャーが個々の課題を拾い解決していくことの両面を積み重ねていくことの両面をしっかりと継続していくことが重要です。
特に組織にとって影響の大きいエース級の社員が不満を抱えていることがわかったら、その課題は何か、どうしたら解決できるかなどすばやくアプローチすることで、大切な人員の離職を防ぐことができます。離職率が低下するとはひいては採用コストや研修コストの低減にもつながります。
会社の商品でなく営業担当者に顧客がついているような業界では、優秀な営業担当者の離職を防ぐことで、顧客を競合他社に奪われることも防げるでしょう。
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エンゲージメントサーベイの質問設計例
課題を見つけるための質問設計例では、eNPSを使って従業員エンゲージメントを計測するとよいでしょう。具体的には、「社風」や「裁量」「労働時間」「上司との関係」など、従業員エンゲージメントに影響を与え得る要素を列挙します。これらの要素について満足〜不満の5段階評価などで評価を取得します。これにより、従業員エンゲージメントを改善するために何をすべきか、課題が明確になるのです。
回答してもらったら、単純集計ではなく複数の要因の関係を表す重回帰分析をするとよいでしょう。重回帰分析により、他の要因に比べてどの要因がどの程度従業員エンゲージメントに対して影響を持っているかなど、詳しい分析ができます。
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